第140話 白娘
また気づかなかった。
話しかけられる……というか、どーんと飛び付かれるまで。相変わらず殺気は無いが……
自分の警戒心に自信無くすな。これ。
「ああ、久しぶりって程でも無いか。何かようか?」
『また会ったね♪』と言われたので、
俺は当たり障り無く返事を返す。
「うん、今日はね、君に伝えに来たんだ……と、グッドタイミングだね、やっぱ私は運がいいみたい!」
と、ノアが言うと、丁度そのタイミングで……
「……ユキマサ君、何やってるの?」
「また違う女ね」
「こ、こんにちはございます!」
クレハ、エメレア、ミリアがギルドから出てくる。
「こんにちは、皆さん。あ、でも、もうこんばんはに近いかな? ──まあ、それはそうとして、それでだよ。立ち話も何だし、よければ貴方のお家に寄らせて貰えないかな? クレハ・アートハイムさん?」
相変わらず楽しそうな笑顔で笑うノアは、表情一つ変えず、そう言い放つのだった。
*
ノアの言うとおり、クレハの家に向かい家に入ると、これには俺はビックリ!
なんと、ノアがフードを普通に取った!
紫色の長い髪で、何処か幼げにも見えるが、大人っぽい雰囲気の美少女だ。
「ふぅ、お邪魔します」
「あ、はい、狭いところですが……どうぞ」
「で、誰なのよ、この可愛い子は!」
テーブルに着くと、バシバシとテーブルを叩きながら、直ぐ様にエメレアは俺に聞いてくる。
「えーと、前に落とし物を拾って、その時に知り合った子だ。渾名は白娘だ」
「何で渾名なのよ!」
「ふふ、それは私がユキマサ君に口止めしてるからかな? 悪く思わないでね、エメレア・エルラルドさん?」
「……な、何で私の名前を……」
「私の〝神眼〟ってスキルだよ、勝手ながら、相手の〝ステータス画面〟は覗き見れるんだ、ごめんね」
「あ、いえ……別に謝るほどのことじゃ……」
マイペースなノアにエメレアが押され始める。
「それと君はミリアちゃんだね、大きくなったね」
「ひうっ!?」
「ミリア知り合いなの?」
最後は親戚のおばさんが言うかのような言葉で話しかけられたミリアに、クレハが質問するが……
ふるふる。と、首をふり「ご、ごめんなさい」と言っている。
どうやらミリアには心当たりは無いみたいだ。
「うんうん、ミリアちゃんとは会ったことはあるんだけど、知り合ったことは無いからね。その反応で間違いないよ」
相変わらず、何処か斜め上の返事のノア。
「で、俺に伝えたいことって何だ?」
「あ、うん。正確にはお願い事かな? ……と、この姿でも、いいんだけど、こないだはちゃんと名乗れなかったし、改めて自己紹介するね──」
そう言うと、ノアは立ち上がり、自分の髪をスッと撫でる。すると──
撫でた場所から髪の色が広がるように変わり、紫色の髪から、白く綺麗な銀髪に変わる。瞳の色も宝石のような紫から、これまた綺麗な青玉色に変わった。
「──!?」
「「「──ッ!!」」」
普通に驚く俺と、それ以上に、今のノアの変身(?)に他の三人は目を大きく見開いて驚く。
「地毛だと思っていたが、これは魔法で姿を変えていたのか?」
「あ、これ? 魔法で髪の色素から色を変えてたから、さっきの髪も、私の地毛って言えば地毛であってるかもね? ──でも本来は、この色かな?」
魔法……この世界じゃ盲点だったな。
変装とか、これからはよーく気を付けよう。
「ちょっと、驚くところはそこじゃないでしょ!! バカなの? ──あ、バカだったわ……」
アイタタタタタ……と、おでこに手を当てながら、俺を心からバカにするのは勿論エメレアだ。
「他にどこを驚くんだよ?」
と、ノアを見るが高い……
さっきより魔力が桁違いに上がっている。
「ああ、魔力か……」
先程までは、魔力探知が得意らしいエルフのエメレアが気づかないほど、完璧なまでにノアは魔力を隠してたみたいだ。
「そこもだけど! ほんっとにバカなの!?」
グイっとエメレアが俺の頭を掴み、ノアの方へ向ける。
「じゃあ、答え合わせだね♪ 私はノア──ノア・フォールトューナ〝聖教会〟では〝大聖女〟って、呼ばれてるよ♪ 改めて宜しくね、ユキマサ君♪」
と、ノアは可愛らしくウィンクをしながら、
改めて自己紹介をして来るのであった──
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