44話.お散歩
ダンたちと共に迷いの森まで戻ったくろむたちであったが、
ダンとサラカは迷いの森の変わりように
大きな口を開けて固まっていた。
くろむ「そういや説明し忘れてたな」
「当然ながら多少手を加えて防衛力は上げている」
森の周囲に広がる巨大な壁とその前に広がる巨大な堀を
指差しながらダンは言った。
ダン 「これのどこが多少じゃ・・・」
「まるで別物じゃぞ・・・」
くろむ「そうは言ってもなぁ・・・」
「首都の枠組みの建築は俺が一人で半日程度でやったし・・・」
「多少だろ??」
ダン 「改めて思ったぞ、バケモノめ・・・」
くろむ「あんまり褒めるなって」
アキナ「褒められてはいないと思うよ?」
サラカ「改めて敵に回すべきでないと思いましたよ」
くろむ「それはありがたいことだよ」
アキナ「安心させるためにきたのに、怯えさせてどうするの・・・」
くろむ「まぁ、まだ街道ができてないから、どうやって入ろうかな・・・」
「街道を建設予定の場所に一本道だけ作っておくか」
くろむは外堀の縁に立ち、両手を前に掲げた。
<土>属性のマナを練り上げ、外堀に一本の橋を作り出す。
そして外壁の一部の変質させ、人一人が通れるくらいの穴を開ける。
さらにその先の内堀に対しても同様の一本の橋を作り出した。
くろむ「うし、できた♪」
「これでとりあえず森には入れるぞ」
ダン 「お前・・・」
くろむ「ん?」
ダン 「数秒程度で何をしたんじゃ・・・」
くろむ「自分の魔力と周囲のマナをつかって、
ちょいちょいっと道を作っただけだけど?」
「全体を半日で作ったんだ、この程度数秒でできて当然だろ?」
ダン 「・・・・・・」
アキナ「それさ、普通じゃないことは自覚してね?」
くろむ「大丈夫、俺がオカシイということは自覚してるよ」
アキナ「ならいいけどさ・・・」
サラカ「アキナさんは大分くろむさんの凄さに慣れてるみたいですね・・・」
アキナ「このくらいで驚いていると、くろむの隣には入られませんからね」
ダン 「この短期間での建国とかもなんか納得できてきたわい・・・」
くろむ「そんなことより、森の中見るんだろ?」
「さっさと行くよ?」
そういうとくろむは森へと歩き出す。
呆気にとられていたダンたちもそのあとに続く。
くろむ「森のマナの調整を今はこのあたりしかしてないから、
あまり遠くまでいくなよ?」
「とりあえず、この森の住人の一部を呼び出すわ」
くろむは、周囲に存在していたトレント8匹と
エルダートレント1匹を呼び出した。
くろむ「こいつらが住人であり、安全を保証するやつらだよ」
「今ここにいるのは、トレントとエルダートレントだけだけどな」
サラカ「エルダートレントですか!?」
くろむ「あぁ」
「今この辺には居なかったから呼び寄せていないけど、
こいつの上位種のレジェンドトレントも30匹ほどこの森にいるぞ」
ダン 「はぁ!!!!!??」
「レジェンドトレントじゃと!!??」
「そりゃ<S>ランクの魔物じゃぞ!!」
「それが30匹も居て、しかも全部従属してるじゃと!?」
くろむ「そうだけど、なにか?」
アキナ「・・・」
「そうやって、煽らないの・・・」
くろむ「すまんすまん・・・」
「まぁでもさ、<SSS>ランク以上の配下を
1000名以上抱えてるんだよ?」
「<S>ランク程度の魔物を従属できないとかオカシイっしょ?」
ダン 「ハッタリだと思ってたんじゃよ・・・」
「この様子だと信じるしかなさそうじゃがな」
サラカ「信じてはいましたが、この状況が持つ説得力はすごいですね」
くろむ「この森には、トレントが約2000匹、エルダーが約500匹、
レジェンドが30匹住んでいる」
「それを全て従属させている」
「俺が攻撃するなと命令すれば、安全は確保されるって感じだよ」
「まぁたまに自然発生で増えるけど・・・」
「そいつらは、従属組が捕獲後に連絡くれるか、
そのまま処分されてるから問題はないよ」
「マナ異常対策ついては、今この周辺で証明できてるよな?」
サラカ「くろむさんの言ってることが真実であると信じるしかないですね」
ダン 「うむ・・・」
くろむ「んじゃ、このお散歩も終了かな?」
「首都の案内は、貴族どもを絶滅させてからってことで♪」
ダン 「まぁ・・・ その時を楽しみにでもさせてもらうわい」
サラカ「そうですね」
くろむ「そうだ、忘れてた」
「サラカ、貴族全滅後にうちに使者としてくるときになんだけどさ」
「ルインで1番と2番の商人を連れてきてほしい」
「通商条約関係で、うちでの商売の話を少ししたい」
ダン 「貴族連合との戦争なんて眼中にない発言じゃな・・・」
くろむ「当然だろ」
サラカ「わかりました」
「通商条約を結ぶつもりであるから、その後の商談用に同行を
依頼するという形にでもしておきますね」
くろむ「ありがとう、頼むな」
サラカ「こちらこそ」
ダンとサラカは苦笑を浮かべながら馬車へと戻っていった。
サラカ「では、議会に働きかけて貴族連合として、
くろむさんに喧嘩を売るように仕向けます」
「そして必ずルイン在住の貴族全てから最低でも
一個大隊以上は出兵させます。
「予測では7日後に3~6万規模の軍隊がここに姿を表す予定です」
「烏合の衆ではありますが・・・」
「その規模の数にはなりますので、お気をつけください」
「不要な心配ではあるのでしょうがね・・・」
くろむ「いやいや、心配の言葉ありがたく受け取っておくよ」
「そうだ、もう一つお願いがある」
「うちへの戦争が開戦する日なんだけどさ、
自治議会の議場に全議員を集めておいてくれ」
「勝利の報告をみんなで待ちましょうとか適当に言いくるめてさ」
「こっちを片付けたら、その足でそっちまで挨拶にいくよ」
サラカ「怖いお方ですね・・・」
「わかりました、当日は議場でお待ちしておきますよ」
くろむ「おう、よろしくな」
ダン 「では帰るぞ、サラカよ」
サラカ「そうだね、くろむさんご健勝で!」
そう言い残す二人の馬車を見送ったくろむは、
<ルーム>経由で隠れ里の応接室に戻った。
応接室に戻った二人は、アイギスの主要メンバーに対して
集まるように指示した。
続々と集まってくる主要メンバーに対してに
くろむはこれからの予定を話しだした。
くろむ「ゴドラ、ガイアの建設はどんな状況だ?」
ゴドラ「住居および鍛冶場は完了しております」
「現在はガイアへの街道開通後のために、宿や酒場など
サービスを提供するための施設を建築中でございます」
くろむ「早いな」
「しかし、宿などの建物だけあっても従業員がいないのでは、
意味がないぞ?」
ゴドラ「建築に携わっていないドワーフ族約80名を
従業員として育成させています」
くろむ「その辺はぬかりないというわけか」
「しかし、なぜドワーフ族のみなんだ?」
ゴドラ「人族まで含めての接客となりますと、見た目の都合上、
ドワーフ族か竜人族に絞るしかなく・・・」
「竜人族は防衛関係をメインとしておりますので、
最初はドワーフ族のみでと考えております」
くろむ「・・・」
「接客向きの仲間が少ないということだな・・・」
「失念していた、すまん」
「今後、接客向きの仲間も増やしていくので、それまでは頼む」
ゴドラ「承知しました」
くろむ「さっき話にでた街道についてなんだが・・・
ルインの貴族からの攻撃前までに外壁の内側部分だけは完成させよ」
「この指揮はカイン、お前がとれ」
「人選は竜人族とゴブリン隊とトレント隊で頼む」
「ドワーフ族に余力はないだろうからな」
「街道予定地は、このあと細い一本道を作っておく」
「その道を幅100メートルまで広げよ、その範囲のマナ調整もしておく」
カイン「承知しました」
くろむ「内政関係での取り急ぎはこのくらいかな」
「次にルインの貴族からの攻撃への対応についてだが・・・」
「サラカの見立てでは、7日後に3~6万規模の軍勢で
攻めてくるだろうとのことだ」
「それも踏まえて、国としての組織図と
今回の戦争への戦略の概要をまとめたからまず目を通してくれ」
くろむは、組織図と戦略が記載された紙をみんなに渡した。
そして、みんなが一通り目を通し終えるのを待つことにした。




