57話.カオスの胸騒ぎ
くろむは、内政に勤しみ、国内の安定にむけて精力的に行動していた。
そして、そんなくろむを毎日のように観察しているものがいた……
カオス「最近のくろむは面白いね~♪」
「でも、最近なんか嫌な予感がするんだよねぇ……」
カオスは最近妙な胸騒ぎを覚えていた。
気になったカオスは、アスティル内を観察してみることにする。
その結果、
・西の大陸に存在する悪魔たちが何やら少し騒がしいこと。
・聖セイクリッド神国の片隅で小規模な内戦がおきていること。
ぐらいであった。
そのまま、神界を見渡すカオス。
いつもと変わらぬつまらない世界……
カオスは神界のことが心底嫌いであった。
嫌悪感が沸き上がってくるのを自覚しつつ、視界の端にて、
悪魔神バロンが何やら忙しなく動いていた。
いつもほぼ1日を昼寝して過ごすバロンが忙しなく動いていることに
違和感を覚えたカオスは、アスティルで悪魔たちも
何やら騒がしかったことを思い出した。
カオス「これは…… 確実に何かあるよね」
「そういえば、今日みた父はなぜか妙に上機嫌だったな……」
「アスティルがある程度安定に向けて動き出してるときに
あの態度は絶対おかしい……」
カオスが創造神がバロンを使って、何やら悪だくみを考えていると推測した。
そこで、カオスはくろむに対して<助力>と<助言>をすることに決めた。
<助力>として、くろむに与えている<空間神の加護>を強化するために、
<空間神の寵愛>に変化させた。
これにより、くろむの使える空間術は飛躍的に能力を向上することになる。
新たに目覚めた力として、
・空間転移
・次元斬
・次元扉
<空間転移>とは、術者が思い浮かべた場所に瞬間移動できるというもので、
よくいうテレポートに該当するものである。
<次元斬>とは、空間そのものを切断することができる不可視の刃を
生成できるというものである。
空間ごと断裂させるため、相手の守備力無視の斬撃となる。
これをガードする方法は、おそらく空間断裂によるガードだけである。
<次元扉>とは、くろむが訪れたことのある場所と場所をつなぐ扉を
生成できるというものである。
ちなみにこの扉を通過できるものは、術者が許可したもののみである。
カオス「くろむなら、これだけ強化すればなんとかするでしょ♪」
<助力>を終えたカオスは、<助言>をするために、
久しぶりに自分専用の空間にくろむを呼び出すこととした。
くろむ「ぅお!!!!!!!」
「ここは…… カオスのところか」
カオス「正解♪ ひさしぶりだね♪♪」
くろむ「おまえなぁ……」
「毎回言ってるだろ、呼び出す前に一声かけろって……」
カオス「だって、こっちのほうが楽しいもん♪」
くろむ「はぁ……」
「…… 要件を言えよ」
カオス「今回は感謝してもらえると思うよ♪」
「予感とその予兆を感じた…… 程度ではあるけど、
おそらく父が何か悪だくみをしようとしてる」
くろむ「はぁ??」
「俺たちを転生させるだけじゃ満足できないのかよ……」
カオス「おそらく、くろむが大陸平定の目途を立てつつあるからだと思うよ」
「あの人は混沌や混乱が好きな人だ」
くろむ「……」
「この世界の創造神は邪神かなんかなのかよ……」
カオス「ある意味では正解かもね、あの人は創造神になる前は、
混沌を司る邪神であったという噂もあるからね」
くろむ「……」
「で、悪だくみってなんだよ?」
カオス「悪魔神バロンと悪魔たちが最近、忙しく動いてる」
「おそらく、ターゲットは君だ」
くろむ「悪魔だって? ……」
「まさか、大陸から西に海を渡ると悪魔がホントにいるのか?」
カオス「ダンだっけ? あの人が話してた噂話は全部ホントだよ」
くろむ「そうなると、海は<海神ポセイドン>の領域で軍隊が渡ることを
許容しないんじゃないのか?」
カオス「父がポセイドンに悪魔が渡ることは目を潰れを言えば終わりだよ」
「ポセイドンは父が好きだからね」
くろむ「なんつー迷惑な……」
「で、俺を呼び出したのは、
そんな話を聞かせるためだけじゃないんだろ?」
カオス「相変わらずいい勘だ、僕はくろむのそういうところが好きだ」
「そして、僕は父が嫌いだ」
「だから、くろむに<助力>と<助言>をすることにしたんだよ」
「<助言>は今話した話が大半かな」
「残りは戦力差について」
「これは正直絶望的だよ、中級の悪魔でさえまともに戦える戦力は
君の国には、アキナとカルロしかいない」
「上級以上に至っては、君以外では1秒も持たずに死体になる」
「だから、まともに攻められる前に
なんとか相手の力を削ぐなりしなければ、アイギスは滅ぶと思うよ」
「<助言>は以上だ」
くろむ「最悪の状況だってのがわかっただけじゃねーかよ……」
カオス「準備や対策が打てるだけマシでしょ♪」
「そして、<助力>についてだ」
「くろむに与えていた<加護>を<寵愛>に変えておいたよ」
「これでくろむが使える空間術は強化され、
新しい力にも目覚めているよ」
「あと君の魔眼に僕の力を注いでおいたよ」
「新しく目覚めた魔眼の能力はなさそうだけど、
強奪眼は強化されているよ」
「対象を殺さなくても、見るだけで奪えるようになってる」
くろむ「それはありがたいけどさ……」
「この話って創造神に見られてないのか?」
カオス「空間を操る能力にかけては、僕はどの神にも負けない」
「僕が作り出したこの空間や
僕の力を使って作っている君の<ルーム>の中は、
創造神でも覗いたり、入り込んだりできないよ」
「だから、くろむもヤバい話はルームの中でね♪」
くろむ「そこは、まぁ信じておくよ」
カオス「そだ! 助言ついでにもう一つ……」
くろむ「ん?」
カオス「悪魔たちのところには、おそらく転生者がいるよ」
「以前にバロンがこのゲームに参戦したと言ってたからね」
「悪魔たちと戦う上でくろむに対抗できる悪魔は7人」
「それに転生者を足した8人がくろむが
絶対になんとかしないといけない相手だ」
くろむ「多勢に無勢もいいところじゃねーか……」
カオス「そうだねぇ~」
「これだけの助言と助力はしてあげたんだ、
ここからは君が考えて頑張る番だよ♪♪」
くろむ「ちっ……」
「なんとかするしかないわけか……」
「まぁ、助言と助力はありがとな」
カオス「僕は君が好きだ、君を見ていると飽きないよ」
「今回のことが上手く凌げたら……」
「…… それはその時話すことにするよ」
くろむ「言いかけて辞めたら、気になるだろうが……」
カオス「今はそんなことに気をかけてる余裕はないはずだよ♪」
くろむ「わーったよ……」
カオス「んじゃ、戻すけど最後に一つ!」
「今回話したことはあくまで僕の予感と予兆を感じただけだ」
「外れても怒らないでね♪♪」
カオスは、言い終わるかどうかというタイミングで、
くろむを元の世界に戻した。
王室の自室内に転送されたくろむは、これからどうするべきか思案した。
そして、アイギスの首脳陣を呼び集めることとした。
くろむ「悪い、みんな」
「緊急で話すことができたから、30分後に会議室に集まってくれ」




