46話.開戦①
くろむとアキナは、膨大な広さのある部屋を<ルーム>内に生成し、
その中で新魔術の生成にとりかかっていた。
くろむ「まずは、貴族軍の残党を全滅させるための魔術からだな」
アキナ「どんなのにするの?」
くろむ「相手が魔物みたいなタフさをもってるわけでもないからね」
「地獄大業火釜より威力は落ちるけど範囲を広げたものかな」
アキナ「あれと比較するような魔術を作る気なの!?」
「また気を失うようなことになるんじゃ・・・」
くろむ「今ならまず大丈夫だよ、あの頃より強くなってるしね!」
アキナ「そうだろうけどさ・・・」
「・・・心配なんだよ?」
くろむ「なら、当日隣で見守っててくれよ、そうすれば勇気もでるしさ」
「さすがに数万の軍勢を見たら、ビビると思うしさ・・・」
アキナ「わたしには本音を言ってくれるようになったから、
その案で我慢してあげる!!!」
くろむ「ありがとな」
くろむが最初に考えたものは、<雹>。
<雹>を広範囲かつ、1粒を大きく、鋭利にしたら・・・と。
・広範囲にどうやって雲を広げるか
・雹のサイズを巨大にするにはどうしたいいか
行きついた答えは・・・
右手に<火>属性の魔力を
左手に<水>属性の魔力を
膨大な魔力を超圧縮させたものを両手に生成させる。
その2つを上空に浮かべ、<氷>属性の魔力で超圧縮させる。
すると、相反する属性の<火><水>属性の魔力が破裂し、
膨大な量の水蒸気を広大な範囲に展開させた。
その際、それを包み込むように展開していた<氷>属性の魔力により
一気に冷却され、広大な範囲に広がる雲が完成した。
自分の魔力でできた雲に対して、命令を下す。
直径30センチ、長さ30センチの巨大な氷の針を雹として、
あたり一面見えなくなるほどの量を10分間降り続けさせたのちに、
雲は散開しろと。
くろむがそう命令すると、
「ズガ!」
「ドン!」
「バキ!」
「ベキ!」
などの爆音とともに、目の前が真っ白になっていた。
10分後、音が止まるとともに、視界が開けたときの惨状にアキナは絶句した。
アキナ「・・・・ すごすぎない?」
くろむ「確実に全滅させれそうだな、気絶もしそうにないし♪」
「<氷><水><火>の混合魔術である、<絶対零度>だ」
アキナ「貴族たちが哀れに思えてきたよ・・・」
くろむは苦笑いしながら、次の新魔術のイメージを固め始める。
貴族の屋敷を消滅させる・・・・
その範囲の空間を閉じ込めて、その後粉砕する・・・・
閉じ込める・・・ 棺桶かな・・・・
棺桶に閉じ込めて粉砕する・・・・
氷の棺で屋敷を覆って氷漬けにして、粉砕・・・・
そうやってイメージを固めたくろむは、目の前に土壁を生成した。
くろむ「これを貴族の屋敷と見立てよう」
くろむは、土壁に対して<氷>属性の魔力を集める。
限界まで氷の密度を高め、中に閉じ込めたものを徹底的に氷結させる。
そこで、くろむはふと思った。
せめて、安らかに召されてくれと・・・・
安らかに召されてくれという思いを込めて、
目の前に生成された氷の塊に対して<光>属性の魔力を注ぎ込む。
氷の密度が高まるにつれて、氷は発光しだし、
氷の密度が限界に達した際、氷は強い発光の後、粉々に砕け散った。
くろむ「ほぼ、狙い通りの結果だし、消費MPも大したことない」
「<氷><光>の混合魔術である、<聖凍土棺桶>だ」
アキナ「このクラスの魔術を簡単に作りすぎだって!!!!!!」
「これってさ、たぶん<禁呪>って呼ばれる類のものじゃ・・・」
くろむ「そうなのかもしれないけど・・・」
「まぁ、作れちゃうんだし、しゃーないじゃん?」
アキナ「くろむからすれば、大したことではないというのはわかったわ」
くろむ「俺からすれば・・・」
「次のデートを何処にするかのほうが、圧倒的に重大なことだよ」
アキナ「もぉ・・・、すぐそうやって揶揄う・・・」
くろむ「ただの真実なんだけどなぁ・・・」
アキナ「わかったから!!!」
「今日は帰ってちゃんと休むこと!」
くろむ「はぁ~い、でもアキナも一緒にだよ?」
アキナ「仕方ないなぁ~♪」
その後、くろむの自室に戻ったくろむは、
ゆっくりと休養をとることにした。
翌日、戦争の準備が完了したくろむは、
街道用の一本道の生成とその周辺のマナ調整を行い、
街道整備の指示をゴドラにだした。
くろむは、その後数日間を王都の順調な発展ぶりを
満足げに観察したりしながら過ごした。
そして、斥候役として貴族軍の監視をさせていたギンジより報告がはいる。
ギンジ「主人様、ご指示にありました貴族軍を発見しました」
「おそらく、あと半日程度でガイアに到着するかと思います」
くろむ「やっとか・・・」
「規模は?」
ギンジ「おそらく5万前後かと思われます」
「ただ、竜の牙に挟まれた峡谷を進軍しておりますので、
一斉に掛かってこれる数は1万程度かと思われます」
くろむ「ま、予想の範疇内ってことだな!」
「ギンジ、ありがとう、もどってこい」
ギンジ「かしこまりました」
くろむ「ソイソ、ビネガ、ソルト、シュガ!」
「お客さんがきたぞ、配置につけ」
ソイソ「ははっ!」
ビネガ「ははっ!」
ソルト「ははっ!」
シュガ「ははっ!」
くろむ「アキナ、おいで~」
アキナ「はぁ~い」
ナビ 「少しは緊張感を持ちなさいよ・・・・」
くろむ「そんなものが必要になる相手でもないしなぁ・・・」
ナビ 「・・・」
くろむ「やるときは、ちゃんとやりますよ!」
アイギス軍が配置につき待機していると、貴族軍が到着した。
アイギス軍は予定通り、本来の鶴翼の陣では
底の位置にあたるべき<王国軍3隊>を最前線に配置した。
貴族軍の司令官は、戦知らずのへたくそな陣形だとあざ笑いながら、
突撃させる。
鉄壁の防御を持つ<王国軍3隊>は、貴族軍の突撃を受け止めつつ、
徐々に後退を始めた。
このまま押しつぶしてやると貴族軍は息巻いているが、
実際には、<王国軍3隊>がワザと少しづつ後退しているのであった。
そして、<王国軍3隊>が後退を続けると、
アイギス軍は本来の鶴翼の陣の状態に戻っていた。
この時、すでに相手の後方に移動を完了させていたくろむとアキナ。
くろむ「やっぱ、あいつら雑魚じゃん・・・」
アキナ「そういうこと言わないの!」
くろむは、全軍に対して念話で指示を出す。
くろむ「今から敵後方より俺が惨殺劇を繰り広げる」
「貴族どもの悲鳴が合図だ!」
「合図がなったら、
まず<王国軍2隊>が敵のど真ん中に範囲魔術をぶっぱなせ!」
「その花火を合図に、残りの部隊も突撃で相手を殲滅せよ!」
「その間に俺は準備をする、撤退指示をだしたら、
即座に外堀まで避難せよ」
「では、開戦じゃ!!!!!」




