4話.初めての人助け
ふいに、<混合魔術>を作りだしてしまうというハプニング?などもありつつも
洞くつ探索は順調に進んでいた。
くろむ「お腹すいたし、このあたりで<ルーム>に戻ってご飯にするかな」
ナビ 「こないだまで<サバイバルだ!>とか言ってた人の言葉には
思えないけどね・・・・」
くろむ「生活水準はあげちゃうと、落とせないものですよ!」
ナビ 「あそ・・・」
ナビに呆れられつつも<ルーム>で自室に戻るくろむ。
ゴブ太「あ、おかえりなさい、主様」
くろむ「おう、ただいま」
ゴブ太「そろそろお戻りになるかと思い、お食事を作っておきましたが、
いかがでしょうか?」
くろむ「!!!!!!」
「ゴブリンのお前にそんな気遣いなんてできたのか!!?」
ナビ 「たぶん、<名づけ>で<ネームド>になったからよ」
「ゴブリンにそんな気遣いは普通無理だからね」
くろむ「そういうものなのかね・・・・・」
「<名づけ>ってすげーのね・・・・」
そんな驚きイベントがおきつつも、
くろむはゴブ太が用意してくれた食事を食べた。
味? 所詮ゴブですよ?
気遣いはできても味覚オンチらしく、ほぼ素材の味のみでした・・・
くろむ「そういえば、今日魔物を大乱獲したけど、
ステータスどうなってんだろ?」
ナビ 「さっき魔術の効果確認したときに見なかったの?」
くろむ「<混合魔術>という言葉にびっくりしてみるの忘れてた・・・・」
ナビ 「そういうところは、普通の反応できるのね?」
くろむ「なにげに酷いこと言ってないか?」
ナビ 「きのせいよ♪」
いつも通りの軽口を叩きあいながら、<ステータスボード>を確認。
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名前 : くろむ
種族 : 人族
職業 : 大魔術師
レベル : 49
HP : 2380
MP : 10590
筋力 : 1024
耐久 : 1230
敏捷 : 5630
魔力 : 10260
幸運 : 7650
技能
・魔術理解(Lv6)
・魔術適正(Lv6)
・魔眼(Lv4)
・身体強化(Lv7)
・剣術(Lv3)
・槍術(Lv6)
・秘匿・改変(Lv3)
・精神干渉耐性(Lv4)
・毒耐性(Lv5)
・麻痺耐性(Lv5)
・混合魔術
加護
・空間神の加護
魔眼
各種効力を持つ魔眼を使える
(レベルアップごとに1つづつ開眼する)
Lv3 :鑑定眼
(物の価値を見抜くことができる)
(対象の<ステータスボード>の中身を盗み見できる)
(技能<鑑定>のLv10相当)
Lv4 :説得眼
(ある程度まで無理のある話でも相手に
納得させてしまうことができる)
(技能<魅了>に近い効果)
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毎度ながら・・・
ツッコミどころ満載だな・・・・
とりあえず<ステータス>部分に関してはスルーしておこう・・・・
深く考えたら負けな気がする・・・
追加された<技能>の詳細を見てみると・・・・
秘匿・改変
<ステータスボード>上の任意の箇所を秘匿して文字化けさせたり
異なる内容に改変させたりすることができる技能(見た目のみの変更)
耐性系3種類
精神干渉攻撃などに対する耐性を持つ
(Lv10で完全無効化となる耐性を得ることができる)
混合魔術
複数属性の魔術を混合させると発現する<技能>
「混合魔術を扱えるもの」という称号的意味合いの<技能>
まぁ、耐性を色々得れたのは素直に良かったと思う。
どいつから<強奪>したのかは謎だけど・・・
たぶん<へび>とか<サソリ>あたりだと思う。
<秘匿・改変>は近いうちに街に行く予定の俺としては
正直かなりありがたい。
まだLv3なので、看過されてしまう可能性はあるけど、
このあきらかに可笑しいステータスを持っている身としては
ぜひとも欲しい<技能>だった。
さっそく<ステータス>の偽装を始めた。
くろむ「もう職業からして偽装が必要だよね、これ・・・・」
そんなことをボヤきつつ、偽装を行った結果
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名前 : くろむ
種族 : 人族
職業 : 魔術師
レベル : 29
HP : 580
MP : 1059
筋力 : 102
耐久 : 123
敏捷 : 300
魔力 : 700
幸運 : 230
技能
・剣術(Lv1)
・槍術(Lv3)
・毒耐性(Lv2)
・麻痺耐性(Lv2)
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こんなところかな・・・・
正直、<普通>のステータスとかわからないので、
ザクザクっと削ってみましたよ。
ステータス偽装後、くろむは就寝した。
次の日、ゴブ太が用意してくれた朝食を食べた。
くろむ「用意してくれるのはありがたいが・・・・」
「この味気ない食事はなんとか改善させたいな・・・・」
ナビ 「街までいけばいいのに・・・」
くろむ「そうだなぁ~」
「そろそろ本気で街にいくことも考えないとな」
「さてと・・・」
「今日も元気に洞窟探索はじめるぞ~!」
ナビ 「おぉ~~♪♪」
軽快なナビの声を聴きつつ、<ルーム>内の自室を出て洞窟に戻ってきた。
くろむ「<ルーム>はやっぱり便利だな・・・」
くろむ「ん!!?」
くろむは少し離れた場所の壁が少し光っていることに気づいた。
くろむ「こんなの昨日は気づかなったけどな・・・」
「これ何かわかるか?」
ナビ 「ん?」
「あぁ~、これは鉱脈だね~♪」
「色の感じからすると、たぶん<銀鉱石>かな♪」
くろむ「おぉ! これが銀の鉱脈なのか!」
「そろそろ街に行ったときのため金目のものは嬉しいね」
「よし! ちょっと回収させれもらおっと♪」
「でも・・・ ツルハシとかないしな・・・・」
ナビ 「なんか採掘向きの魔術つくっちゃえば?」
くろむ「軽いノリで言いやがって・・・・」
文句をいいつつも、どんな魔術を作るかを考え始めた。
くろむ「採掘に使うとすると・・・
するどく尖っているほうがよさそうだな」
「鉱脈って硬いだろうから、硬度も必要になるな・・・」
「思いつくのは・・・ でっかいアイスピック??」
「よし、記憶にあるアイスピックの5倍程度の大きさで~」
「どうせなら10本同時出現させる魔術にしちゃうか、
俺MPバカだしいけちゃうっしょ♪」
作る魔術のイメージが大枠で決定したので、
マナとMPを混ぜ込みながら、<氷>属性の魔力を練り始めた・・・
くろむ「今回は10本出現させるし、ガッツリMPをつぎ込んで~っと」
くろむがMPをいつも以上に込めだすと、
周囲の空気が冷えていくのを感じる。
周囲に広がった冷気を10本の大きなアイスピック状に
固めていくイメージをする。
出現しだした10本のアイスピックの硬度を増させるために、
さらにMPに込め始める・・・・
見ただけで相当な硬度であると理解できるような
10本の大きなアイスピック状の氷鋲がくろむの周りを取り囲んだ・・・
くろむは右手を銀鉱脈に向けて・・・
くろむ「アイスピック!!!!」
くろむの発生とともに、10本の氷鋲は銀鉱脈に向け飛翔し・・・
ドカッ!
ドカッ!
ドドドドカッ!!!!
ドドン!!!!!!!!
10発の激突音とともに、銀鉱脈である壁を大きく穿っていた。
ナビ 「!!!!!!!!」
くろむ「やべ・・・ これ威力有りすぎたかも。。。?」
ナビ 「MPバカなくせに、
MPを自重なく練りこむとか何考えてんのよ!!!」
くろむ「まだ加減がよくわかんなくてさ・・・・」
ナビ 「まぁ別にいいけどさ・・・・」
「それより目的の銀鉱石はどんな感じなのよ?」
くろむ「ん~~ 若干細かくしちゃった?って感じだけど、
結構な量はある気がするぞ」
「そこそこな量な気がするんだけど、
実際これっていくらぐらいになるもんなの?」
ナビ 「僕が実態のない神の眷属ってこと忘れてない?」
「僕が人族たちのお金の感覚をわかるわけないでしょ・・・」
くろむ「ふぅ~ん、そういうもんか」
「ま、いいや」
「街に行ったときに換金すればいいだけだしな」
くろむはそういいつつ、<ストレージ>に<銀鉱石>を回収した。
回収を終えたくろむは洞窟探索を再開した。
探索を再開したくろむは、何か違和感のようなものを覚えた・・・
くろむ「なぁ、ナビ・・・ さっきからなんか変な感じしないか?」
ナビ 「そう??」
くろむ「やけに魔物の数が少ない気がする・・・」
「それに何か音がかすかにしないか?」
ナビ 「僕には聞こえないけど・・・」
「ついにこの世界の人?発見かもね??」
そんな会話をナビとしていると、
甲高い金属音と悲鳴のようなものが聞こえた・・・・
くろむ「!!!!」
くろむ「誰かが魔物に襲われてるのか!!?」
ナビ 「そうかも!!」
くろむは音の聞こえた方角に飛び出した。
20秒程度走ったところ、ヒトカゲが見えた。
くろむ「あれは・・・ オーク?」
4匹のオークの群れが何かを追いかけている姿が遠目に見えた。
くろむ「あの追われてるのは・・・ 人間??」
「なんか猫耳っぽいものも見えるけど・・・・」
ナビ 「あれは、<猫人族>っていう獣人だね!」
くろむは生成した2本の<アイスランス>を左右の手にそれぞれ持ち、
オークの群れに特攻した。
右手の氷槍を<猫人族>のもっとも近い場所にいたオークに向け投擲した。
投擲された氷槍はオークの頭部を粉みじんに吹き飛ばした。
その事態にオークたちの理解は追いつかずに、動揺を始める。
動揺しているオークの群れにくろむは左手の氷槍を横なぎした。
「ぎゃーーー!」
くろむは、断末魔を残しつつ胴体と足が分断された2匹のオークを
横目で確認しつつ、その氷槍を残りのオークに投擲した。
最後のオークは胴体に大きな穴をあけ、声を発生することもできないまま、
崩れ落ちた。
くろむ「大丈夫か?」
理解の追い付かない出来事が目の前で展開され、
ポカンとした表情をしている<猫人族>に声をかけた。
猫人族「あ、ありがとうございます・・・」
くろむ「大怪我は・・・ してなさそうだな」
「手遅れにならなくてよかったよ」
猫人族「は、はい」
くろむ「俺の名前はくろむ」
「諸事情あって、この洞窟の探索をしてる」
猫人族「あ、わたしは<アキナ>と申します。」
「危ないところ、ありがとうございました。」
動揺しつつも、くろむへのお礼を言うアキナは、
相当必死に逃げ回っていたらしく、
全身に細かい切り傷があり、全身泥まみれだった。
くろむ「とりあえず、少しきれいにするか」
「クリーンウォッシュ」
若干の光を帯びた水球がアキナを包む。
アキナ「え? こ、これは・・・・?」
光が収まると、アキナの切り傷や泥はきれいになくなっていた。
アキナ「!!!!??」
「か、回復魔術? 洗浄魔術???」
「ど、どういうこと・・・?」
激しく動揺するアキナを見て、
<クリーンウォッシュ>が高度な魔術であることを思い出す。
くろむ「あぁ、でもまぁしょうがないよな」
綺麗になったアキナを見て、くろむは思わず見惚れてしまった。
くろむ「アキナって・・・・」
「女の子だったのか!?」
アキナ「そうですけど・・・・」
「あ、さっきの泥まみれではわかりませんよね」
はじめての人助けをした相手は、
思わず見惚れてしまうほどの猫人族の美女でした。