ギャンブラーに必要なもの
「何で10のスリーカードなのよ。だって、裏面と表面の数が……まさか、あのトリックカードを使ったのね。でもあのカードは佐々木が持っていたはず。」
やっと気づいたか。そう、俺はこのトリックカードを五枚入れてポーカーをしていた。
「待って、じゃああんたはイカサマしてるってことじゃない。」
「何のことだ。」
「だって、そんな表裏の数字が違うなんてイカサマじゃない。はっ…」
本郷は今更気づいた。今自分が言ってしまったことの重大さに、その発言を立花は聞き逃さなかった。
「ほう、それではまるで、他のカードは表裏の数字が一緒だって言っているようなののだ。つまりイカサマをしているのはお前ってことになるぞ。」
立花は、さっき俺に言ってきたようなことを本郷に言った。
「違うわ、だってこの勝負を仕掛けてきたのは向こうのほうよ。」
本郷は必死に説明」している。ああ、なんて哀れなんだ。これは笑いをこらえるのが大変だ。少し助けてやるか。
「立花さん、もうこの際そんな事どうでもいいよ。どうせ俺が勝ったことには変わりないし」
「本人がそれでいいのなら俺は構わない。それでは、藪崎康平対本郷切子のポーカー勝負、藪崎康平の勝利」
立花は表情を崩さずに言った後、俺に勝った額の330万を手渡しその場を離れた。
「じゃあな本郷、またやろうな」
俺は嫌味たっぷりに言った。
「ちょっと待って。もう一勝負だけやらせて。」
「おいおい、さっき俺がお願いしたときは断ったくせに自分のときだけは言うこと聞けってか?そんなバカな話あるかよ、もうお前とは二度とやらねーよ、バーカ」
本郷は半泣きになっていた。今までの鬱憤を晴らそうと強く言い過ぎたかもしれないが気分爽快だ。
「わかったわ、じゃあ一つだけ聞かせて。どうやって私に勝ったの。どんなイカサマを使ってあのトリックカード引いたの?まさか偶然なんて言わないわよね。」
本郷は俺と勝負することを諦め聞いてきた。
「本郷、俺が佐々木に負けた後、俺にこう言ったな、ギャンブラーに必要なのは『技術』と『想像力』だって、
まあ確かに技術や想像力も大切だ。だがなそれよりも大事なことが二つある。それはな、
『運』と『度胸』だ。
それがない者にはギャンブルは勝てない。」
「まさかあんた、あのトリックカードを引いたのは『運』だっていうの?その時にたまたま佐々木がぶつかってカードを落としたってこと」
本郷の質問に俺は答えた。
「大体あっているが少しだけ違う。ここでは、少し『技術』がいるんだ。それは俺がトリックカードを引いたのを確認したときに佐々木に合図を出してわざとぶつかり俺もわざとカードを落としたんだ。」
俺が話し終えると廊下から佐々木が現れた。
「そうだったのね。じゃあ佐々木があんたを裏切るっていうのも演技だったわけね。」
「騙してごめんなさい。本郷さん。でも藪崎さんを騙した自分と本郷さんが許せなくて」
そういうと佐々木は頭を下げた。そんな佐々木を無視して本郷は俺に質問を続けた。
「待って、じゃあトリックカードを引けなかったらどうするつもりだったのよ。」
「トリックカードに関しては引くまで待つしかなかった。俺が最初の3ラウンド全てオールインしていたのは変な駆け引きによって俺が負けるのを防ぐためだ。」
「もし、私がそのオールインにコールしてあんたの手札よりよかったらあんた負けてたわよ」
「いいや、お前は絶対にコールしなかった。その理由はお前が一番わかっているんじゃないか。」
「どういうことですか。」と佐々木が聞いてきた。そういえばこのことは佐々木には伝えていなかった。
「本郷の両親が経営している旅行会社はここ最近かなりの赤字続きなんだ。まだ倒産はしていないが、かなりの借金があり、本郷自身も今、お金に困っているんだ。」
「そんな情報どこで」
「佐々木、バカかお前は今日の朝のニュースでもやっていたし、スマホでも簡単に調べられる。」
「待って、何で私がお金に困っているなんてわかったの?会社がお金に困っていても私には関係ないかもしれないじゃない。」
本郷は言われたくないことを言われたからなのか少し怒っていた。
「いや、それが簡単にわかったのさ。お前の言動には違和感がありすぎる。まず、金持ち子供はイカサマをしてちまちまと金を稼ごうなんてことはしない。現にこのクラスでもじゃんけんなんかで数百万賭けている者もいる。他には、俺が身体を自由にしていいといったときに、そこまでの反応を示さなかったが、俺を借金の連帯保証人にもしていいと言ったときこの勝負に乗ったからな。」
「確かにそうだったかもしれないわ」と本郷は言った。
「しかも、俺に負けた後半泣きになってたじゃないか。金持ちならそうはならねえ」
「ちょっと待ってください。」それは佐々木の声だった。
「なんだよ佐々木」
「本郷さんがお金に困っているなんて僕聞いてません。そのことを知っていたなら、藪崎さんに協力していません。その情報わざと僕に言いませんでしたね。それを言えば僕が協力しないとわかっていたから」
「ああそうだ、敵を騙すにはまず味方からってことだ。俺のためによく働いてくれたよ。もうお前は用済みだ佐々木。」
その直後佐々木は俺に殴りかかってきた。それを避けることはできたがあえてそのパンチをくらった。
「暴力行為は禁止だ。」俺の読み通り立花が来た。
「ペナルティーとしてお前の所持金全額没収だ。拒否権は無い」
「そんな、待ってくださいお願いします。」佐々木は抵抗していたが立花が教室の外に連れて行った。
これで俺に屈辱を味合わせた二人に大ダメージを与えることができた。もうこの教室では、俺が最強だ。
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