自由を求めた先に
初めて連載作品を書いてみました。
まだまだ慣れないですが読んでいただいて感想頂けたら喜びます。
キャラの名前が第1話にして出てませんが2話には出しますので許してください。
皆さん読んでくださいお願いします。
目を開けると私は知らない部屋にいた。
見渡す限りは真っ白な壁、真っ白な天井、家具は最低限しかない。
「……どこなのここ」
頭がぼんやりして思考が上手く働かない。
ここに来る直前の記憶は確か……。
「そうだ、私は死のうとしたんだ」
そう、私は自殺を実行した。
この世の全てが嫌になり、全てを捨てて自由になりたかった。
死んだ筈の私がなんで生きてるの?
「ここが天国なの?」
私が無意識に呟いた途端に部屋のどこにあるのか分からないがスピーカーのようなものから声が聞こえてきた。
「ぷぷぷっ、君は何を言ってるのかな全てから逃げ出した君が天国になんか行けるわけないじゃん」
私に向かって言われたのであろうその言葉は悪意に満ちていた。
「で、でも私はこの世に迷惑をかけていない」
吹けば飛ぶような反論が口から無意識に出た。
そして謎の声は更に悪意を込めて言葉を返してきた。
「何もしていないだけでしょ?何もしていないのは悪だ」
「だってこの世に何も貢献していないんだもん」
「それって生きてる意味あるのかな?あ、無いから自分で死を選んだのか」
私はこの言葉に対して何も反論が出来なかった。
顔は真っ赤なのだろう見なくても分かる。
顔色を伺われないよう下を見て耐えるしか無かった。
「ぷぷぷっ、ごめんごめん。意地悪しすぎちゃったね正論ばっか言ってごめんね」
また悪意を込めた言葉で私を攻撃してくる。
私は今の状態から逃げるかのように話題を変える。
「ねぇ、ここはどこなの? 貴方は誰なの?」
声が止む。
気を損ねてしまったのだろうか。
こんな悪意をむき出しの相手にさえ気を遣ってしまう自分が大嫌いだ。
「うん、そうだね。そろそろ本題に入ろうか」
「今この部屋にいるのは君だけだ」
「この建物には君みたいな世界にいらないクズどもがいっぱいいるんだ!! 」
「私以外の人間がいるの? 」
「ぷぷぷっ、いるとも君は特別じゃないんだから」
「むしろ君のせいでゲームを始められなくて困ってるだよ?」
ゲーム?何を言ってるんだ。
理解が追いつかない。
「いいから早くその部屋から出ようよ」
「みんな君のせいで迷惑を被っているんだよ?」
私はその言葉を聞き急いで立ち上がった。
自由になったはずなのに自由ではなかった。
むしろ他人に迷惑をかけていた。
白い壁に取り付けられている白い扉を勢いよく開けた。
部屋から出るとやはり人が居た。
見た感じだと9人だった。
私のせいで待たせて迷惑をかけた人達だ。
「ご、ごめんなさい」
本心なのか自分を守るためなのか分からないが謝罪の言葉が自分の口から出てきた。
ただ私は相手の人達を見れず蹲って縮こまって隠れようとしていた。
隠れる事など出来ない。
自分でも分かっている。
現に他人の視線が私に刺さっている。
そんな気がする。
被害妄想なのか真実なのかも分からない。
どうしようと考えていると足音が近付いてきた。
「大丈夫? 君も変な声によって辛い目にあったのかい? 」
「気にしなくていいんだよ。多分だけどアイツは集められた人の信頼関係を築かせないようにしてるんだと思うよ」
客観的に見ても容姿の整った彼は私に視線の高さを合わせ優しい言葉で優しい声色で私に話しかけてくれた。
「もー、邪魔しないでよ。せっかく君達の関係を最初っからギスギスにしてやろうと狙ってたのにー」
悪びれる様子もなく謎の声は聞こえてきた。
まるで道端の雑草を踏んでしまった程に罪悪感など感じれない。
「お前の狙い通りにはいかせない。何者か分からないが早く要件を言え」
先程の青年は正義感からか謎の声と戦う。
「まぁまぁ、そんな焦らずに」
「時間はいっぱいあるんだからゆっくりしようよ」
すると真面目そうな青年が謎の声の後に続き発見した。
「なんでもいいから早くしてくれ」
「俺は元に戻りたいんだ。せっかく……」
そこから言葉を言い淀んだ。
そうだ私も勇気を出して死に向かっていき自由を手に入れたんだ。
それなのになんでまた他人のいる世界に戻らないといけないの。
「……わ、私も早く元に戻りたい」
勇気を振り絞って言葉を発した。
「しょうがないなー、それじゃ元に戻るためゲームの説明をするね」
「とりあえず2人組作ってみよーぷぷぷっ」
嫌な言葉を思い出した。
トラウマといっても過言ではないだろう。
いつも私はこの2人組になるという作業で1人であり続けた。
誰にも私が認識できていないのでは無いのだろうかと思う程に。
思い出さなくていい記憶ばかり思い出し思考ができない。
私はどうすればいいんだろう。
「だ、誰か……わ、私と……」
また私の言葉は誰にも届かないんだろう。
そう思った矢先。
「君、僕とペアになってくれ」
先程の容姿の整った男性が声をかけてくれた。
これは幻覚なのだろうか。
私が現実逃避の末に頭の中だけで生み出したのではないだろうかと考えていると。
「俺なんかで嫌だと思うけどごめんね」
といい私の手を取ってくれた。
彼の手から伝わってくる体温を感じこれが現実だと実感出来た。
私達がペアになるとあの声が聞こえてきた。
「うんうん、いい感じにペアになれたみたいだねー」
「ま、待ってくれ。俺がまだ……」
先程、元に戻れるように発言していた真面目そうな男性が1人で残ってしまっていた。
「ぷぷぷっ、君は元に戻る意味なんてないよね」
「だって君は既にひとりぼっちで自由みたいなもんじゃんか」
(え、自由?彼も元に戻ったら自由になる予定だったの?私と一緒?)
と思考を巡らせていると真面目そうな男性がいる場所から指パッチンの様な破裂音が聞こえその音の方向を見た。
するとそこにいるはずの真面目そうな男性の姿はなくなっており代わりに衣服だけが床に落ちていた。
「え、どういうこと?」
「なんで服だけに?」
「どこに行ったんだ?」
と皆の口から疑問が漏れ聞こえてくる。
そしてその疑問に答えるよう謎の声が発せられる。
「彼は不必要ってことさ。衣服以下の存在価値ってこと。ぷぷぷっ」
「だから消えてもらったんだ。」
き、消えた?皆がそう思っただろうが目の前で見てしまったのだ。
先程までいた真面目な青年が一瞬のうち消えて衣服だけが残った。
この空間で誰の目を盗んでそれを実行するトリックはない。
ということは必然的に常識ではありえない力を用いたとことになる。
そう考える以外に思いつかない。
思考放棄のようなものだがそれ以外選択肢はなかった。
「ぷぷぷっ、それじゃ第1ゲームを発表するね」
「第1ゲームは簡単。ペアを組んだ2人の内どんな方法でもいいから1人を選んで犠牲にして下さい」
「あ、さっき消えたクソガキみたいに消されるわけじゃないから安心して」
「消されるとどんなに酷い生活をして背負う不幸より圧倒的に不幸で不穏で不快な地獄を味わうんだ」
「それに引替えこれから各ペアから選ばれた1人は地獄のような苦痛を味わうだけだから」
「ぷぷぷっ、さぁ第1ゲームがスタァァァァーーーーーーーーーーーーーーート!! 」
皆誰も何も言葉を発することは出来なかった。
各々様々色々な考えを思いついてるのだろうが変に先頭を切って被害をくらう可能性が少しでもある限り動けない。
「あ、1つ伝え忘れてました」
「どんな方法でもいいって言ったけど暴力や犯罪になるようなことは禁止だよ」
「君達は皆本来自殺して集まってるから人権なんてないけど仮でも人権作らないとつまらないからね」
「あ、あくまで第1ゲームはだから第2ゲームはどうなるか決まってません」
「以上!! 」
「「「えっ……」」」
(え、皆自殺? 私だけじゃなく!? それじゃこの人も?)
ペアになってくれた容姿の整った男性この彼も自殺していた?
彼の暖かかったはずの体温はもう伝わっておらず視線はもう合わなさい。
そんな状態で彼は唇を震わせながらやっと聞こえる程の大きさの声で言葉を発した。
「ご、ごめん……君が犠牲になってくれないか」
そうしてお互いが自殺者ということしか知らない環境で第1ゲームが始まった。