50話.ダイン獣王国への旅路
翌日、くろむはダイン獣王国に旅立つ前に、
カインを王都の自室に呼び出していた。
くろむ「朝から呼び出してすまないな」
カイン「滅相もございません、お気になさらず」
くろむ「ルインとの<安全保障条約>についてだがな、
俺たちが戻るまで放置するのはマズイような予感がするんだ」
「条約と同盟の合意がとれたら、防衛戦力の配置の指示はしておいてくれ」
「東門に、王国軍3隊を100名と王国軍2隊を100名」
「南門に、王国軍3隊を100名と王国軍2隊を100名」
「西門は、ダイン獣王国をこれから抑えにいくから
うちからの追加戦力はなしでいい」
「そして守備戦力の指揮官全員に徹底させてほしいんだが、
何かあれば俺に念話で報告をいれて、時間稼ぎに徹してくれ」
カイン「承知致しました」
くろむ「条約と同盟の正式な締結は俺が戻ったらする」
「戻るまでに合意させておくこと」
カイン「誠心誠意、努めさせて頂きます」
くろむ「よろしくな」
くろむは、カインに手を振り部屋を出て、アキナたちと合流する。
くろむ「ちょっと、ゴドラのとこに寄るよ」
アキナ「ゴドラさんのところ?」
くろむ「ちと移動手段のことでな、依頼してあることがあるんだよ」
ゴドラの部屋に向かうと、ゴドラはドワーフたちに
指示を出しているところであった。
くろむ「よっ! 今いいか?」
ゴドラ「すいません、少しお待ちください・・・」
くろむ「そこらへんで待ってるから落ち着いたら声かけてくれ」
くろむたちは、部屋の片隅でゴドラが指示を出している姿を
眺めながら待つことにした。
ゴドラはドワーフたちに手渡された鎧を眺めながら、品定めをしていた。
ゴドラ「脇の部分の結合がまだ甘いぞ!」
「やりなおせ!」
「すいません、お待たせしました」
くろむ「もういいのか?」
ゴドラ「はい、今のが俺の一番弟子なのですが・・・」
「どうにもまだムラッ気がありまして・・・」
くろむ「師匠も大変ってことだな、愚痴なら聞くからいつでもいってこいよ」
ゴドラ「ありがとうございます」
くろむ「この間依頼しておいたものは、どうなった?」
ゴドラ「ガイアの北門の外側に準備してあります」
「性能もご希望をできる限り叶えました」
くろむ「さすがだな、ありがたく使わせてもらうよ」
「これからもよろしくな」
ゴドラ「はい、いってらっしゃいませ」
くろむ、アキナ、カルロ、ギンジは北門に向けて歩き出す。
カルロ「兄貴、ゴドラ殿への依頼ってなんだったんだ?」
くろむ「あぁ、毎回お前だけギンジに乗れなくて悪いと思ってな」
「ギンジが曳く馬車?を準備させてたんだよ」
「ギンジのスピードにできるだけ合わせれるように
強度と衝撃吸収機能を頑張ってもらったのよ」
ギンジ「そのようなものを・・・」
くろむ「ギンジ、今回は直接乗ってやれなくてごめんな」
ギンジ「騎獣としてお役に立てていることには変わりませんので、
お気になさりませんように」
くろむ「ありがと」
アキナ「カルロさん、今回からは一緒に旅できますね♪」
カルロ「お、おう!」
ナビ 「この二人に変に気をつかわなくていいわよ」
「なんだかんだで、気遣いに拘るところある二人だからね」
カルロ「・・・・」
「兄貴の思いやりに素直に感謝しておくよ、兄貴ありがとな!」
くろむ「恥ずかしくなるから、黙れ黙れ・・・・」
照れ隠しで歩く速度の速くなったくろむを3人が追いかけると、
堅牢そうな漆黒の馬車が目に入った。
くろむ「カルロの武器と同じ、黒曜石を贅沢に使った馬車らしいぞ」
アキナ「すごく硬そうだね・・・・」
くろむ「衝撃吸収もかなり頑張ったみたいだから、乗り心地もいいはずだぞ」
早速馬車に乗り込むくろむたち。
くろむ「よし、ギンジ!」
「ダインに向けて出発だ!!」
ギンジ「承知致しました!」
ギンジは、様子見がてら5割程度の速度で進み始めた。
曳き手がギンジであることを念頭において設計されているため、
ギンジの力が綺麗に馬車に伝わり、静かに走り出す。
くろむ「おぉ~、はえ~~♪」
アキナ「うんうん♪♪」
カルロ「しかもこれマジで揺れないんだな!!!」
3人ともこの馬車の性能の高さに驚き、上機嫌になっていた。
くろむ「この速度なら2日もあれば王都まで着きそうだな!」
「カルロ、向かうのは王都でいいんだよな?」
カルロ「あぁ、着いたら謁見までの交渉は俺がするよ」
くろむ「んじゃ、任せた!」
その後は、定期的に発見される魔物たちを、
ギンジの冷凍息で凍結させつつ、
順調な馬車の旅を楽しんだ。
くろむ「いやぁ~、快適だねぇ~♪」
アキナ「ゴドラさんに作ってもらって正解だったね♪」
カルロ「そろそろ、見えてきたぜ」
遠目に大きな城塞都市が見え始めてきた。
くろむ「でっけーなぁ~」
アキナ「ガイアも大きいと思ったけど、どっちが大きいんだろ?」
くろむ「住人の数の差もあるしな、こっちのほうがでかいんじゃないかな」
カルロ「ギンジ殿、そろそろ速度を落としてほしい」
「こんな速度で謎の漆黒の箱を大きな狼が曳きづっていたら、
攻撃されかねない・・・」
くろむ「確かにな・・・」
ギンジ「承知・・・」
通常の馬車程度の速度まで緩め、街に入るための行列に追いついた。
カルロ「列には並ばずに門番に声をかければいいと聞いているから、
このまま門まで向かってほしい」
ギンジ「わかった」
行列の人々から警戒と好奇の目を向けられつつ、門番の前まで向かう。
門番①「お前ら何者だ!!」
「街に入りたいならちゃんと並べ!!!」
カルロ「にーちゃん、俺はカルロってもんだが、
ダイン様に門番に声かけて入ればいいって言われてるんだが・・・」
門番①「ふ、ふざけたことぬかすな!!」
門番②「ま、まて・・・」
「カルロって・・・」
「マイン様に勝ったというあの・・・?」
カルロ「そのカルロだな、信じれないならマインを呼んでくれないか?」
門番②「我々では真偽の確認はできない・・・」
門番①「マイン様を呼んできますので、少々お待ちください」
しばらくすると、マインがやってきた。
マイン「おぉ!ホントにカルロではないか!!!」
「門番よ、この者たちの素性はワシが保証する、通してくれ」
門番①「承知しました!」
マインに導かれ、くろむたちは王都へと入る。
マイン「しかし、連絡なしで、このようなもので急にくるとはな・・・」
カルロ「わりぃな、兄貴はちょいちょい無茶なことを好むのでな」
くろむ「なんかトゲのある言い方だな・・・」
アキナ「間違ってないんだから、拗ねないの!」
くろむ「・・・・」
マイン「愉快な御仁たちのようじゃな」
「そちらの方が、くろむ様でしょうか」
「ワシは、獣王ダイン直属の4騎士が一人、剛腕のマインと申します」
くろむ「あぁ、こないだ建国したアイギスの国王のくろむだ」
「今回は連絡もなしで急に訪問してすまかった」
「ダイン殿への謁見の申込を頼めるだろうか」
「急な申し出なので、時間がかかるのは構わない」
「謁見までの時間は王都観光でもさせてもらうつもりで来たしな」
カルロ「兄貴はこんな感じの人なんで・・・」
「謁見の手筈よろしくな」
マイン「本当に面白い御仁だ、カルロが心酔するのも理解できるわい」
カルロ「ばっ! ばか!! 心酔なんてしてねーよ!!!・・・」
マイン「・・・そうであったな、すまんの」
「では、くろむ様」
「謁見の手筈が完了するまでに2日程度はかかると思われますので、
あちらの宿にご滞在ください」
「準備が整いましたら、迎えのものを向かわせます」
くろむ「わかった、よろしくな」
マインと別れたくろむたちは、とりあえず指定の宿に向かい、
余裕をみて、3日分の料金を支払った。
くろむ「さっそく観光といきたいところだが・・・」
「その前に<狐人族>の情報を集めないとな」
カルロ「前着たときは、市場付近で下働きしているのを何人かみたよ」
くろむ「よし、とりあえずの目的地は決まったな!」
「市場で腹ごしらえしつつ、狐人族の様子を探ることにしよう」
「そして、ギンジ」
「さすがにその大きさで市場はマズイと思うから悪いけど、
ルームで待機してくれ」
ギンジ「承知しました」
ギンジをルームで待機させたくろむたちは、
市場に向かって歩き出した。
ついに10000PV到達しました!
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