表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
英雄の帰還   作者: 神谷 蓮
プロローグ
12/26

第11話 黒龍の契約者

俺の名前は北条 光だ。学校では問題児だと見られている。当たり前だよな、授業は出席しない、出席しても寝ているだけだ。放課後になれば喧嘩をして警察沙汰。そんな俺にも守らないといけない大切なものがある。それは幼馴染だ。小さい頃から俺の面倒を見てくれていた彼女を守るためなら何だってする。そうそれが異世界に来たとしても。


「勇者様、この度はこちらに来て頂きありがとうございます。改めて自己紹介致します。私は伯爵位 ブグス=ブレッド、と申します。」


俺はあの後この伯爵に案内された部屋で座って、話を聞いていた。


「俺は北条 光だ。光が名前で北条が家名になるのか、この世界では。」


「そうですね。ヒカル様は焦らされるのは苦手に見えますので、単刀直入に申します。我々に力を貸して頂きたいのです。」


ブレッド伯爵は真剣な表情をして話してくる。そこまで危機が迫っているのか。


「魔王がそこまで迫っているのか?」


「魔王についてはまだ時間があります。それとは別件です。今この国は七公爵によって乗っ取られているのです。それを陛下の手に戻すにはヒカル様のお力添えが必要なのです。どうか我々にお力をお貸しください。」


ブレッド伯爵が頭を下げて頼んでくる。しかし俺はこの力を使って守らないといけない。そんな葛藤をしていると再びブレッド伯爵が口を開く。


「我々に協力して頂ける場合、ヒカル様の望みを叶えましょう。例えば王になりたいならこの国を、女の子が欲しいなら絶世の美女を、元の世界に戻りたいなら送還術式を授けましょう。」


俺はその言葉を聞いて了承することにする。


「ブレッド伯爵、条件がある。一緒に召喚された神代 恵という女の子を保護して欲しい。他はどうなっても構わない。彼女だけを守ってくれるのなら、俺は力を貸そう。」


「わかりました。こちらで手配致します。それとこれをお使いください。」


ブレッド伯爵は黒い龍を描かれた手帳を渡してくる。


「これはただの手帳に見えるが。」


「そうですね。それは初代国王陛下が使っていたものです。そして魔力を通すことによって形を変えると言われています。我々では出来なかったですが、ヒカル様には出来るかと。」


俺はその言葉通りに魔力を通してみた。いきなり手帳が光出し、気がつくと服が黒い軍服になり手には龍の紋章が刻まれた黒刀があった。


「流石です、ヒカル様。これで七公爵と戦うことが出来ます。先程、約束致しました女性の件お任せを。」


ブレッド伯爵はそれだけ言い部屋を出て行った。そんな中で俺は自分の中にいる黒龍と話していた。


『邪魔な人間は消えた。これで我とお前だけで話せるな。』


「ここはどこだ!」


俺はそう叫ぶ。さっきまで部屋に居たのに、今は暗い空間にいる。


『きゃっ。もうそんな大きな声で叫ばないでよ。折角の演技が無駄になったじゃない。』


「え。」


俺は聞き間違えたのか?さっきこの黒龍から女の声が聞こえた様な気がする。


『ここは貴方の意識の中よ。私の契約者さん。今回の契約者さんは随分と可愛いわね。前の彼は怖かったから、尚更良い。』


俺のことを周りながらそんなことを言う。


「それで何の用だ。俺にはやらないといけないことがある。邪魔をしないでくれ。」


『それは魔王を倒すこと?それともこの国を滅ぼすことかしら。それは無駄な時間よ。』


「それはどういうことだ。」


『そのまんまの意味よ。あのブレッドという男は貴方を利用しようとしている。そもそも魔王が攻めて来ているのもあの男の所為よ。あれが魔王が保護している魔族に手を出したから。そして七公爵と国王は普通に統治している。国民からも信頼されている。文句を言われているのはあの男と取り巻きの連中だけよ。貴方は騙されただけ。』


「そうか…。それじゃ恵はどうなる!」


『まだ間に合うわ。私の力を使って助け出しなさい。貴方が本当に勇者というなら。貴方が守りたいと思う人の為に。』


俺はその言葉を聞いて走り出す。俺が守るべき者の為に。

――――――――――――――――――――――――

「そんな勝手なことしたら怒られるよ。彼に。」


私の後ろから声が聞こえて来た。振り返ると黒いローブを来た1人の青年だ。


「別に良いでしょ。基本的に私達は自由なのだから。それより帰って来ただ。おかえり。」


「ただいま。クロすけ。それと好き勝手するから彼に怒られていたことを忘れずに。」


「その名前で呼ばないで。それよりコッチに戻ってきたのなら彼も戻って来たの?」


「う〜ん。戻って来たのは戻って来たけど、彼記憶を失くしているよ。正確には封印されている。まぁ仕方がないけどあんなことがあれば。」


「そう。」


私はそう短く返事をして部屋から消えようとする。


「クロすけ。彼にはハクが付いている。あっちに任せておけ。君は新たな契約者を助けてやってくれ。それじゃあ行くよ。また今度。」


そう青年は言い消えていった。私も後に続き消える。新たな契約者のところに向かう為に。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ