55話.世界情勢
ダンは、現在の世界情勢を話し始めた。
ダン 「まず、転生者たちについてじゃ」
「カロライン王国の王都を占拠していた転生者たちは、
宣言通り王都を解放し、世界中にちらばった」
「カロライン王国の東の果ての海沿いに要塞を築いたものが1人」
「その要塞にて巨大な船を造船して出航したものが1人」
「聖セイクリッド神国に現れたものが2人」
「行方不明者が1人」
「聖セイクリッド神国に現れたものについては、詳細までわかっておらぬ」
くろむ「何を考えてやがんだ・・・」
ダン 「次にカロライン王国についてじゃ」
「王都が放棄された直後、王国軍によりすぐに奪還された、当然じゃな」
「しかし面目を丸つぶれにされた王族たちは名誉挽回と
国民の憂さ晴らしを兼ねて、おそらく近日中にルインに
攻めてくるじゃろう」
くろむ「想定の範囲内のできごとではあるな」
ダン 「こっちはたまったもんじゃないがな」
「聖セイクリッド神国については、正直よくわからん・・・」
くろむ「は?」
「あの国にも冒険者ギルドがあるんじゃないのか?」
ダン 「正確には<あった>じゃな」
「聖セイクリッド神国は、アイギスを敵勢勢力と断定し、
そのアイギスと距離を縮めつつあり、
冒険者ギルドが防衛の全てを担うルインも敵視を始めておる」
「地理的な都合上、ルインを完全に敵視はできぬがな」
「その影響で冒険者ギルドを国内より追い出した」
くろむ「その展開は読めていなかったわ、すまん」
ダン 「お前が詫びることではないわい」
「ここで3国同盟が発表されたら・・・・」
「3国同盟:カロライン王国:聖セイクリッド神国での
大陸統一戦争も起こりえる」
くろむ「さらに、そこに転生者たちが茶々を入れるってとこか・・・・」
ダン 「おそらくな・・・」
「そうなった場合、ルインが戦場になる可能性が高い・・・」
くろむ「わかった、とりあえず2国方面に巨大な要塞を築いておくよ」
「でも海上からの攻撃はないのか?」
ダン 「お前本気でいっているのか?」
くろむ「俺は記憶喪失でこの世界の一般常識はあんまりないって忘れてるのか?」
ダン 「そうじゃったな」
「ロンダルディア大陸は、全周を海にかこまれておる」
「その海は<海神ポセイドン>の領域であり、
漁程度なら見逃してもらえるが、
軍隊なぞが進行しようものなら怒りを買って海の藻屑となるのじゃ」
「ここからは噂じゃが、大陸の南には精霊王が治める大陸がある」
「大陸の東には、魔王が君臨する魔族の国が存在する大陸がある」
「大陸の西には、悪魔が支配する大陸がある」
「といわれているが、海を渡りきれた者も実際にそれらを目にしたものも
現状おらぬ、死体にクチナシなだけかもしれんがな」
くろむ「そんな世界だったのか・・・・」
ダン 「そんなわけでどの国も海からの進行は無理じゃし、
それぞれの大陸からの警戒もしてはおる」
くろむ「そうなると、陸地でドンパチしかないわけか・・・」
「でもさっき海にでた転生者がいるって話なかったか?」
ダン 「あぁ、なぜ無事なのかは不明じゃ」
「そういう能力があるのか、海神ポセイドンが転生させたのかもしれん」
くろむ「その可能性もあるのか・・・・」
「魔王の仲間になって帰ってくるとかあったら、悪夢だな・・・・」
ダン 「縁起でもないこというな・・・・」
くろむ「とりあえず今日中にルインの東側の街道と南側の街道に
巨大な要塞をつくっておく」
「一般の人の通行の管理と要塞の管理はダンに任せる」
「仕掛けられた場合、数日は耐えれるようにしておいてくれ」
ダン 「とんでもないことを丸投げしおって・・・・」
くろむ「ギルドマスターがんばれ♪」
ダン 「・・・・・・」
くろむ「俺は要塞を作ってくるから、ダンはルインに戻って準備してくれ」
「要塞が完成したら、ニーナに伝えにいかせる」
ダン 「わかったわい、こっちのことはサラカに任せて戻るとするわ」
くろむ「サラカには伝えておくよ」
ダンはルインへの帰還準備に入るため、くろむと別れた。
ダンと別れたくろむは、要塞建築に向かった。
ルインの東門より20キロほど離れた場所に辿り着いた。
以前、魔物の大群と対峙した場所でもあった。
<竜の牙>に挟まれた幅10キロ程度の道を塞ぐように、
暑さ3メートル、高さ5メートルの壁を生成した。
さらに、壁の中央部分に巨大な建造物を生成させる。
巨大な建造物は4階建ての堅牢な要塞とした。
同様のものも南門より20キロの地点にも生成した。
くろむ「ニーナ、今いいか?」
ニーナ「ご主人様!!? どうなさいましたか?」
くろむ「明日の昼過ぎごろにルインに行って、
ダンに要塞が完成したと伝えてくれ」
「今はまだガイアにいるだろうけど、さすがに今いうのはマズイからな」
ニーナ「承知しました」
ニーナにダンへの報告を任せたくろむは、王城の自室に帰ることにした。
自室に向かう途中、フウカたち3人と出会った。
くろむ「もうきてくれたのか、ありがとな」
フウカ「いえ、こちらこそあのような住宅の準備までしていただいて・・・」
くろむ「国民として招いているんだ、当然のことだから気にしなくていいよ」
フウカ「ありがとうございます」
「私たち3人に御用であると伺いましたが・・・」
くろむ「あぁ、里でうちが人材不足だって話したの覚えてるか?」
フウカ「おっしゃっていましたね」
くろむ「まず、トウカとコナツに街道警備隊の隊長と副隊長を任せたい」
トウカ「え??」
コナツ「私たちですか?」
くろむ「実力的にはまだ未熟だけどな」
「カルロも言っていたが、鍛えればまだまだ強くなれそうな気はしたんだ」
「うちの他の隊長クラスと鍛錬しつつ、街道警備隊を任せたい」
トウカ「街道警備隊とはなんですか?」
くろむ「迷いの森に街道を整備したんだけどな、その街道の警備担当だよ」
「隊員として、元々迷いの森に住んでいたトレントたちを
全部従属させている」
「あの森の全トレントが2人の部下ってことになる」
コナツ「トレントを従属ですか!??」
くろむ「その辺は俺の秘密に直結する話になるから、
今回の話を受けて、重臣になってくれるなら説明することになる」
フウカ「2人の判断に任せますよ」
トウカ「受け入れて頂いた上に、期待して頂けるのでしたら、
謹んでお受け致します」
コナツ「私もよろしくお願いします」
くろむ「二人ともありがとうな」
「隊長をトウカ、副隊長をコナツとするからよろしくな」
トウカ「よろしくお願いします」
コナツ「よろしくお願いします」
くろむ「あと、フウカなんだけどな・・・」
「フウカの得意なことってなんなんだ?」
フウカ「私ですか?」
「人との折衝ですかね・・・・」
「・・・私は人の発言の真偽が見抜ける特技をもっています」
くろむ「そんな特技あるの!??」
フウカ「始祖様である九尾の妖狐様も
持っていたと言われています」
「その後、発現しなかった特技なのですが、
始祖様以来に私に発現したために
若輩の私が族長になりました」
「里では申し上げなくてすいません、以前よりこの力目当てで
里を襲撃する者が絶えなかったので・・・・」
くろむ「そんな能力ならしょうがない、
でも教えてくれたってことは信用してもらえたってことか?」
フウカ「ゴドラ様もでしたが、くろむ様も初めてお会いした時から
一度も嘘をおっしゃりませんでした」
「その上、ここまでのことをしてくださっている方に秘密などできません」
くろむ「未だに秘密を残している俺としては耳が痛いな・・・・」
フウカ「それもこの後お話くださると思いますので、
お気になさることではありませんよ」
くろむ「ありがとうな」
「フウカは今はカインが兼任している外交担当を任せたい」
フウカ「新参者の私がそのような重要なお仕事を頂いてよろしいのですか?」
くろむ「新参者とか気にしなくていい、どちみち建国したばかりだしな」
フウカ「そういうことであれば・・・」
「謹んでお受け致します」
くろむ「よろしくな」
「あと、狐人族のみんなにお願いがある」
「接客関係の仕事を任せたい、
うちの今までの国民はイマイチ接客向きのがいなくてな・・・・」
フウカ「国民として、その程度のことは当然させていただきますよ」
くろむ「助かるよ、あとでカインとその件は話してくれ」
3人をアイギスの重鎮として迎えることが決まったくろむは、
3人に<従属>してもらうことを告げたが、3人は快く受け入れた。
くろむ「3人ともありがとうな、これですべてを話せる」
「ナビ! いつものよろしくな」
ナビ 「最近、完全にこれだけの役回りね・・・・」
フウカ「!!???」
トウカ「!!???」
コナツ「!!???」
新規メンバーがいつもの驚きをしていることにも慣れたナビが
いつものように説明をした。
フウカたちは戸惑っていたが、
くろむはこの場にアイギスの重臣たちを念話で呼び出した。




