66話.レオナ
くろむに話しかけられたレオナはゆっくりとした口調で話し始めた。
レオナ「正直、あんまり戦いたくないわね、あの強さを見た後ではね」
「でも戦わないとするのは、バロンに対して少し悪い気がね……」
「というわけで…… 少しぐらいはあがいて見せるわ」
レオナはそう言いつつ舞台に上がった。
くろむ「自信がないのか、謙虚なだけなのか……」
「転生者が弱いわけないしな、判断に困るコメントだな」
レオナ「単純にあなたが強すぎるだけよ、私だってサタンよりは強いわ」
「あそこまでの圧勝はできないけどね」
くろむ「相性の問題な気もしなくはないけどな」
レオナ「どうかしらね、私の能力は炎に特化しすぎているわよ」
そういうと、レオナは自分の前に炎に包まれた巨大な大剣を召喚した。
レオナ「神殺しの焔」
「悪戯好きの神であるロキが鍛えし魔剣が私の魔力を食らった姿よ」
くろむ「レーヴァテインときたか……」
「しかしなぜロキが鍛えた剣をレオナが持ってるんだ?」
レオナ「バロンとロキは悪友らしくてね、転生者に渡したら
面白いんじゃない? ということで私の元にきたのよ」
くろむ「ホントにロクな神がいない世界だな……」
レオナ「同感ね」
くろむ「手の内を晒してくれたんだし、俺も能力の一部を教えるよ」
「まず魔術、これは基本6属性は全て使える」
「上位属性としては氷と雷も使えるよ」
「さらに、それらを好きに混ぜ合わせた混合魔術も自由に使える」
「この辺は今までの戦闘を見てればわかるとは思うけどね」
「あと、俺のMPや魔力はアホみたいな数値になってる」
「そして自然回復量がぶっとんでるから、まず魔力切れしない」
レオナ「…… それを聞いただけでどうやって勝つの? だけどね」
くろむ「あと、他にもいろいろあるけど、空間操作ができる」
「サタンとのときにちょいちょい使ってたからわかると思うけどね」
レオナ「あれって錯覚とか幻術の類ではなかったのね……」
くろむ「ちなみに俺はこの世界にきてからまだ1度も本当の意味での
本気になったことがない」
「全ての自重をせずに、後先考えずに…… ってのはね」
レオナ「それで7大悪魔全員を倒してるんだよね…… 」
くろむ「レオナは炎が得意な転生者なんだよな?」
レオナ「えぇ、そうね」
くろむ「ということはさっき使ってた黒炎とかも含めた全ての炎を支配できる」
「その上であと1~2個の能力を持っていると思っている」
「転生者ならそれくらいだろ?」
レオナ「悔しいけど、おおよそあってるわよ」
くろむ「その上で宣言するよ、俺はこの場から一歩も動かずにレオナに勝てる」
レオナ「!!!!!!」
「さすがにそれは舐めすぎじゃないかしら?」
くろむ「最近自覚しだしたんだよ、俺の能力は異常すぎるとね……」
「一歩も動かないまま、レオナを拘束する術をいくつも思いつくよ」
レオナ「さすがにそこまで言われたら、痛い思いをしてもらうしかないわね」
レオナは膨大な炎を纏い、神殺しの焔を右手一本で
肩口に担ぎあげ、左手より黒炎球を50個生成させた。
レオナが生成したそれは、ベルゼブブが最後に生成したものを
軽く上回るほどのものであった。
くろむ「さっすがぁ~♪」
「炎を支配するというのも伊達じゃないね!」
「いつでもOKだよ!!!」
くろむは両腕をだらっとおろしたノーガードの状態でそう言った。
この言動はレオナをさらにイラっとさせた。
レオナ「消し炭になるといいわ!!!!」
レオナは黒炎球をすべてくろむに投げつけた。
そして、神殺しの焔を無数に分裂させ、飛剣としてくろむ目掛けて飛翔させた。
その飛剣の数、おおよそ1000本。
前方より50個の黒炎球、全方位より神殺しの焔を分裂させた飛剣1000本が
一斉にくろむに目掛けて飛んできた。
さらに、その背後で膨大な炎を両手に圧縮させているレオナの姿を
くろむは捉えていた。
くろむ「こりゃすげー迫力だな、でもいいテストにはなるな」
黒炎球の1個がくろむに着弾したのを皮切りに、次々を全てが着弾する。
くろむの居た場所は激しい炎が渦巻き、何も見えない。
レオナはその炎の渦目掛けて、特大の魔術を発動した。
レオナ「炎魔焦熱地獄!!!!」
レオナから放たれた魔術は炎とはもうとても呼べない超超超高熱の魔力の
塊であり、触れたものを全て分子レベルで焼却消滅させるという魔術であった。
炎の渦に炎魔焦熱地獄が到達した瞬間、
炎魔焦熱地獄は炎の渦全てを消滅させながら、突き抜けた。
しばらくすると、視界が開けてきた。
レオナ「はぁ…… はぁはぁ……」
「これで跡形もなく消し飛んだはず……」
「!!!!!!!!!!!!」
くろむ「さすがにこれはヤバイかもって焦ったぞ」
レオナ「消し飛んでいないどころか、無傷ってどういうことよ!!!!」
くろむ「種明かしは単純だよ、俺の周りの空間を違う次元と繋げた」
「理論上はこれで完全な防御のはずなんだけどな、確認とレオナの力を
見てみたかったから、少し煽ってみた、すまん」
レオナ「……」
くろむ「驚くことでもないだろ? 空間を操作できるって伝えてあったし」
レオナ「ここまでと思うわけないでしょ……」
「というか、ここまでのことを確認する必要あったの?」
「私は、カロライン王国で他の転生者4人と一緒にいたけど、
正直あなたに勝てる人なんていないわよ」
「たとえあれから成長してたとしても…… ね」
「それくらいあなたは別次元の強さだわ……」
くろむ「その情報はありがたいな、正直転生者だけは不気味で怖いからな」
「でもこの確認は転生者用じゃない…… かな」
「ちょっと悪い予感がしててね…… そのためだよ」
レオナ「あなたがそこまで慎重になる悪い予感とかなによ……」
くろむ「その説明の前に従属してもらうぞ」
レオナ「…… わかったわよ」
くろむ「安心しろよ、奴隷とかにするわけじゃないからな」
その後、くろむはレオナを従属させたが、名づけだけはやめておくことにした。
さすがに転生者の名づけはマズイことにしかならないと思ったからだ。
ナビ 「それは正解だと思うわよ、
転生者に名付けるのは神の特権と聞いたことがあるわ」
くろむ「マジか!? じゃあ辞めといて正解だったかもな」
「んで……」
ナビ 「はいはい、わかってるわよ、いつもの説明でしょ」
くろむ「そうだけど、今回はちと待った」
「一応ルームの中でやってもらうよ」
くろむはルームの入口を生成し、アモン・サタン・レオナを中に誘導する。
そしてナビは、慣れた口調でアモン・サタン・レオナにいつもの説明をした。
くろむ「ナビいつもありがとうな」
「んで、3人さんはこのことは俺の従属者以外には他言無用な」
「仲間たちにはこのあと会わせることになるよ」
アモン「まったく理解が追いついていないんですけど……」
ナビ 「今すぐ理解する必要はないわよ、
くろむはチート野郎とだけ覚えておけばOKよ」
くろむ「おい……」
アモン「あはは…… とんでもない人をご主人にしたのだけはわかったわ」
ナビ 「今はそれで十分よ」
サタン「闘いのときも言葉を失うほど驚いたが……」
「お前は本当に人族なのか?」
くろむ「ステータス上は人族らしいよ」
サタン「……」
ナビ 「くろむの細かいところを気にしたら負けよ」
くろむ「酷い言われようだけど、だいたいそれでいいよ……」
レオナ「想像できる範囲のギリギリ限界の状況なのはわかったわ」
「とりあえず、さっき言ってた悪い予感ってのも含めて話を
聞きたいわね」
くろむ「そうだな、ただ俺は自分の国アイギスのことも色々気にある状況でな」
「一旦帰国するからついてきてもらうぞ、そこでみんなを紹介するよ」




