第2話 異常事態
「本部より入電。第2小隊、第4小隊、第5小隊より緊急援軍要請。未確認種の為、対応不可。第1小隊に援軍求む。とのことです。」
風見伍長から次から報告が入る。今までこんなことがなかった為、全員が真剣な顔をして指示を待っている。
「風見伍長、第3小隊並びに元帥に通信を繋げ。」
「了解。繋げました!」
『蓮と隼人か。さっきの通信を聞いたな。第1小隊並びに第3小隊は援軍に向かえ。異界化はこちらで対応する。出来ても足止めぐらいだがな。』
「それについて提案があります。第1小隊を第5小隊の援軍に第3小隊を第4小隊の援軍。第2小隊の援軍に隼人を向かわせます。そして異界化には自分1人で行きます。」
「「なっ。」」
全員がそれを聞いて驚く。援軍については妥当と考えているだろう。しかし異界化に1人で入るとは思っていなかったみたいだ。
『そんなことを許すと思っているのか?』
父さんは厳しい顔して聞いてくる。僕が親でも許可できない。しかしそれしか方法がない。
「それしかないです。そして現場の指揮は第1小隊隊長である自分に一任されています。それでは。」
それだけ言って通信を切る。
「各員、聞いていたな。神楽、森、山本は第5小隊の援軍に向かえ。指揮は神楽少尉に従え。風見伍長は此処で新人2人で待機。以上。」
「「了解。」」
指示を受けた隊員が返事をして、援軍に向かう。僕はこの場に残っている神代殿に挨拶をして異界化の場所に向かう。
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数分後、とある山の中にいた。
『隊長。そこを真っ直ぐに行くと入口があります。ご武運を。』
風見伍長の案内を受けて入口に着く。入口は景色が歪んだみたいになっており、中が見えないようになっている。
「さてと入りますかね。待っている人もいますし。」
そう言って入っていくと今までに見たことがないような景色が広がっている。無数のゴブリン、鬼が数匹、未確認種はドラゴンだった。
「特別手当でるかな? これ。」
こっちの準備が整っていないと見たゴブリンが群がってくる。あまりの数の多さに吐きそうになる。
「うっ。気持ち悪い。【全てを燃やし尽くせ。インフェルノ】」
火魔法の最終奥義を放つ。無数にいたゴブリンたちは消え。残っているのは鬼と竜だけだ。
『ゴブリンの反応、消えました。残りはオーガとドラゴンのみです。』
風見伍長から報告を聞きながら、ふっと思った。同時に発生するのはおかしい。今までも1小隊が回っていても発生件数は少なかった。それが起きたということは狙いは別にある。
「急がないと!【聖剣召喚 万物を斬り裂く剣よ、我の求めに応じ姿を顕せ。聖剣エクスカリバー】全てを斬り裂けエクスカリバー!」
残りの魔物を倒す。消滅を確認して異界から出ようとした時、人の気配を感じた。そこにはピエロの格好をした人物がいた。
「流石は数多な世界を救いし者、《異界の英雄》ですね。私が用意した魔物が僅か数分で倒されるとは。」
「何を言っている?《異界の英雄》ってなんだ!」
ピエロが話してる内容に聞き覚えがなく問いかける。相手はいきなり笑い出した。
「ははは。そうですか。記憶を無くしましたか。その答えはいずれわかりますよ。それではまた会いましょう。《異界の英雄》レン=クロスフィールド」
そう言ってピエロは消えていった。なんだったんだ。それにクロスフィールドってなんだ。僕は何かを忘れているのか。
「ん?これは?」
ピエロがいた場所に透明なカケラが落ちていた。それを拾った瞬間、強烈な頭痛が襲った。そして僕は意識を失った。