58話.無茶な3面作戦
くろむは、呼び出したみんなが集まるまでの時間を使って、
空間術の強化具合の確認をすることにした。
カオスの言った通り、<空間神の加護>は<空間神の寵愛>に変わっていた。
そして増えている空間術の説明を確認した。
くろむ「また、とんでもない3つが増えたな……」
「……」
くろむは、会議室に向かいみんなを待ちながら、今後のことを考えていた。
アキナ「くろむ!! どうしたの!!???」
「緊急って……」
くろむ「みんなが揃ったら話すよ」
くろむの表情がいつもと違い硬いことに気づいたアキナは、
そのまま黙って揃うのを待つことにした。
しばらくすると、みんなが会議室に集まってきた。
くろむ「みんな悪いな、ちょいこっちに来てくれ」
そういうとくろむは、ルーム内の自室にみんなを招きいれる。
全員が入ったことを確認すると、くろむはゆっくりと話し始めた。
くろむ「今までカオスに呼び出されてた」
「あいつが言うには、俺はおそらく悪魔と創造神にケンカを
売られたっぽい」
「そして、カオスがいうにはルーム内は創造神でも
覗けないらしいから、ここに来てもらった」
アキナ「!!???」
くろむ「驚きもツッコミどころもいっぱいだと思うけど、
とりあえず最後まで聞いてくれ」
そして、くろむはカオスから聞いた話を全て話した。
あまりの話にみんなが固まっていた中、カルロが声を出した。
カルロ「デマかもしれないけど、ほんとかもしれないんだよな?」
くろむ「あぁ、俺はおそらくホントだと思ってる」
カルロ「そして、悪魔相手では俺やアキナ嬢でも
兄貴の足を引っ張ることぐらいしかできないんだな……」
くろむ「そこは悲観するな」
「この話が真実であるとした上で、一つ案がある」
くろむは、とんでもない案を語り始めた。
・ダインとサラカを説得して、数日以内にカロライン王国に侵攻してもらう。
最低限の目標は、カロライン王国の同盟参加。
要塞を築いている転生者との敵対はさけること。
できれば、同盟との対等な協力関係を築くこと。
・くろむ以外のアイギス全軍をもって、聖セイクリッド神国に侵攻する。
最低限の目標は、聖セイクリッド神国の同盟参加。
聖セイクリッド神国にいるとされる転生者との敵対はさけること。
できれば、同盟との対等な協力関係を築くこと。
・くろむが単独で悪魔の大陸に攻め込む。
手法は、空間転移の連続使用にて上空から海を渡る。
最低限の目標は、悪魔の主軸および転生者(8人)の従属もしくは、殺害。
この無謀ともいえる3面作戦にて、現在抱えるピンチと大陸平定を一気に行う。
アキナ「!!!!!」
「そんな案はダメよ!!!!」
「くろむが単独で悪魔に攻め込むとか!!!!」
カイン「私も反対です、如何にくろむ様が強いとは言え、無謀かと……」
カルロ「無茶だというのは、俺も同意だけど案には賛成するぜ」
アキナ「カルロさん!??」
カルロ「アキナ嬢、冷静に考えるんだ」
「悪魔たちには、兄貴以外なすすべもなく殺される」
「そして、その悪魔たちは近いうちに攻めてくる」
「この状況で攻められるのを待つの悪手すぎる……」
「なら……」
「兄貴が単独で攻め込んで、頭を潰すしかない……」
カルロはそういいつつ、己の無力さにイラつき、握りしめた拳から血が流れた。
くろむ「お前そんなに冷静に考えれるようになったんだな、嬉しいよ」
「まぁそういうわけだ、反論がある奴は言ってくれ」
誰一人納得はできなかったが、
カルロの言ったことに対して反論できる者は居なかった。
くろむ「俺のワガママを押し通す形になってすまないな」
「でも、これ以上の案が浮かばないし、おそらく時間もあまりない……」
「サラカ/ダインの説得とそっち方面の準備は俺がする」
「アキナ、カルロ」
「お前たち2人は遊撃隊としてカインをサポートしてくれ」
「カイン」
「王国軍の全軍の指揮をお前に任せる」
「苦しい役目だろうけど、すまない任せる……」
カイン「承知致しました……」
カルロ「任せておいてくれ」
アキナ「………………」
「わかったわよ、でも…」
「絶対に死なないでね!!」
くろむ「わかったよ、アキナも死ぬなよ」
「これはお前ら全員もだ!」
「戦争だから死人はでる……」
「でも!!!!」
「できるだけ死なずに帰ってきてくれ……」
くろむの悲痛な叫びに、みんなは強く答え、
ここでの再会を誓い合い解散となった。
くろむは、さっそくサラカの自室に<空間転移>で移動し、
驚くサラカを適当にながしつつ、
<次元扉>でサラカの自室とダインの謁見の間をつなげ、サラカと共に移動した。
マイン「く、くろむ王!!!!!??????」
「急に謁見の間に現れるとはどういうことですか!???」
「それにサラカ殿まで……」
くろむ「無礼は承知の上だ、急ぎダイン王に会いたい」
「今どこにいる?」
マイン「王は自室にいるはずですが……」
くろむ「悪い、至急案内してくれ」
くろむは、<次元扉>を回収しながらマインに願った。
マインはくろむの余りの真剣さより事の重大さを察し、ダインの自室に案内した。
マイン「ダイン王よ、くろむ王が火急の要件で王にお目通りを願ったため、
失礼ながらここまでお連れしました」
ダイン「くろむ王が? よい、通せ」
くろむ「ダイン王、このような失礼な行動お許し願いたい」
「至急のお願いと報告があって参りました」
「ここにおられるサラカ殿にも同様のお願いと報告があります」
サラカ「ダイン王、失礼致します」
くろむ「そして、失礼ですが、こちらの中でお話しますので、お入りください」
ダイン「今更、くろむ王を疑うことなどせぬわ」
サラカ「そうですね」
二人はそう笑いながら、ルーム内のくろむの自室に入っていった。
そして、くろむは二人に説明を始めた。
・自分は転生者であること。
・自分を転生させた神より同盟をターゲットとした悪魔の軍勢が
攻め込んでくる予兆があること。
・その神曰く、まともに悪魔と戦えるものは同盟内にくろむしかいないこと。
・今話したことはこの場のみで他言無用であること。
その上で、3方面作戦の話を伝える。
・ダイン獣王国とルインの連合軍で、カロライン王国に侵攻して欲しいこと。
・ルインの東の砦に軍勢を移動できる<次元扉>を作り、
ダインの王城の中庭とルインのダンの自室につなげること。
・2日以内にルインの東の砦に軍勢を集め、3日以内に侵攻をしてほしいこと。
・この侵攻で最悪でもカロライン王国を同盟にいれること。
・それと同時にアイギス軍にて、聖セイクリッド神国に侵攻すること。
・さらに同時にくろむが単独で悪魔大陸に攻め込み、
ロンダルディア大陸に侵攻できなくすること。
常識的に考えれば、あまりにも無茶で無謀な案であったが、
くろむは、<説得眼>の力を最大限発動させ、説得した。
くろむ「ダイン王、サラカ殿」
「無茶な案なのは、百も承知」
「その上でこの危機の打破と大陸の平定による安定」
「そのために協力してほしい」
「全部が終わったら、全ての国の主要人物集めて宴会でもしようぜ」
ダイン「相変わらずとんでもないやつだな」
「もちろん、宴会の予算はアイギス持ちなんだろうな?」
くろむ「主催するんだから、当然だよ!」
ダイン「ならば……」
「余とダイン獣王国全軍をもって、くろむ王の案に乗ろう」
くろむ「ありがとう」
サラカ「うちは言うまでありませんよね?」
「僕やダンに従順で裏切ることない冒険者を総動員して参戦しますよ」
くろむ「ありがとうな」
「じゃあ、約束の<次元扉>は設置しておくよ」
そう言い残し、くろむは空間転移でガイアに帰還した。




