53話.狐人族
ゴドラから聞いた場所についたくろむは、ゴドラに声をかけた。
くろむ「言われた場所についたぞ」
「魔力探知で里の場所はだいたいわかったけど、
このまま向かっても大丈夫か?」
ゴドラ「お待ちしておりました、くろむ殿」
「里の長には、伝えてありますので、問題ございません」
「里の入り口にて、お待ち致します」
くろむは念話を終えると、ゴドラが待つ入り口へとむかった。
向かいながらカインに伝えておくことがあるのを思い出したくろむは念話した。
くろむ「カイン、今いいか?」
カイン「如何なさいましたか?くろむ様」
くろむ「住居の建築を頼んでおこうと思ってさ」
「50人規模の屋敷を1つと狐人族の住居を頼む」
「建築場所は任せる」
カイン「承知致しました」
「そちらの交渉はうまくいったということでしょうか?」
くろむ「ダインとの交渉は全て成功して、住人も50人程度連れだしたよ」
「隠れ里のほうはゴドラがうまくやってくれてるみたいだから、
今から最後の一押しにいくところだよ」
カイン「さすがですね」
くろむ「そういえば、そっちはどうなってる?」
カイン「現在はサラカ殿たちが来訪されており、明日から数日観光の予定です」
「また、商人たちのと会合は明日の予定です」
くろむ「順調そうでよかったよ」
「そうだ、サラカに伝言を頼みたい」
「条約と同盟とかの話だけど、ダイン王と話した結果、
ダイン獣王国も含めた3国同盟を締結する流れになった」
「詳しくは戻ったら伝えるけど、そういう変化があったとだけ伝えてくれ」
カイン「承知しました」
しばらくすると、くろむは遠目にゴドラの姿を見つけた。
くろむ「お迎えありがとうな、ここが狐人族の里でいいのか?」
ゴドラ「お待ちしておりました、説得を終えておらず申し訳ありません」
くろむ「早速ですまないが、族長には会えるか?」
ゴドラ「族長には主だった人を集めて族長の家で待っているように
お願いしてあります」
「ご案内致します」
くろむたちは、ゴドラの案内で族長の家まで向かった。
その途中、里の中を見たが、建物らしい住居は存在せずに、
テントのようなものが大量にあり、それを住居としているようだった。
ゴドラに聞くと、強い魔物の襲撃がある度に里の場所は移動させており、
移動に適した住居ということでテントを採用しているらしいことがわかった。
くろむ「必要に応じて里を捨てることに嫌悪感を持ったりはしないってことだな」
ゴドラ「おそらく必要にせまられて...ということであると思います」
くろむ「土地に縛られて滅ぶというほど愚かではないってことだから、
俺は好感を覚えるけどな」
族長の家に到着したゴドラは、外から声をかけた。
ゴドラ「フウカ殿、我が王をお連れしました」
フウカ「ゴドラ殿、お入りください」
フウカの許可を得たくろむたちは、
ダインから共にしているクラスたちを族長の家の前で待機させ、
ゴドラを先頭にして族長の家に入った。
フウカの家の中に入ると、中には美しい狐人族の女性と、
その両サイドに槍を携えた女性2人が立っていた。
ゴドラ「フウカ殿、こちらが我が王、くろむ様になります」
「くろむ様、こちらがこの近隣の狐人族をまとめているフウカ殿です」
フウカ「わざわざご足労いただいて申し訳ない、
この里の長をしておりますフウカです」
「傍に控えるのは、トウカとコナツになります」
「私の護衛役であり、当里きっての槍の使いになります」
くろむ「こちらこそ、突然の来訪申し訳ない、
魔導国家アイギスの国王のくろむです」
「ダイン獣王国経由できたため、ゴドラたちより遅くなってしまいました」
ふうか「ゴドラ殿よりくろむ様の願いは伺っております」
「我ら狐人族を配下にしたいとのこと」
「強者と争うことを避け、強者の庇護下に入ることを避け、
ひっそりでも自由な生活をするために私たちは隠れ住んでいます」
「全てから逃げて隠れ住むということを嫌がったものは、
里をでてダイン獣王国で住んでいます」
「そんな我らをなぜ配下に加えたいのですか?」
くろむ「まず最初に若干の誤解がありそうなので説明させてもらうよ」
「配下にしたいということについてだが、
配下というよりは我が国の国民になって欲しい」
「重要ポストを任せる者には一定の守秘義務を強要するが、
それ以外は自由だ」
「国民になったあとに、我が国に不満があれば出て行くのも自由だよ」
「そして、ゴドラから聞いてはいるだろうがアイギスは
多種族混在の国家であり、種族による差別はない」
「多種族がそれぞれを支え合って生活する国を目指している」
「ダイン獣王国の現状と似ているが、1つ決定的な違いがある」
「アイギスは<力>のみを重視することはない」
「<力>はその者の能力の1つに過ぎない」
「例えば、酒場の看板娘として客を幸せにできるような接客を
できるものが、一騎当千の将軍より評価され厚遇されることは
普通にあり得る国だ」
「俺としては、内政やサービス関係を得意とするものをより厚遇したい」
「これは俺がその方面が苦手だということの影響も少なくはないけどね」
「アイギスは建国したばかりで人材不足だ」
「内政担当や宿や酒場など国を訪れてくれた人を接客する人、
そういう人材が明らかに不足しているところで、この里の存在を知った」
「その方面でアイギスを助けてほしい」
「あと、ダイン獣王国で冷遇されてた孤児たちを孤児院ごと貰って、
今も連れてきている」
フウカ「そのようなことをしては、ダイン王の怒りを買ってしまいますよ・・・」
くろむ「それは問題ないよ、ダインに勝ったうえで、承認されたことだからね」
「あと、うちを盟主とする、アイギス・ダイン・ルインの3国同盟を
結ぶことまでは決定してる」
フウカ「・・・・・・」
「あの獣王に勝ったんですか・・・?」
くろむ「もちろん、後ろの2人も立ち合い人としてみていたよ」
くろむに指刺された2人は自己紹介した。
アキナ「フウカさん、はじめまして」
「くろむの言う通り、くろむは勝ちましたよ」
カルロ「フウカ嬢さん、はじめまして」
「勝ったどころか、兄貴の圧勝だったよ」
ふうか「あ、圧勝ですか・・・」
くろむ「力で狐人族を屈服させる気は無いよ」
「俺の国の理念に共感してくれるやつと共に歩きたいだけだ」
「一緒にきてくれないか?」
「ついてきてくれるものは、絶対に俺が守るよ」
フウカ「この隠れ里に住み始めて約100年、
徐々に衰退するしかなかったのも事実・・・」
「最近は転生者たちが暴れまわっているとも聞きます・・・」
「・・・ わかりました」
「この里に住む狐人族約200名、
くろむ様の庇護下に入らせていただきます」
くろむ「それはありがたいが、フウカ殿の一存のみで大丈夫なのか?」
フウカ「この件は、里の者たちより一任されていますので問題ありません」
くろむ「わかった、これからよろしく頼む」
「詳細の話は、アイギスに戻ってからさせてもらうよ」
「そだ、トウカ殿とコナツ殿」
「カルロとちょっと手合わせしてみないか?」
カルロ「は? 俺??」
くろむ「俺に強いところをアピールする機会をお前にと思ってな」
カルロ「ちっ・・・ わかったよ」
くろむ「トウカ殿とコナツ殿はどうだ?」
「軽いお遊びだよ♪」
「里きっての槍使いの実力もみたいしさ」
「トウカ殿とコナツ殿のペア対カルロでどう?」
「死なない限りは俺が回復するからおもいっきりやってみてよ」
フウカ「おもいっきりいっておいで」
トウカ「わかりました」
コナツ「わかりました」
手合わせをするために、里の外にでる一行。
くろむは10メートル四方の闘技場を<土>魔術で生成し、
その傍に観戦席として、くろむたちの席を生成した。
手合わせをすることになった3人は、生成された闘技場の中央にて対峙した。
くろむ「準備は大丈夫そうだな?」
「では、はじめ!!」
カルロは先制をとして、コナツの足止めをすべく、コナツの足元に土壁を生成。
突然に事態にコナツは態勢を崩したまま、上空に飛ばされた。
数の不利を一時的になくしたカルロは一気に攻勢にでる。
トウカに向けて<土>魔術で生成した無数の土玉を放出。
トウカは散弾銃の玉のように飛来する土玉を目の前で槍を回転させることで防ぐ。
それによって、一瞬トウカの視界を奪ったカルロは、
土魔術で穴を掘りトウカの後方に移動する。
その状況を上空に吹き飛ばされながら見ていたコナツは叫ぶ。
コナツ「トウカ! 後ろ!!!」
トウカ「え???」
カルロ「遅い!」
カルロは振り向いたトウカの顎を目掛け、渾身の右アッパーを繰り出す。
アッパーの直撃を受けたトウカは、顎を砕かれ、吹き飛ばされた。
くろむ「ヒーリングウォーター!!」
くろむは、トウカを治療するとともに、脇に抱えて観客席に戻った。
くろむ「トウカは大丈夫だけど、戦線離脱だ」
「2人とも気を抜かず続けろ!」
くろむの声に最初に反応したのは、カルロだった。
上空で態勢を整えつつあるコナツに向けて、黒曜光槍を投擲。
突然の投擲に驚いたコナツであったが、
なんとか手に持っている槍ではじくことに成功する。
しかし、次の瞬間、カルロがいたはずの場所にいないことに気づいた。
その後、頭を撃ち落とされるような衝撃が走った。
そして、コナツはそのまま地面に打ち付けられて気を失った。




