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英雄の帰還   作者: 神谷 蓮
プロローグ
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プロローグ

暗い闇の中に光る場所がある、僕はそれを目指して走るが辿り着けない。それを知っているのに僕は諦めない。そこには大切なものがあると信じているからだ。不意に頭に衝撃を感じた。どうしたのだろうか?


「神谷君、いくら頭が良いからって授業はしっかりと受けてくれると先生、嬉しいな〜。」


そんな声を聞こえて慌てて目を開けた。目の前には長い黒髪で童顔、スレンダー体型の女性が立っていた。手には辞書を持っており、たぶんさっき感じた衝撃はこれで叩かれたからだろう。


「絢香さん、いくらなんでも辞書で叩いたら駄目ですよ。」


僕は頭をさすりながらそういうと、もう一度叩かれた。


「蓮君、学校では先生です。とりあえず起きたのなら良いですが、後で科学準備室に来なさい。」


「わかりました。」


そう返事を返すと授業を再開する為に、黒板の前に戻っていく。まぁやり取りから分かる人には分かると思うが、小さい時からの知り合いだ。後ろで笑っている僕の親友の母親だ。


「蓮、駄目だぜ。母さんの授業で寝ていたら、後で何言われるかわからないのだから。」


「隼人、お前も寝ていただろ。」


「気づかれていないから、大丈夫だ。」


「そうかい。怒られる前に授業に集中するぞ。」


「おう。」


今、話していたのが僕の親友である、綾瀬 隼人だ。見た目は一言で言うと誰もが認める、イケメンだ。スポーツ万能、勉強もトップクラスの部類だに入る。小さい時からずっと一緒にいた幼馴染みだ。


隼人のことを考えていたら、いつのまにか授業が終わったみたいだ。絢香さんが号令をかける前に放送が流れた。


『今から呼ぶ生徒は理事長室に来てくれ。2年A組 神谷 蓮、綾瀬 隼人、1年A組 神谷 春香、至急理事長室まで。』


「蓮君、隼人、また何かしたの?正直に私に話しなさい!」


絢香さんが如何にも怒っていますって顔で迫ってくる。僕と隼人はお互いに頷いて、理事長室まで逃げる。


「あっ、逃げた。隼人、家に帰ったら覚えていなさい!」


そんな絢香さんの声を聞きながら、僕達は理事長室に着いた。そこには銀髪でスタイルが良く、顔も可愛い女子生徒がいた。まぁ、僕の血の繋がりはない妹だ。


「あっ。兄さん、隼人さん。」


「おっす。春香ちゃんも何かしたのか?」


「人の妹を問題児扱いするな。お前とは違う。」


「兄さん、それを言ってしまうと自分は問題児ではないと言っていますよ。」


「ひどい。まぁ、幼馴染みの漫才はここまでにして入るぞ。」


「はい。」「了解。」


僕は扉をノックして入る。目に入ってくるのは奥で座っている1人の男性だ。黒縁眼鏡を掛けていて、見た目は優しいそうに見える。そして僕と春香の父親でもある。


「おう、来たか。悪いが少しそこに座って待っていてくれ。」


「わかりました。」


僕が代表して返事をして、備え付けのソファに座る。それから数分後、理事長の仕事が終わったみたいだ。


「待たせて悪かったな。お前たちに来てもらったのは、明日から転入してくる生徒についてだ。」


「転入生ですか。急ですね。」


「ああ。国からの要請でな。名前はアイリス=アースティア、アースティア王国の第2王女殿下だ。春香には悪いが1年A組に入るから手助けしてやってくれ。」


「わかりました。けど、兄さんと隼人さんが呼ばれた理由はなんですか?」


春香が僕達が呼ばれた理由を聞いた。今の話から関係あるのは、春香だけだ。


「隼人には王女殿下に手を出さないように注意だが、蓮と春香には悪いが王女殿下、明日から俺たちの家に住むからよろしく。」


「「はい?」」


「とりあえずそういうことだから、よろしく。春香は教室に戻ってもいいぞ。蓮と隼人は頼みたいことがあるから残ってくれ。」


「わかりました。父さん、帰って来たら詳しく説明してもらいますからね!」


春香はそう言って理事長室から出て行った。それを確認した父さんの雰囲気が変わる。いくつもの修羅場を超えてきた歴戦の勇者みたいな感じだ。


「で、父さん。本題は何?」


「お前、わかっていて聞いているだろ。」


僕と隼人は話の内容は大体推測出来ている。春香がいたら出来ない話は決まっている。裏の話だ。


「神谷少尉、並びに綾瀬少尉。貴官達にアイリス王女殿下の護衛を命じる。基本的に学内にいる時で構わん。登下校時には神谷少尉が着く。問題ないだろう。それと護衛任務に就く前に2人には昇進してもらう。溜まりに溜まった功績をこの際に精算してしまうとのことだ。」


「げっ。」「うわー。」


2人して嫌な顔をするただでさえ高校生で少尉まで上がったのにこれ以上昇進すると周りの人間にどういう眼で見られるかわからない。それをわかってか父さんが苦笑いをして話を続ける。


「そう嫌な顔をするな。神谷少尉は3階級特進で少佐、綾瀬少尉は2階級特進で大尉だ。第1小隊並びに第3小隊には各2名新人が入る。これより隊舎に向かい新人が来るまで待機だ。」


「ちょっと待ってください。昇進についてはまだいいとして、新人の配属については異議ありです。」


僕は父さんの話が終わって、新人配属について慌てて待ったをかける。


「何か問題があるか?」


「俺からも配属について異議があります。」


隼人の方も配属については不満があるみたいだ。普通は他の小隊からの移動だけで新人の配属はない。これは第1小隊と第3小隊が特務があるからだ。新人を入れたところで足手まといにしかならない。


「今まで小隊に配属されるのは別の部隊からでした。これは自分達が特務に就くことが多いからです。新人が入ったところで足手まといにしかなりません。第3小隊隊長として配属の撤回を求めます。」


「第1小隊隊長として同意見です。」


隼人が撤回を求めたので、僕も合わせて求める。それを聞いた父さんは厳しい顔をして言う。


「2人の意見はわかった。しかしこれは決まったことだ。撤回はしない。ただし第1小隊と第3小隊には王女殿下の護衛がある為、通常任務はなしとする。任務をなしにする代わりに新人教育を行え。以上、下がれ。」


「「了解」」


僕と隼人は納得していないが理事長室から出て、学内にある隊舎に向かう。



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