24話.早すぎる反応
のんびりと3人で会話を楽しんでいると、部屋のドアがノックされた。
相手は宿屋の娘であった。
<カロライン王国>出身の貴族である
グレフィーナ子爵の長男:<バラド・グレフィーナ>が
話があるので屋敷に来て欲しいとのことであり、
迎えの馬車を寄越しているので、それでくること。
ということであった。
くろむは、もう貴族のお呼び出しかよと霹靂したが、
不必要な揉め事は回避したいため、素直に召集に応じることにした。
くろむ「すっごく行きたくないけど・・・
下手に揉め事を起こすのも嫌なので、とりあえずいくか」
アキナ「貴族様の召集なら実質的には、強制だしね・・・」
「どうしても嫌ならギルド経由で断れば断れますよ?」
くろむ「ダンにはさっきの件で負い目もあるしな・・・」
「これ以上借りを増やしたくないから、
今回は素直に召集されておくよ」
宿の外にでると、御者と思われる初老の男性と
特に豪華というわけではないけど、
ボロボロというわけでもない普通の感じの馬車があった。
御者 「くろむさまでございますか?」
「バラド様のご指示によりお迎えにあがりました」
くろむ「ありがとうございます」
「ご招待は俺一人のようですけど、二人でもいいでしょうか?」
御者 「お連れの方も一緒にお連れするようにと申しつかっております」
くろむ「わかりました」
くろむたちが馬車に乗るとルイン中心部に向けて進み出した。
くろむ「どうせろくな話ではないだろうから、
無難に済ませてさっさと退散させてもらおう」
アキナ「そうだね、呼び出すにしても反応が早すぎて
なんか怪しさを感じるしね・・・」
しばらくすると、日本の時の記憶にある
中世ヨーロッパのお屋敷という感じの洋館のたどり着いた。
御者 「お待たせいたしました」
「グレフィーナ子爵様のお屋敷に到着致しました」
「このまま中にご案内致します」
くろむたちは馬車を降りると、案内されるまま屋敷の中に入る。
通された部屋はいかにも客間といった感じで
高級そうな調度品が並んでいた。
御者 「まもなくバラド様がお見えになりますので、
もうしばらくお待ちください」
そう言い残すと御者の男性は席を外した。
くろむ「色々高そうなものがいっぱいだけど、
一個一個が派手すぎる・・・・・・」
「あんまり好ましいセンスとは思えないな・・・」
アキナ「どこで聞かれているのかわからないから、
そういうことは言わないの!!」
「まぁ、同感ではあるんだけどさ・・・」
アキナの思わぬ本音を聞き苦笑していると、ドアが開く。
バラド「待たせてしまって申し訳ないな」
「グレフィーナ子爵が長男のバラドだ」
「急な呼び出しに応じてくれてありがとう」
くろむ「こちらこそお呼びに預かり光栄ですよ、バラド様」
(一応貴族だし下手にでておくか)
バラド「当主が挨拶これず申し訳ない・・・」
「此度は、このルアンに向かってきていた魔物の軍勢を
跳ね除けたそうだな」
「ルアンの貴族の一人として感謝を伝えたくて今日は来てもらった」
くろむ「ありがたいお言葉ありがとうございます」
バラド「で、話は変わるが」
「そちらの娘がアキナで良いか?」
アキナ「わたしでございますか?」
「確かにわたしがアキナですが、如何なさいましたでしょうか?」
バラド「とても美しい女性であるという評判をきいてな」
「評判通りであれば我の後宮に迎えようと思ってな」
「評判に違わぬその美しさ、気に入った」
「我の後宮に明日より入れ」
(お連れも一緒にというのは、このためだったか・・・)
アキナ「え.... え....」
くろむ「バラド様、アキナは俺の伴侶になる女性ですので、
お戯れはお辞め頂けますか?」
(イラつくが、揉め事はできるだけ回避回避・・・)
バラド「冒険者風情が調子に乗って我に意見を申すな」
「成果に対しての謝辞を伝えたが、それで勘違いをされては困るな」
「本来なら言葉を交わすこと自体あり得ないと理解しろ」
(あー、アキナを呼び出す口実に俺を呼び出したわけね)
くろむ「アキナ、悪い」
「俺が甘かったわ」
「こんなとこに来るべきでも連れてくるべきでもなかった、ごめん」
「バラドよ、お前こそ勘違いしてないか?」
バラド「バラドだと...!!?」
「無礼だぞ!!!」
くろむ「うるせーよ、黙れ!! 貴族の小僧!!!!」
アキナ「ちょっと!!! くろむ言いすぎだって・・・」
バラド「!!!!!」
「この無礼ものを即刻捕らえよ!」
その瞬間、くろむが殺気を振りまいた。
そして、誰一人動くことも声を発することもできなくなっていた。
くろむ「俺が魔物600匹の群れを魔術一発で
蹴散らしたことは聞いてなかったのか?」
「俺がその気になれば、こんな屋敷はおろか
この街ごとぶっ飛ばせるんだぞ?」
「感謝したいからと呼び出して、
実はそのツレの女が欲しかったから置いていけだ??」
「舐めたマネしてくれた代償として、それ一本もらっておくな」
くろむは右手で作った手刀をバラドの右手に向けて放った。
バラドの右手は床に落ち、肩口より激しく出血をしたが、
その瞬間、切断面は氷ついた。
くろむ「止血はサービスだ、感謝しろよな」
「金輪際、俺やアキナに構うな!」
「アキナ、いくぞ!」
氷ついた右肩を抱えるように蹲るバラドを横目に、
くろむはアキナの手を引き屋敷をあとにした。
お盆期間中、もしかしたら更新頻度が少し下がるかもです。
できるだけ1日2更新はキープできるように頑張ります。




