第10話 女神襲来
『蓮君、助けて…。』
僕はその声を聞いただけで我を忘れた。今会議をしていることも周りに人がいることも忘れて、魔力が荒れ狂っている。他の人たちは冷や汗を流しながら黙っている。そんな中で陛下に戦闘許可を願う。
「陛下、城内での武器と魔法の使用許可を。」
「七龍公には城内での使用許可はある。ただし周りに被害が出ないようにだ。」
「わかりました。では、皆様方少しの間お待ちくださいませ。【転移】」
僕は他の人たちに挨拶をしてその場を後にした。
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神谷 春人 視点
「それにしてもいともカンタンに魔法を使うとは…。青龍公、あなたは使うことは出来ますか?」
緑龍公が俺に聞いてくる。流石に俺でもアイツが作った結界を無理を通して破壊も出来ない。
「流石に俺でも無理だな。そんなこと出来るのは蓮と「私だけでしょうね。」」
その声とともに神々しい光が部屋の中に満ちる。その光が収まった中から出てきたのは、銀髪を長く伸ばしいて、碧眼の女性だった。
「なんだ。お前も来たのか。」
「なんだとはありません!どれだけ心配したと思っているのですか!ハルトもレンもいなくなって…。」
「それはいいとして、春香はどうした?置いてきた訳じゃないだろう。」
「ハルカにはレンの抑えに行ってもらいました。記憶の封印が解け掛けています。本来の力を使われてしまうと辺り一帯焦土に変わります。」
「それもそうか。陛下、城内の緊急避難を指示してください。一応は七龍公の力と彼女の力を借りれば被害は出ないように出来ると思います。」
俺は女性の方に手を向けて陛下に言う。こいつの正体を話すと面倒なことになる。ラークの方は頭を抱えている。髪色を変えただけだから簡単にわかるからな。
「ハルト殿、そちらの女性は誰なのだ?」
「陛下。聞かない方がよろしいですよ。シャルル王女を見てください。ずっと頭を下げているじゃないですか。それで察してください。」
俺に質問してきた陛下の問いにラークが代わりに答える。それよりシャルル王女、いつの間に気付いたのだろうか?。まぁアイツの巫女でもあるから気付けるか。
「そう言えば自己紹介してませんでしたね。私はハルトの妻で、レンの母親です。そしてこの世界の女神イシスなのです!」
イシスが胸を張ってドヤっている。なんか見ているこっちの方が恥ずかしくなってきた。陛下たちは唖然としている。それもそのはず。いきなり現れた人が自分は神ですと言えばその反応になるよ。それより身分をバラすなと言ってあったのに後でお仕置きだな。
「くっ、これは一体…。」
全員がひざをついて座っている。まるでそうすることが当たり前の様に。そんな中で1人立ち上がった人物がいた。それはシャルル王女だ。しかし発しられた声は彼女のものではなかった。
『「完全に我を忘れていますね。私が行くしかありませんね。女神イシス様、彼のことはお任せを。」』
「わかりました。貴方にお任せします。シャルスティア。」
こうしてシャルル王女も蓮の後を追って出て行く。