49話.力試し
くろむたちは、闘技場に集まった。
くろむ「さてと、どうするかなぁ・・・」
「俺もある程度は訓練にしたいし・・・」
「アキナとカルロとギンジの3人組」
「ソイソとビネガとソルトとシュガの4人組」
「それぞれが俺と戦おうか、
タイマンじゃさすがに勝負にならないだろうしな」
カルロ「ちっ・・・」
「ぜってー泣かせてやる・・・」
くろむ「せいぜいがんばってくれ」
「とりあえずは、王国軍の隊長様4人からだ」
「準備や打ち合わせが終わったら教えてくれ」
そう言い残し、くろむは闘技場の中央にて待つ。
しばらくすると、ソイソたちはくろむの前に対峙した。
ソイソ「お待たせしました」
くろむ「少しは考えてきたみたいだな・・・」
盾役であるソルトを前面に配置し、
その左右後方をソイソとシュガが控え、ビネガが最後方に位置していた。
それを見たくろむは、闘気と魔力を同時に出力した。
放出された闘気と魔力が混じり合い、
くろむ専用の闘気<魔闘気>を身に纏った。
くろむ「試練のときより、どれほど腕を上げているか楽しみにしておくぞ!」
「いつでもこい!!!」
くろむの発声とともに、ビネガが魔術を発動。
ビネガは<炎>魔術を展開した。
ファイヤーボール、ファイヤーランスをくろむの周囲に展開した。
ソイソ「かかれ!!!!」
ソイソの号令に合わせたのは、ビネガであった。
展開させた<炎>魔術ではなく、くろむの上空に<風>魔術を展開した。
ビネガ「エアープレス!!」
ビネガは空気の壁をくろむの頭上から落下させた。
さらに、それに呼応するように、展開させた<炎>魔術と
ソイソとシュガが飛び出す。
くろむは、一瞬驚いたが、
降り注ぐ空気の壁は、身に纏っている<魔闘気>に触れた瞬間、
消滅した。
そして、くろむが纏っている<魔闘気>を外に向けて放出すると、
展開させた<炎>魔術は、<魔闘気>に吸い込まれ、
突撃したソイソとシュガを吹き飛ばした。
<魔闘気>を纏いなおしたくろむは、
シュガに追撃をとして、アイスランスで突きを放った。
キンッ!!!!
くろむの渾身の突きは、ソルトの大盾により阻まれた。
そして、その後方からビネガが生成した風の衣を纏ったソイソが
突撃し、両手で持った剣にて、袈裟切りを放った。
くろむ「中々いい連携するじゃないか!!!」
くろむは全身から<氷>属性の魔力を放出する。
すると、くろむの周囲には4つの氷の巨大な箱ができていた。
くろむ「聖凍土棺桶の応用だな」
ソイソたち4人は、中空となっている巨大な箱に閉じ込められていた。
中から必死に破壊しようとするが、氷箱はヒビ一つ入らない。
くろむ「中まで凍らせてはいないから、無傷のはずだけどね・・・」
「これで俺の勝ちってことでいいかね♪」
氷箱を解除したくろむは、4人に向けて感想を話し出した。
くろむ「4人とも想像以上に連携はうまくなっているね」
「だけど、イマイチ意図が不明確だ」
「ビネガは攻撃に補助とうまくやっていたと思うが・・・・」
「まず、ソルト」
「盾役として、どう攻撃を捌いて、どう隙をつくるか」
「そのイメージがまだ未熟だ、ちゃんとプランを練ってから修練すること」
「ソイソ、シュガは、攻撃役として決定力が不足している」
「決定打としての必殺の一撃を持つべきだ」
「そんなとこかな」
ソイソ「・・・ありがとうございます」
ビネガ「ありがとうございます」
ソルト「ありがとうございます」
シュガ「ありがとうございます・・・・」
カルロ「ますます化け物になりやがって・・・」
アキナ「勝てる気がまったくしないね・・・」
くろむ「おまえらなぁ・・・、勝つ気なしでは勝てるもんも勝てないぞ?」
ギンジ「未熟なれど、全力を尽くします」
カルロ「ぜってー、超えてやるからな!」
アキナ「わ、わたしだって!!!」
くろむ「さてと、アキナたちは準備OKかい?」
くろむは、闘技場中央に再び歩き、アキナたちが対峙するのを待った。
アキナ「絶対に勝つからね!!」
カルロ「当然や!」
ギンジ「勝たせてもらいます!」
アキナたちの初手はギンジの冷凍息であった。
くろむ「思い切った攻撃できたな!」
くろむは、<魔闘気>を纏い、手刀で逆袈裟切りを放つ。
ギンジの冷凍息は二つに割かれ、
開けた視界の先からギンジが飛び込んできた。
さらにそれに合わせて、上空よりアキナが飛び込んできた。
くろむはギンジの下方から巨大な土の塔を出現させ、ギンジを上空に跳ね飛ばした。
さらに、アキナの【双刀】飛炎を斜めに作った氷の壁にて、受け流す。
ギンジが上空に舞い、アキナがくろむの右側に着地したとき、
ギンジを吹き飛ばした土塔の後方より渾身の突きを放ったカルロが飛び込んできた。
また、アキナは着地と同時にくろむに飛び掛かり、【双刀】極氷にて襲いかかる。
上空に飛ばされたギンジは、なんとか体勢を整えると、そのまま巨大な雷を放ってきた。
ギンジ「雷息!!!!!」
3つの同時攻撃に驚いたくろむであったが、
ここで一つ試してみようと思いつく。
3つの小型の次元の壁を生成し、3人の攻撃を迎撃させた。
その結果、
カルロの突きは次元の壁に槍の半ばまで砕かれた。
アキナの極氷は凄まじい金属音を響かせたあと、
アキナの突進を止めた。
ギンジの雷は次元の壁に全て吸い込まれた。
くろむ「ギンジ! いつの間に<雷>魔術覚えたんだよ!!!」
「でもな、使い方がまだまだだな!!!!!」
アキナが後方にバックステップし、距離をとったとき、
くろむは3人に向けて、雷の網を放つ。
アキナは、飛炎で切り刻もうと・・・
カルロは、黒曜風剣で切り裂こうと・・・
ギンジは、雷息で打ち消そうと・・・
結果はすべて失敗に終わり、3人とも雷の網に捕まる。
3人とも身体異常耐性(Lv10)を持つため、麻痺にはならなかったが、
雷の網を破壊することができず、身動きができなくなった。
くろむ「ふぅ~、勝負ありかな?」
「さすがにこの3人同時は疲れるな・・・」
くろむは、雷網の拘束を解除して、
ソイソたちの時と同様に感想を話し始めた。
くろむ「3人ともさすがに強かったし、連携も中々のものだったぞ」
「ギンジ、<雷>魔術を覚えていたことには驚いたが、
あんな大技をいきなり放ってはダメだ」
「威力をあげるために範囲を狭めていたのだろうけど、
相手がバランスを崩していない場合、自分に隙ができる」
「それに雷はトドメ以外では、搦め手として麻痺を狙うのに向いている」
ギンジ「未熟さを痛感致しました」
くろむ「もう少し戦術を練れば、お前は相当強いよ」
「次にカルロ、ダインに負けた理由が少しわかったよ」
「お前は強い、だけど攻撃や戦略が直線的すぎる」
「だから、比較的行動が読みやすい、
攻めきれずに最後は力押しで負けたってとこじゃないのか?」
カルロ「・・・・」
「・・・否定はできないな・・・・・・」
「最後は力負けしたが、そこまでの速攻を全部しのがれちまったしな」
くろむ「それが理解できたなら成長できるな」
「壊しちまった黒曜光槍はゴドラにいって朝までに直させておく」
「んで、アキナ」
「アキナの最大の特徴は双刀による剣舞だ」
「逆に言ってしまえば、舞わせなければ力は半減する」
「受け止められたり、流されたりして、
舞のリズムを壊されそうになったときに
その妨害をぶち抜くパワーがもう少し欲しい」
アキナ「そうだね・・・」
「スピードで翻弄できずに、舞の動きに逆らうように剣戟を流されたら
剣舞は舞えないね・・・・」
くろむ「3人とも俺の想像よりは強かったよ♪」
「楽しかったしな♪」
「ソイソたち4隊長は、ドワーフの戦士隊も含めて
実戦的な演習を修練に加えること!」
「修練にはここを自由に使うといい、
ここはたぶん俺でも破壊できないからな」
「アキナたちは、俺と同行だな」
「道中でも扱いてやるから、いつでも勝負を挑んでおいで♪」
カルロ「ちっ・・・・」
悪態をつくカルロに対して、他の6人は深々を頭を下げる。
くろむ「カルロ、お前はそれでいい」
「いつでも俺を超えてやるっていう気概をもっていろ!」
「そうすりゃ、世界2位の強者ぐらいにはなれるさ♪」
カルロ「あくまでも自分は抜けないと言いたいわけだな・・・」
くろむ「まぁ、これで終了だ!」
「明日からそれぞれ忙しい、今日はもう休んでくれ」
明日からのそれぞれの任務開始に向けて、
みんなそれぞれ休息をついた。




