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第136話 白獅子



 ──レヴィニアに言われ、俺とクレハは再びギルドマスター室の部屋の中に入る。


「悪い〝イリス皇国〟じゃ〝白獅子〟の話しはタブーらしいな。知らなかったとは言え、すまなかった」


 部屋に入るなり、俺はレヴィニアとイルザに謝罪するが、特に二人からはお(とが)めは無かった。


「ユキマサはその事を知らなかったんだから仕方がないわ。それに私は話してもいいわよ。ユキマサは命の恩人だし──私は今でも姉さんの事を()()()()から」


(姉さんの事を信じてる? どういう意味だ?)


「──では、私の方からお話しましょう」


 そう名乗り出たのはロキだ。


「まず、結論から言うと〝7年前の魔王戦争〟で〝魔王ユガリガ〟に()()()()()()()のが、戦いの最中に、どこからか現れた〝白獅子〟です」


「へぇ、じゃあ、結果的に魔王を倒したのはその〝白獅子〟ってことになるのか?」

「そうですね。主力ですとウチのギルドの騎士長や二つ名持ち(ネームド)の冒険者、そしてその時は()人いた王国魔導士団の4名の皆さんが束になっても、どうしても倒しきれず、苦戦していた時に彼は現れ、流石に無傷ではありませんでしたが──圧倒的な強さで次々と魔王にダメージを与えて行きました。もし〝白獅子〟がいなければ敗戦の可能性も十二分にありました。ここまでで見れば〝白獅子〟は魔王を倒した英雄ですね」


「……」


 俺は黙って話を聞く。


「そしてここからが問題です、彼は酷く何かに慌てていて、私達とは一言も口を聞きませんでした。そしてその場にいた〝イリス皇国〟第1王女──ストレア・イリス王女を誘拐したと言われています。現に今でも、ストレア王女は見つかっておりません」


「つーか、何で、王女がそんな場所にいたんだよ?」


 戦いの最前線だぞ? 何で王女がいるんだ?


「ストレア姉さんはレベル82の実力者で、自分から前線に立つと言って、魔王と戦ってたのよ」


 これにはレヴィニアが答えてくれた。


「なるほど、魔王は倒したが〝イリス皇国〟の王女が〝白獅子〟によって拐われた。だから〝イリス皇国〟では、魔王の件はともかく〝白獅子〟は禁句ってわけか、でもさっきの()()()()ってのはどういう事だ?」


 俺はレヴィニアに質問する。


「私は……姉さんは拐われたんじゃなくて、自分から付いていったんじゃないかと思うの」

「何か、根拠はあるのか?」


 ふるふる。レヴィニアは首を横に振るが「でも、私はあの姉さんが、そう簡単に拐われるとは思えないの」と、そう強く言う。


「そうか。でも、そうだといいな」


 俺はそれだけ返事を返す。


 連れていかれたのと、何かしらの理由があって自ら望んで付いていったのじゃ、天と地の差だ。

 全てがそうとは言わないが悲劇と喜劇ぐらい違う。


「その後は〝白獅子〟の目撃情報はありません、ユキマサさん何か知りませんか?」

「いや、知らないが……」


 いや、つーか、知るわけ無いだろ?

 珍しく変な質問をしてくるロキ。


 ……まあいい。


「〝白獅子〟……覚えておく、説明ありがとな」


 まだまだ色んな奴がいるみたいだ。

 まあ、そりゃそうか……


「ねぇ、ユキマサ、それとなんだけど、貴方〝冒険者〟なんでしょ? ──頼みがあるの、引き受けて貰えないかしら?」

「依頼か? 内容に寄るが何だ?」


 と、ここに来て、冒険者としての依頼の話が来る。


 よく考えたら、何だかんだで俺は異世界来てから、冒険者としてだと、アリスの『私をここから逃がすのです!』っていう、そこの執事長のジャンから、自分を連れて逃げろという依頼しか行っていない。


「明日、私とイルザの護衛してほしいの。場所は今日、最初にアルケラの襲撃があった場所までと、その帰り道。先程の賞金とは別にこの依頼だけで、金貨100枚をお支払します。引き受けてくださいますか?」

「随分、高給だな?」


 金貨100枚、日本円だと1000万だ。

 だが、今日の後だと俺への信用が高いのだろう。


「足りないなら、まだ出すわ。もしイシガキ達の遺体が残っているのなら、故郷へ帰らせてあげたいの」


 レヴィニアの目は真剣だ。目が潤んではいるが、今は決して涙を溢さないように我慢している様子だ。


「分かった、その額で頼む──明日の朝でいいか?」

「よかった、ありがとう。ええ午前八の刻に〝大砦の門〟で待ってるわ」


()()()、日本で言う八時だ)


 ちなみに、この世界でも時間感覚は一緒で、1日は24時間、1時間は60分、1分は60秒らしい。


「これで明日の予定は決まったな。それと今日はもう、よく休め、宿は取ってあるんだろ?」

「ええ……ありがとう、そうさせて貰えると助かるわ」


 レヴィニアの精神は限界だった。


 頑張って隠していたが、特にイシガキと言う人物の死を聞いた後からの、レヴィニアの動揺は凄かった。

 詳しくどういった関係かは知らないが、とても親しく、そして大切な存在だったのだろう。


(つーか、よくこの状態でここまで話せたな)


「お嬢様!」


 振らつくレヴィニアに慌ててイルザが駆け寄る。


「大丈夫よ、少し疲れただけ。今日は色んなことがあったから……」


「レヴィニア、イルザ、お前達は今日は私達の泊まる宿に来るのです。部屋の1つぐらい用意させるのです」


 すると、ぴょん、と立ち上がったアリスが言う。


「私も賛成ですな。イルザ殿がいるとは言え、もしレヴィニア様の身に何かあれば大変でございますから。私共の近くにいた方が安全かと思われます──」


 アリスの意見にジャンが賛同する。

 そして、レヴィニアとイルザは視線(アイコンタクト)をし、こくりと頷き合う。


「分かりました、よろしくお願いします」


 イルザがジャンに頭を下げながら肯定の返事をする。


「何の何の、それとレヴィニア様のご宿泊の宿へは、私が経緯を話しに言って参りましょう」


 と、相変わらず気の利くジャンが優しく微笑む。


 ここでこの話しは、これでお開きとなり、レヴィニアとイルザはアリス達と宿へと帰っていった。


「俺達も行くがいいか?」

「ええ、ユキマサさん達もお疲れでしょう。何かございましたら、またご連絡します。システィアさんも、ご苦労様でした、貴方もしっかり休んでください」


 と、言われ、クレハとシスティアは頭をロキ達に下げ、俺は「ああ」と当たり障り無く返事をし、ロキとフォルタニアに見送られながら、ギルドマスター室を後にするのだった。




 ★★★★★★作者からのお願い★★★★★★


 作品を読んで下さり本当にありがとうございます!


・面白い

・続きが気になる

・異世界が好きだ


 などと少しでも思って下さった方は、画面下の☆☆☆☆☆から評価やブックマークを下さると凄く嬉しいです!

 (また、既に評価、ブックマーク、感想をいただいてる皆様、本当にありがとうございます! 大変、励みになっております!)


 ★5つだと泣いて喜びますが、勿論感じた評価で大丈夫です!


 長々と失礼しました!

 何卒よろしくお願いします!


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