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英雄の帰還   作者: 神谷 蓮
プロローグ
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第1話 思わぬ再会

僕と隼人は理事長室を後にして、隊舎に向かう途中にさっき聞いた話について話し合う。


「蓮、どう思うさっきの話。」


「何かあるのは間違いない。たぶん関連しているのは王女殿下の転入しかない。」


「そうだよなぁ。それより新人教育なんてしたことないのにどうしようかなぁー。」


「僕の方もないよ。現場で覚えてもらうのが一番なんだけど。はぁ〜。」


2人してため息をつきながら、目的地に着いた。一見普通の校舎になっているが内部は違う。最新型の通信設備に特殊訓練室、宿舎にもなっている。もちろん関係者しか入れないようになっている。


「とりあえずは新人に会うか。報告は後で。」


「了解。」


僕と隼人は自分達の小隊室に入っていく。中には4人の部隊員が各自の机に座っていた。そして全員、僕が入ってくるのを見て敬礼をしてくる。


「敬礼をしなくても良いのに…。楽にしてください。」


「おかえりなさい、隊長。この時間に来るのは珍しいですね。」


声を掛けて来たのは、小隊の副隊長である神楽 瞳 少尉。自分の副官である。髪は後ろで結んでいて、スタイルはモデル体型だ。100人が全員認める美人だ。年齢は17歳。僕と一緒で学生をしている。 2年C組だ。


「どうせ何時もの特務だろ。」


次に声を掛けて来たのは、筋肉ダルマみたいなおっさんだ。部隊の壁役と言われている 森 大輔 軍曹。年齢は27歳で普段は学内の警備員をしている。


「そうだと良いですが。隊長の顔を見ると厄介ごとだと思いますね。」


次が見た目と言動は優男に見えるが、中身は正反対のドS男、山本 真斗 曹長 年齢は24歳、化学講師をしている。


「皆さん、隊長の話を聞いた方が………」


最後に話したのは部隊最年少である物静かな女の子だ。小隊のオペレーターをしてくれている。見た目は見たまんまの文学少女で、ある事件に巻き込まれてこの小隊に来た。名前は 風見 風夏 伍長 。年齢は一個下の16歳。1年B組の学生だ。


「みんなの予想通りです。明日からこの学校に転入してくるアイリス=アースティア王女殿下の護衛任務と今日から配属予定の新人教育があります。それと嫌ですけど、僕の昇進もあります。はぁ~。」


「昇進するのですか?それはおめでとうございます。隊長」


「そりゃめでたいな!」「どうせ強制昇進じゃないですか?隊長のことですし。」


各自昇進について祝ってくれているが、1人だけ固まっている。


「風ちゃん、どうしたの?」


瞳少尉が心配して声を掛ける。風見伍長が固まる理由は簡単だ。重度の人見知りだ。部隊の誰かと一緒にいないと挨拶も出来ない。


「さっき、蓮お兄ちゃんが新人さんが来るって…。」


「「えっ。」」


驚いて全員がこっちを見ている。風見伍長も驚いて普段の話し方に戻っている。


「本当です。第1小隊と第3小隊に2名配属されます。その為、通常任務は無しです。」


「初めてじゃないのか。新人が入ってくるの。」


「そうですね。隊長と風ちゃん以外全員部隊訓練を受けてから配属ですから。」


「別にいいじゃないか。やっと新人イジメが出来る。」


「山本曹長、やったら減給ですよ。」


そう話していると扉がノックされた。たぶん新人が来たのだろう。そう判断した全員は整列する。


「はい。どうぞ。」


僕は返事をして入室を促す。どんな人が入ってくるのだろうか。


「失礼します。本日より配属になりました。神谷 春香 三等兵です。」


「同じく、神代 恵 三等兵です。よろしくお願い致します。」


僕は2人の挨拶を聞いて、すぐ父さんに連絡する。それを見て全員が首を傾げている。


『おう。蓮かどうした?』


父さんはいつもと同じように聞いてくる。僕はその態度にも苛立ったが、それより聞かないといけないことがある。


「これはどういうことですか!」


僕は2人を指をさし聞いた。入ってきた人物が2人とも知り合いで片方は義妹で、もう片方は許嫁だった。


『ああ、そういうことか。2人が第1小隊に配属の新人だ。お前に任せた。』


「どうしてこうなったのかを聞いているのです。」


父さんと話をしていると後ろの方から声を掛けられた。そこにいたのは白髪頭で髭を伸ばしており着物を着た1人の老人だ。


「蓮君、慌てなさるな。そのことについては儂が説明をする。」


『神代殿、貴方が来られるとは思っていなかったです。後日、改めて挨拶にお伺い致します。この場をお任せ致します。』


「春人殿、任された。」


そう会話をして通信を切る。僕以外の全員が敬礼をして立っている。


「神代殿、お久しぶりです。取り乱して申し訳ございません。」


「別に気にしていないよ。蓮君の気持ちを考えればな。説明をしようと思うが隊員を外してもらえるかな。」


「申し訳ございません。それは出来ません。僕の部隊に入るならば隠し事は無しとなっています。例え国が関与していてもです。知らなかったことで隊員に怪我をさせるわけにはいけません。」


「流石じゃ。それでこそ恵の許嫁じゃ。では話そう。」


話された内容は簡単だった。今まで恵が僕たちの敵に襲われていたこと。神代家で対処していたが出来なくなったこと。父さんに相談して僕の部隊に入れることにしたこと。それを相談した時に春香がいて、春香も入ることになったこと。


「蓮君、どうかお願いする。恵を守ってくれ。」


神代堂が話の最後にそう言って頭を下げる。


「わかりました。……どうした!」


そう返事をした時に警報が鳴る。風見伍長が通信に入る。


「異界化が発生しました。内部には未確認種 1 、オーガ 4、ゴブリンが多数です。第1小隊に出撃命令が出ました。」

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