41話.建国に向けて
しっかりと心の休養のとれたくろむは翌日から精力的に行動した。
アキナ、カルロを引き連れて迷いの森中の魔物を捜索した。
見つける側から従属し、
くろむの命令に従って森を守護することを命令して回っていた。
次に予定していた森の外側を囲う外壁と内堀と外堀を一気に作成。
実際に仲間たちに実行させたら一ヶ月はかかりそうな土木工事であったが、
チートな俺は潤沢な魔力を惜しげもなく使うことにより
半日ほどで完成させていた。
くろむ「ふぅ・・・」
「流石に疲れたけど、もうちょいだ!」
くろむは<マガツ湖>を中心として半径5キロ圏内の森を整地し、
<マガツ湖>を溶けることのない氷で固めた後、
その上を固い岩盤で覆った。
その後、その範囲を大きな外壁で囲い、首都建設の枠組みは完成した。
くろむ「カイン~、ゴドラ~!」
「昨日話した通りの首都の枠組みまでは完成したから、
首都の中身の建設を頼む」
「基本は任せるけど、定期的な報告だけは入れてくれ」
カイン「承知しました」
ゴドラ「お任せください」
くろむ「作業開始前にゴドラは応接室まできてくれ」
「アキナとカルロもよろしくな~」
くろむに呼び出された3人は応接室にてくろむの到着を待っていた。
くろむ「ゴドラ、頼んでおいたものは持ってきてくれたか?」
ゴドラ「はい、こちらになります」
ゴドラが指差した箱には、
アキナの防具と、カルロの武器と防具が入っていた。
ゴドラ「こちらがアキナ様用の防具になります」
「動きを阻害しにくいようにドレスベースのデザインになっております」
「また、風の精霊の加護を受けた糸を用いて作ることにより、
敏捷性を高める効果が付いております」
「色合はくろむ様の蒼天のローブとお揃いになるように
蒼色系とさせて頂きました」
「なお、所々についている風霊石のカケラより
軽微な風の膜を全身に覆うことが可能となります」
「これにより、防御力の底上げをしております」
「またカルロ様の防具も基本的には同様のものになりますが、
デザインは軽鎧をベースとしております」
「色合はカルロ様のご希望により黒色系となっております」
「そして、カルロ様の武器ですが、
剣は黒曜石をベースにして多少粗っぽい使い方をしても
損傷しにくいものにしております」
「ただし、刃部分のみ防具でも使いました風霊石のカケラを練り込み
カマイタチを纏わせることで斬れ味を向上させております」
「短槍もベースは黒曜石を用いて耐久性をあげております」
「こちらは槍の芯の部分に光霊石を練りこんだものを使っており、
物理攻撃の効果が薄いといわれている魔を祓うことを
得意とする槍となります」
「それぞれの名前ですが・・・」
「アキナ様の防具を蒼風のドレス」
「カルロ様の剣を黒曜風剣」
「槍を黒曜光槍」
「防具を漆黒の衣 と名付けさせて頂きました」
アキナ「す、すごい・・・」
「こんないいものをわたしがつかっていいの?」
くろむ「当たり前だよ」
カルロ「俺なんて一式全部・・・」
「兄貴ありがとうな!!」
くろむ「礼なんていいよ、このあと面倒なお願いするしね♪」
カルロ「兄貴は兄貴ってことか・・・」
くろむ「ゴドラ、これほどの武具とは、さすがだな」
「ドワーフ1の鍛冶師の名は伊達ではないことがよくわかったよ」
「これからもよろしく頼む」
ゴドラ「ありがとうございます」
くろむ「礼は後日今までの分もまとめてするから、少し時間をくれ」
ゴドラ「それでは楽しみにしておくとしますよ」
「俺は首都計画の打ち合わせをしないといけないので、
これで行かせてもらいますね」
くろむ「おう、そっちもよろしくな」
席をたつゴドラを見送ると、くろむはカルロを見た。
くろむ「さて・・・」
「先程少し言ったように面倒なお願いごとだ」
「まず、俺とアキナは明日ルインにいく」
「そこでダンに世界中に建国宣言したと伝えてもらうつもりだ」
「その後、あの街の今後についてダンたちと話すことになるだろう」
「カルロには3日後にうちの正式な使者という形で
<ダイン獣王国>に行って欲しい」
「建国宣言の通知が届いたあとに行ってほしいからな」
「これがお前が正式な使者であることを証明する証書だ」
くろむは、カルロに証書を手渡す。
くろむ「ただし、これは無茶苦茶な話なので、
獣王に会うまでに相当もめるだろう」
「相手のお国柄、相当数の戦闘も必要になるだろう」
カルロ「そのために武具を急がせたわけか・・・」
くろむ「その上でカルロへの依頼だ」
「魔導国家アイギスの使者として獣王に謁見し、
獣王に建国自体を認めさせてくれ」
「そして、俺との国家元首同士の会談をすることの
確約をとってきてくれ」
カルロ「とんでもない依頼をさらっと言いやがって・・・」
くろむ「無茶なのは承知の上だよ」
「ただし、今の依頼達成よりお前の命のほうが大事だ!」
「どれだけもめて戦争になる事態になっても構わない」
「命を最優先にしつつ、できたら依頼の達成をしてくれ」
カルロ「交渉決裂になるまでは、相手を殺すなってこともだろ?」
くろむは、笑顔で答える。
カルロ「まったく・・・」
カルロ「わかったけどよ、さすがに褒美は期待するぜ?」
くろむ「あぁわかった、俺で可能なことならなんでも叶えてやるよ」
カルロ「そりゃやる気がでてくるねぇ♪」
アキナ「ねね、くろむ」
アキナ「さっき、サラッとわたしの名前でてきたけど、
明日ルインにいくの?」
くろむ「ルインも色々危険がある場所だろうけど、
交渉の内容的に俺が行かないといけないからな」
「アキナには悪いけど、同行を頼む」
アキナ「別にどこにだって、一緒にいくけどさ・・・」
「ルインだってすんなりはいくとは思ってないんでしょ?」
くろむ「まぁな、ある意味ルインのほうが手間がかかる可能性はあるな・・・」
「あそこの場合、暗殺を狙う貴族もいるだろうしな」
アキナ「そんなところに行くのに置いて行ったら怒ります!!」
カルロ「お暑いとこ悪いが、ちと準備をはじめさせてもらうぜ?」
くろむ「あぁ悪い悪い、そうしてくれ」
「カルロ、さっきも言ったがお前の命優先なのだけは忘れるな」
「お前の命より大事な交渉なんてないんだからな」
カルロ「兄貴は優しいんだか、怖いんだかよくわかんねーよなぁ」
笑いながら席をたつカルロを見送り、
明日から始まるであろう困難に胃が痛くなるくろむであった。




