31話.力の試練①
眩しさのあまり閉じていた目をあけると、
目の前には竜人族のご老体とその取り巻きと思われる若者が4人並んでいた。
おそらく門番から事前に連絡があったのであろう。
ご老体「ようこそ、おいで下さいました、強き者よ」
「私は、竜人族の族長をしております、カインと申します。」
「門番より目的は伺っております」
「我らの試練を受けるための訪問ということでよろしいか?」
くろむ「話が通ってるなら楽でいい」
「試練を受けにきたというのは正しいよ」
「ただ、試練を受ける前に試練の内容を聞いてもいいか?」
カイン「もちろんでございます、ではご説明させてもらいます」
「試練は大きく分けて、2種類存在します」
「<知恵と勇気の試練>と<力の試練>」
「<知恵と勇気の試練>については、
門番に会えた段階でクリアしています」
「なお、門番との戦闘は<力の試練>を受けるに値するお方かどうかの
篩をかけるためのテストになります」
「お客人は<力の試練>を受ける資格を得たという状態です」
「<力の試練>とはいたって単純、力比べです」
カインは<力の試練>について説明を始めた。
・竜人族は毎年1回武闘大会を開催し、上位5名に選出されたものを
<5竜人>と称えるらしい。
・<力の試練>とは<5竜人>と5連戦をし、全勝することで達成となる。
・なお、門番は武闘大会で6位だったものが務めるらしい。
(門番より強いやつ相手に5連勝しろとか狂った内容の試験だな・・・)
設定といい、出してくる試練内容といい、たしかにネタ種族なんだなぁと
くろむは再認識した。
くろむ「わかった、その試練を受けさせてください」
カイン「里の中心にある武舞台が試練の会場になります」
「そこまでご案内致しますので、ご同行願えますか?」
くろむ「よろしく頼む」
そう言ってくろむたちはカインの後に続く。
カイン「こちらが会場の武舞台になります」
「試練への準備が必要でしたら、少し時間を設けますが、
いかがいたしましょう?」
くろむ「今すぐで問題ないよ」
くろむは、両手に1本づつのアイスランスを生成した。
くろむ「俺の武器はこれでそのまま開始できるよ」
カイン「承知致しました」
カインは最初の対戦相手を武舞台に呼び出した。
シュガ「私はシュガと申します」
「5竜人の5位を務めさせていただいております」
くろむは自己紹介を返しつつ、片手に1本づつ持った氷槍を構えながら、
<観察眼>にてシュガを見た。
(ステータスオール4000で剣術Lv8か)
くろむ「いつでもどうぞ」
カイン「では、最終試練第一試練・・・ 開始!!」
開始の掛け声がかかると、シュガは左右に小刻みに揺れるステップを開始し、
くろむとの距離を詰めたり、離したりして、くろむの様子を伺う。
くろむ「さすがに門番さんみたいに猪武者ではないか」
「睨み合いの様子見ってのも嫌いじゃないけど・・・」
「動かなきゃ面白くないよねっ!!」
発言が終わり切らないうちに、
左手に持っていた氷槍をシュガの顔面めがけて投擲した。
シュガは首を傾ける動作のみで氷槍を避ける。
シュガ「!!!!」
「なかなか思い切りのいい作戦を実行される人なんですね」
「しかし、これであなたは武器を1本うしな ・・・・・!!」
「なんで2本ともまだあるのですか!??」
くろむ「ここはお喋りをする場所なのか?」
「まぁサービスで教えてやるけど」
くろむは何本もアイスランスを連続で生成して見せた。
「この通り、俺の魔術で生成した槍だから
どこにでも何本でも瞬時に生成可能なんだ」
シュガ「魔術にそんな使い方があるなんて・・・・」
くろむ「自分の常識のみで決めつけるとそれ以上の成長はないぜ?」
シュガ「!!!!!」
くろむは無意識でシュガの地雷を踏んでいてしまったらしく、
別人のような形相で突撃してきた。
迎撃しようと氷槍を構えると、シュガが激しく左右に揺れた後、
視界から消えた。
シュガはしゃがんで視界から消え、そのままくろむの足を横薙ぎしようとした。
くろむ「残念だったね、確かに姿は見失ったけど、<魔力検知>で丸見えだよ」
そういうと、横薙ぎをおこなっている剣の腹を氷槍で突き刺し、剣をへし折った。
くろむ「これで降参してくれたら、殺さずに済んでありがたいんだが?」
シュガ「ま、まいりました・・・」
「あれを、こんな止め方する人に勝てるビジョンは浮かばないですよ」
カイン「くろむの勝利!」
くろむ「とりあえず1人♪」
カインは次なる試練担当者を呼び出す。
ソルト「我が名は、<ソルト>」
「5竜人の4位を務めさせていただいておる」
「我はタンク職という特殊な職のため、
この決闘は独自ルールとさせてもらう」
「制限時間5分以内にタンクである我に
クリーンヒットしたかどうかの勝負である。」
くろむ「タンク職からの試練としては、妥当な提案かな」
「よし、始めようぜ!」
くろむはそういいつつ、距離をとる。
その後、様子見がてら氷槍を突き続けた。
ソルトは氷槍の突きの一部のものを剣で払いのけ、
残りの攻撃を盾にて防いでいた。
くろむ「さすがにこれは防ぐのか!」
「なら盾を砕かせてもらうよ!!」
くろむはソルトの盾を目掛けて、
左右の氷槍にて、それぞれ10発づつの突きを放った。
氷槍の突きはすべてが同じ個所に放たれていた。
1撃ごとにソルトの盾の中央部にできた凹みが肥大化し、
10発目を超えるあたりから穴が開き始めた。
20発すべてが放たれきった頃には、
盾に空いた穴はかなりの大きさになり、盾として機能を失っていた。
くろむ「盾に大穴が空いて、持ち手もボロボロ」
「タンクとしての仕事が続けれる状況ではないと思うけど、
そろそろ勝ちを譲ってくれないかい?」
ソルト「真正面からぶち抜かれて負けを認めないわけにはいかないですな」
「我の負けです」
カイン「戦闘継続不能と判断し、くろむの勝利!」
アキナ「これで2連勝ね♪」
特に苦戦することもなく、相手を無効化しつつ勝利を収めるくろむ。
油断はしないようにと気を引き締めなおして、
次の試練の相手が現れるのを待っていた。




