第151話 魔王戦争ガリアペスト編6「救援」
「お、おばあちゃん!? 何でここに!? というか魔族!」
ミリアを支えながら、魔族を吹き飛ばした自身の祖母にクレハが本気で驚きながら問いかける。
「話しは後、まずミリアを見てあげなさい」
そう言われ、ハッとしたクレハは急ぎ、内ポケットから〝上回復薬〟を取り出し、ミリアの傷口にかける。
「ごめんね、ミリア、う、傷が深い……」
「……だ、大丈夫……だよ……クレハ、ありがとう」
ミリアの顔色は悪い、傷も痛むのだろう、歯を食い縛るようにし、話す言葉も弱々しい。
「ミリア……大丈夫! すぐ安全な所に運ぶからね!」
クレハは少しでもミリアが安心できればと、今言える最大限の言葉を伝える。
すると、もう一人、こちらに来る人影がある。
「──ミリアさんは私に任せて貰えますか?」
柔らかな女性の声だ。長い金髪に、顔には泣きボクロがあり、修道服を着ている。
手には幅の広い刃の付いた戦斧を持っており、この場にいる者は、皆この人物を知っていた。
だが、この人物をミリアはもっと知っていた。
「じゅ、ジューリア様……」
「はい、大きく立派になりましたね。積もる話しは後です、まずはその怪我を私に任せてください」
コクコク、とミリアは頷き──〝聖女〟ジューリア・クーローはミリアの治療を買って出る。
「システィア隊長、そして〝拳の拳聖〟──マリア・アートハイムさん、少しの間、あの魔族の相手をお願いできますか?」
「勿論です、ミリアをお願いします」
「私もだよ。魔王戦争だかなんだか知らないけども、もう二度とあたしの大切な家族を殺させたりしない」
そう言い、クレハのお婆ちゃんはミリアの頭を撫でる。「ゆっくり治療して貰っておいで」──と。
「──聖女様、私に掴まってください。ミリアを連れて私の〝瞬間移動〟で少し離れた所に飛びます!」
「分かりました、お願いします」
そう言い残すと、クレハはシスティア達に目線を取り、その場を〝空間移動〟で後にする。
──ヒュン、パッ!
クレハ達が移動して直ぐのことだ。ガラガラと瓦礫を払いながら駕樂が起き上がり、マリアを睨む。
「……」
「システィア、少し手伝ってもらえるかい?」
「勿論です、マリア殿」
システィアとマリアが頷き合う。そしてそこに新たに屋根の上を走ってくる人影がある。
「──わしも混ぜてもらおうかのぅ」
「おや、リーゼスかい?」
現れたのは第2騎士隊長のリーゼス・ロックだ。
「リーゼス殿!? いつの間に!?」
「よう、システィアちゃん。それにマリアちゃんも! わしは魔王城を見て、急いで走って来たんじゃが──魔王城落ちとるのッ!? 魔王はどこじゃ?」
地に落ちた魔王城を見て、リーゼスが目を丸くする。
「──と、話しは後みたいじゃ、魔族が来るぞい」
バン! と、リーゼスが駕樂の攻撃を拳で受ける。
すると、すかさずシスティアとマリアが反撃する。
駕樂がよろけたその時だ──
「《風よ・嵐よ・貫け》〝暴風槍〟!!」
的確に駕樂の心臓を目掛け、魔法で作った風の槍を右掌に浮かべ、攻撃を仕掛けるのはエメレアだ。
「よくも私の大切なミリアに、よくも、よくも怪我をさせてくれたわねッ! 絶対に、絶対に許さないッ!! 絶対殺す……ゼッコロ……」
今のエメレアは怒り狂っていた。
その怒りの一撃が駕樂の心臓に見事命中する。
「うぐっ……!?」
駕樂か初めて苦痛の色を見せる。
「エメレアに続け!!」
システィアの掛け声でリーゼス、マリアが続く。
そうして魔族との戦いは続いていく──
*
「ミリア! 大丈夫!?」
「だ……大丈夫……さっきより大分……楽だよ」
ジューリアに〝回復魔法〟をかけてもらうミリアがクレハの心配の声に、小さく返事する。
今、三人は屋根の上にいる。
ミリアの治療の為、クレハの〝空間移動〟で安全な所に移動しようとしたが、街の中は魔物で溢れており──少し悩んだ結果、一番魔物が少ないのが、この屋根の上だったのだ。
「すぐに治しますよ、少しじっとしていてくださいね」
ジューリアは冷静にミリアに言う。
「はい、あの、色々とすいません」
「お気になさらず」
そして、ジューリアは時間にして2、3分でミリアの怪我を綺麗に治した。
「ミリア、よかった!」
「うん、クレハもありがとう。ジューリア様、ほ、本当にありがとうございます」
ミリアは丁寧にお辞儀をする。
「どういたしまして。それと私は魔族と戦いに戻ります、お二人はどうしますか?」
「私も戦います」
「私もです」
クレハとミリアは直ぐに返事を返す。
「分かりました、では、参りましょう」
クレハ、ミリア、ジューリアは、
システィア達との合流を急ぐのだった──
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