21話.襲来
外がうっすらと明るくなり始めたころ、
くろむは外が少し騒がしくなっていることに気づき目覚める。
まだ寝ているアキナを起こさないように
そっとベットから出たくろむは窓から外の様子を伺う。
東門の方面と冒険者ギルド方面が若干騒がしいことに気付いた時、
アキナが背後から抱きしめてきた。
アキナ「おはよう、起きるの早いね」
「何か怖い顔して外見てたけど、どうしたの?」
くろむ「東門とギルド周辺がなにやら騒がしい」
「嫌な予感もするから今からギルドにいくぞ」
二人は急いで出かける準備をしてギルドに向かった。
ギルドには早朝にもかかわらず、
少なからずの人数の冒険者が集まっていた。
ギルド内では、ダンが険しい顔をしつつ、
集まっている冒険者たちに指示を出していた。
くろむ「よぉ、ダン、どうしたんだ? これ」
ダン 「おぉ、くろむか、いいところにきたのじゃ」
くろむ「騒がしいのに気づいて来てみたが、
悪い予感的中っていう雰囲気だな」
「なにがあったんだ?」
ダン 「それなんじゃがな・・・」
東門の監視塔より遥かに遠方に魔物の集団を発見したという報告があり、
それがルインに向かっているらしい。
そこでダンは緊急で各冒険者たちをギルドに召集し、
先行で集まった冒険者たちに調査依頼の緊急クエストを発行したらしい。
その調査隊がつい先ごろ戻ってきたのだが、
想定以上の調査報告の内容に対応策を思案しているとこだったらしい。
調査隊の報告は次の通りであった。
・魔物の群れは推定600匹規模。
・その内訳は
ゴブリン種 : 200匹前後
ウルフ種 : 200匹前後
オーク種 : 200匹前後
・それぞれの種族にジェネラル種が数匹、
キング種が1匹づつは最低でもいることが確認されている
・それぞれの種族はキングによって統率が取れており、
種族間も連携が取れている雰囲気であったらしい。
ダン 「規模もじゃが・・・ 異なる種族同士が
しかもそれぞれのキングが率いる軍勢同士が連携してるとか
聞いたこともない事態じゃぞ・・・」
「キング3匹を誰かがテイムしてるなら
不可能じゃないじゃろうがの・・・」
「そもそもキングをテイム自体が普通無理じゃしの」
くろむ「ヤバそうな状態ってのはわかったよ」
ダン 「くろむよ、手を貸してくれ」
「ギルドとしては緊急クエストとして処理する」
くろむ「わかった」
「だけど、このままだとどう考えても街に被害がでそうだから、
俺が先行して数減らすわ」
ダン 「は??」
くろむ「ダンは後続部隊を編成してあとから来てくれ」
「まぁ適当に数を減らしつつ、戦線は維持させておくから、
後続部隊をよろしくな」
ダン 「お前、自分が何を言ってるかわかってるのか?」
「死ぬ気か?」
くろむ「死ぬ気なんてさらさらねーよ」
「それに薄々は、俺の強さわかってんだろ?」
「明らかにそういう待遇してくれてるしな」
ダン 「・・・・・・」
くろむ「時間がおしいから俺はもういくぞ!」
「アキナ、ついてこい!」
そう言い残すとくろむたちは東門から魔物の群れに向けて走り出した。
アキナ「くろむの強さも知ってるし、
止めても無駄なこともわかってるけど....」
「絶対に死なないでね!」
くろむ「当たり前だ!」
「俺が魔物を倒せば倒すほど、
<強奪>の効果でアキナも強くはなるけど、
俺の後ろで待機して俺が討ちもらした魔物の相手をしてくれ」
「絶対に無理だけはするなよ!」
アキナ「自分は無理するくせに・・・・」
「わたしはくろむのことを信じるから・・・」
「だから絶対に死なずにわたしのところに帰ってきてね」
くろむ「約束するよ」
くろむは魔物の群れがいるとされる場所に向かって走りながら思案する。
・相手は600匹規模の大群であること。
・自分にはそんな大群を相手にする攻撃手法をもっていないこと。
・報告を聞く限り、魔物がいる場所は開けた場所ではなく、
<竜の牙>に挟まれた幅10キロ程度の道をゾロゾロと
街に向かって歩いているらしいこと。
くろむは、広範囲型の殲滅系の魔術を生成することを決める。
くろむ「広範囲で殲滅かぁ....」
「思い浮かぶイメージは、<火>かなぁ」
「それもただの火や炎ではなく、全てを燃やしつくすような
地獄の業火である黒炎」
「さらに殲滅相手を逃がさないように囲わないとな・・・」
「攻撃対象の中心点より半径5キロほどの円形の土壁を生成し、
その中を黒炎で満たす」
そこまで考えたときに、目視できる距離に魔物の大群を発見した。
くろむ「実際に目の当たりにすると、この数はさすがにビビるな・・・」
そう言いつつ、くろむは膨大な魔力を練り込み、
そこに先程考えたイメージをより鮮明に込める。
膨れ上がる魔力の塊は・・・
イメージは・・・
くろむが出現させた膨大な魔力の塊は一気に圧縮され、
くろむの発声とともに目の前にその現象を具現化させる。
くろむ「地獄大業火釜」
くろむは目の前に出現した大きな土壁を見た瞬間、
意識が薄らぐのを感じ、そのまま意識を失った・・・




