40話.くろむの国とは
くろむは、アキナとカルロとカインとゴドラの4人と一緒に
応接室で今後の相談をしていた。
くろむ「とりあえず首都をどうするかをずっと悩んでいたんだが・・・」
「こないだアキナにアドバイスをもらった案を元に考えてみた」
アキナ「アドバイスなんてしたっけ?」
くろむ「迷いの森に作るって案だよ」
アキナ「あれは迷いの森に作るのは無理だよねって話だったような・・・」
くろむ「そうだな」
「でも迷いの森に作るという発想は盲点だったから助かったよ」
カイン「そうなると、迷いの森に首都を作るということでしょうか?」
くろむ「端的に言えばそうなる」
「まずは、あの森にいる全魔物、
特にエルダートレントとレジェンドトレントは全て従属させる」
「その上で森をぐるっと囲う堀を作る、
幅500メートル、深さ1キロほどの予定だ」
「その堀の外を高さ1キロの外壁で囲う、
この外壁は地獄大業火釜の壁クラスの強度で作るつもりだ」
「さらにその外を幅500メートル、深さ1キロの堀で囲む」
「俺のいた世界の城に内堀と外堀というものがあったんだが、
それをイメージしたものになる」
「両方の堀には、水を溜め込んだ上に、
迷いの森の荒れ狂ったマナに指向性を持たせて流し込む」
「これによって堀の水は川のように流れをもった上に、
その水は人の感覚を狂わせるマナ異常の水にもなる」
「これだけでは、空からの攻めには無防備なままとなるので、
最近習得していることに気づいた技能<空間断裂>を使う」
「<空間断裂>は、次元の壁を作ることができて、
突破不可能な壁を作ることができるんだ」
「この次元の壁を外壁の蓋になるような形で設置する」
「これである程度は森の防御力は確保できるはずだ」
カルロ「なんというか、とんでもない構想だな・・・」
「ただそんなもん実現できるのか?」
くろむ「本当は俺の力抜きで作りたいと思うとこなんだけど、
今は時間が惜しいので、俺が作るつもりだよ」
「きっと1~2日程度でできるはずさ」
「ただし、維持管理は俺以外のメンバーに任せる」
「俺なしでも都市運営が回るようにならないとマズイからな」
「カインとゴドラはその中心を担うことになると思うから、
そのつもりでいてくれ」
カイン「承知致しました」
ゴドラ「わかりました」
くろむ「肝心の首都だが、<マガツ湖>を俺の魔力で永久氷結させて、
その上に都市を作るつもりだ」
「俺なしでも永久氷結を維持する方法は後日考えるとして・・・」
「<マガツ湖>>だけでは手狭な都市になるだろうから、
周りの森もある程度伐採して都市の一部にする」
「都市は堀のところにつけた外壁と同じ外壁で囲う」
「<マガツ湖>は凍っても聖なるマナを噴き出していたので、
邪なものを退ける効果も期待できそうだしな」
「その上で、森は従属したトレント族に守らせる」
「ここまでの都市の枠組みは俺が作るから、
中身の都市建設は、カインとゴドラが中心となって頼む」
「ゴブ太たちも使ってくれて構わないからさ」
「首都とその防衛設備の大まかな案は以上なんだが、
なにか意見とかあれば聞きたい」
アキナ「わたしの思いつきで言った言葉が、これだけの案になるとか・・・」
「やっぱりくろむはすごいよ・・・」
カルロ「常識に囚われない突飛な発想ではあるけど、
その分面白くていいと俺は思うぞ」
ゴドラ「そうですね」
「配下になれてよかったと改めて思える智謀と発想だと思いましたね」
カイン「御三方とほぼ同意見ですが、1つ質問よろしいでしょうか?」
くろむ「遠慮なくいってくれ」
カイン「完璧に思える案なのですが・・・」
「完璧な防衛網であるがゆえに、
誰も訪問できない都市となってしまっています」
「そこはどうお考えなのでしょうか」
くろむ「いい指摘だな」
「建国当初は余裕もないので、このままでいくつもりだ」
「ただし、この都市を中心とした迷いの森を
横断できる街道を整備するつもりだ」
「現在の<ダイン獣王国>と<ルイン>を結ぶ街道は、
迷いの森を大きく迂回したルートになっている」
「これを我が国が安全を保障した迷いの森を直通できる街道を提供する」
「これにより迂回していた時と比べ、
3日は時間を短縮できるようになる」
「この街道の提供とその街道の安全性の保障を
我が国の売りの一つに考えている」
「まぁ、安全性を保障するのは、
うちの認可を得た人のみではあるけどな」
「この辺の担当がウルフ隊とトレント隊の仕事かもな」
「まぁ、最初は信用がなくて通ってもらえないだろうが、
そこはルインを利用するつもりだ」
カイン「そこまでお考えでしたとは・・・・」
「思い至らず申し訳ございません」
くろむ「ある意味思い付きの案だ、指摘はどんどんしてくれ」
「とりあえず4人の同意は得れたので、
この案で行こうと思う」
アキナ「はぁ~い!」
カルロ「おう」
カイン「承知しました」
ゴドラ「わかりました」
くろむ「で、建国するにあたって国名と首都名は必須になるわけだが・・・」
「国名は<アイギス>にするつもりだ」
「この国が何のためのものかを改めて考えた」
「俺が守りたいものを守るためのもの、
そして如何なる種族であろうが俺を慕ってくれるものを
守るためのもの・・・」
「それを実現するために俺の国が必要だと判断した」
「そう考えたとき、全ての外敵から守る盾として、
戦神アテナが持つアイギスの盾が思い浮かんだ」
「敵対する転生者の中には、
アテナに転生された奴もいるかもしれないと思ったが・・・」
「俺は俺の中に存在する戦神アテナの盾の名を
国の名前にしたいと思った」
「魔導国家アイギス」
「そして、その首都を王都ガイア」
「みんなの意見を聞きたい」
アキナ「なぜガイアなの?」
くろむ「地母神ガイアからきているんだ」
「王都に住むものは俺の庇護下にいるってことだからな」
「王都にいるものは王である俺が守るべきものたちっていう
誓いを込めた名前だよ」
カイン「王の覚悟や想いのこもった良き名前であると思います」
ゴドラ「俺も同じ意見だよ」
カルロ「兄貴らしいって感じがして、俺は好きだぜ!」
アキナ「わたしもいいと思うわ」
くろむ「みんなの同意もとれて安心したよ、ありがとな」
無事懸念事項を解決できたくろむは、会合を終了し解散となった。
その後アキナと2人で残ったくろむはホッと息をついていた。
くろむ「ありがとな、アキナ」
「昨日のデートのおかげで案がまとめれたよ」
アキナ「力になれていたなら嬉しいわ」
くろむ「かなりね、頼りにしてるよ」
「ただ今日は何か疲れたから、ゆっくり休みたい・・・」
「付き合ってくれるかい?」
アキナ「くろむったら・・・」
「しょうがないわね」
その後、くろむとアキナは、
甘い時間をゆっくりと堪能して過ごした。




