表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
158/859

第157話 魔王戦争ガリアペスト編12「奴孔楼」



 *


 六魔導士シラセ・アヤセは〝座標石〟を操るローブを着た魔族──奴孔楼(ドクロウ)と対峙していた。


α(アルファ)Ω(オメガ)()、お願い!」


 シラセの呼び掛けで人工精霊(タルパ)である、犬神のα(アルファ)と白龍のΩ(オメガ)を筆頭に、様々な動物の形をした、向こう側が透けて見える程に()()()色をした〝人工精霊(タルパ)〟が次々と現れる。


「魔族──奴孔楼(ドクロウ)、貴方の相手は私です!」


 シラセが向き合う、だが奴孔楼(ドクロウ)からの返事は無い。


「ユキマサさんが潰してくれた心臓が回復する前に倒さないと! α(アルファ)Ω(オメガ)、本気でかかりなさい!」


 シラセの言葉でα(アルファ)Ω(オメガ)が同時に動きだし、左右から奴孔楼(ドクロウ)を攻撃する。


 奴孔楼(ドクロウ)は杖を(かざ)す──

 杖からは魔法が発動される。(ボール)状の攻撃魔法だ。テニスボールぐらいの大きさの魔力弾が無数に発射される。


 α(アルファ)Ω(オメガ)共に、攻撃を避けながら、こちらからも攻撃を仕掛けるが、奴孔楼(ドクロウ)は〝座標石〟を使った、辺りに散らばる黒い玉と、自身の場所を入れ替える()()()()でその攻撃を避ける。


「覚悟!」


 剣を抜いたシラセが合間を縫って奴孔楼(ドクロウ)に近づき、奴孔楼(ドクロウ)に斬り付ける!


 ガキンッ!


 だが、その攻撃は杖で受けきられてしまう。


 ──ビュン、バッ!


 奴孔楼(ドクロウ)が更に座標移動し、シラセの()()()()()()


「ごめんなさい」


 シラセがそう呟く。

 次の瞬間、奴孔楼(ドクロウ)の杖がシラセを背中から貫く。


 だが、シラセは無傷だ。

 ()()()にシラセの〝人工精霊(タルパ)〟の一つが大きな攻撃を受ける。


「私への攻撃は、私の〝人工精霊(タルパ)〟が代わりに受けてくれます。まあ……数に限りはありますが」


 シラセの攻撃を庇う〝人工精霊(タルパ)〟は無限ではない、()()だ。むしろ数を減らされる事によって、主であるシラセの魔力を(むじば)む。


「……」


 相変わらず奴孔楼(ドクロウ)は何も喋らない。


 すると、犬神のα(アルファ)が攻撃を仕掛ける。隙を付いた鋭い攻撃だ。

 ガブリと、奴孔楼(ドクロウ)の胴体に命中するが、致命傷を与える前に──ビュン、バッ! と、すり抜けるように座標移動し、攻撃を避ける。


「そう簡単にはいきませんか」


 シラセは悔しげに奴孔楼(ドクロウ)を睨む。


 次に動いたのはシラセだ。

 剣を奴孔楼(ドクロウ)に向け、シラセは一ヶ所に〝人工精霊(タルパ)〟達を集める。


「時間がありません、まだ魔王もいるのですから! 一気にいきます! お願い、皆、力を貸して!」


 集まる〝人工精霊(タルパ)〟に魔力を込める。

 〝人工精霊(タルパ)〟は主の魔力で動く──強く魔力を込めれば込めるほど〝人工精霊(タルパ)〟も強くなる。


 特に主力である──α(アルファ)Ω(オメガ)に魔力を注ぐ。


「後は頭部のみ、急がないと」


 魔族を殺すのには、

 ・頭部の破壊

 ・心臓の破壊

 この二点が必要である。


 吹き飛ばされる前に、ユキマサによって心臓部は破壊されている。シラセが狙うのは後は頭部のみだ。


 ちなみに、頭部と心臓のどちらかを破壊されていも、生命力が桁外れに強い魔族達は時間が経てば心臓だろうが頭だろうが、また再生して来る。

 (ゆえ)に両方の破壊が()()なのだ。


「はあぁぁ!」


 シラセが奴孔楼(ドクロウ)に斬りかかる。

 だが、奴孔楼(ドクロウ)はそれを易々と受け止める。


 決して弱くはないシラセの一撃だ。

 それを易々(やすやす)と止める奴孔楼(ドクロウ)も、やはり魔族にして──実力者であった。


 決死の戦いの最中、その出来事は仕組まれるように唐突に起きた。


 犬神のα(アルファ)、白龍のΩ(オメガ)が、ありっ丈の魔力を纏い、攻撃をしかける。


 正面突破だ、その行動に奴孔楼(ドクロウ)は鼻で笑う。


 この土壇場に来ての特攻だ。無理もない。


 だが、特攻としての威力は十分に奴孔楼(ドクロウ)の頭を潰す威力があった。

 後は、当たるかどうかだが、この攻撃に対す奴孔楼(ドクロウ)の対処は既に完成していた。


 対処が完成されていた、α(アルファ)Ω(オメガ)、の二匹の攻撃はここで既に絶たれたかと思われた。


 でも、二匹は奴孔楼(ドクロウ)に向かう。

 決死の思いで──。


 笑止とばかりの様子で奴孔楼(ドクロウ)は杖を構え、魔法を放つ。


 まず攻撃が犬神のα(アルファ)に命中する。命中したα(アルファ)は全身にラグが走るようにし、消えてしまう。


 続いて、白龍のΩ(オメガ)が噛みつくように大きな口をあける。

 そのΩ(オメガ)に向かい、魔法が放たれる。


 Ω(オメガ)に攻撃が当たる。

 致命傷だ──そう誰もが思う当たり方をした。


 だが、Ω(オメガ)()()だった。


「──!?」


 これには奴孔楼(ドクロウ)も驚く、ローブで顔すら見えないが、そのローブの下は、さぞかし驚いた顔をしているだろう。


「私への攻撃を〝人工精霊(タルパ)〟が庇えるように──〝人工精霊(タルパ)〟への攻撃を私が()()()()もできます……!」


 ゴフッとシラセが血を吐く。

 その身体の真ん中には風穴が空いている。ダラダラと流れる血を手で押さえながらシラセは力一杯叫ぶ!


Ω(オメガ)、頼みましたよッ!」


 その言葉の期待通りにシラセの魔力をたっぷり纏った白龍のΩ(オメガ)奴孔楼(ドクロウ)の頭をガブリと噛み砕く。

 

 そして一瞬だ、奴孔楼(ドクロウ)の体にラグが走り、消えると──魔族を倒すと魔族が最後に残す菱形の〝魔力核〟を落とす。


 痛む身体で、それを拾いあげたシラセはおもむろに呟く。


「これでユキマサさんとの約束は果たせそうですね──魔王の方も手伝いたいですが、でも、傷が深い……これでは足手まといになってしまう、うっ……」



 ★★★★★★作者からのお願い★★★★★★


 作品を読んで下さり本当にありがとうございます!


・面白い

・続きが気になる

・異世界が好きだ


 などと少しでも思って下さった方は、画面下の☆☆☆☆☆から評価やブックマークを下さると凄く嬉しいです!

 (また、既に評価、ブックマーク、感想をいただいてる皆様、本当にありがとうございます! 大変、励みになっております!)


 ★5つだと泣いて喜びますが、勿論感じた評価で大丈夫です!


 長々と失礼しました!

 何卒よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ