表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔力ゼロの無敗者  作者: マンタS
第7章 大国会談と四獣
94/298

四獣

 割れた大地から夥しい数の魔獣が這い出て来て、近くの人間達を殺している。老人から子供まで、一民間人からトップクラスの冒険者まで。



 そこに例外は無く、ただ人々が殺されている。人々の阿鼻叫喚は、魔獣達の咆哮で掻き消される。向けた殺意と憎しみは、全て恐怖と絶望となって返ってくる。



 辺りは火に包まれ、瓦礫の山と化した街に、巨大な化け物の足跡が響く。



 正に地獄だ。空中を走りながら地上を見た俺は、そう思った。どれだけ強い人間でも、伝説と呼ばれる魔獣を同時に数十体も相手には出来ない。出来ることは精々、力の無い者達を置いて逃げ出す事ぐらいだ。



 早く手を打たなければ、この世界は崩壊する。それを止めるためには、『大国』が手を組むしか無い。



 まぁ、それでも救えるのは4分の1程だろうが。それでは困る。せめて半分は生きていてもらわなければならない。



『神』が止めていた地震を解放したのは、全ての『大国』に同盟を結ばせ、『神』の危険性を全世界に知らしめる為だ。



 無論、俺がやったと知られればドルス魔国を離れる必要があるだろうが、その心配は無い。それを証明するための証拠は、この世のどこにも存在しない。



 話を戻すが、俺が予定していた死者は、この世界の総人口の半分。『大国』が手を結んだところで、その数を生かす事は絶対に出来ない。



 だから、俺がやるしか無い。



「『破壊の(ディストラクション・)(レイン)』」



魔力(マジック)破壊(ディストラクション)』で、雨程の大きさの球体を無数に創り出す。そして、それをそのまま地上に落とす。人間には当たらないように制御しておく。



 これで、この辺りの大方の魔獣は消せるはずだ。この技は、謂わば鉄の雨。全ての魔力を破壊する、鉄の雨。防御する事も、回避する事も容易では無い。



 だが、俺の『魔力(マジック)破壊(ディストラクション)』の発動可能領域は半径100メートル。当然、それを外れれば、この雨は降り止む。



 それでもし、魔獣が生きていたとしても、その魔獣がその場の人間達を皆殺しにしたとしても、俺には関係のない事だ。あくまで力の無かった、自分の身を守るための力が無かったから、そんな奴らの命を救う義理など、()()俺には無い。



 今こうしているのも、自分の目的のためでしか無い。単純に総人口が半分以下になれば、この世界は復興不可能になる可能性があった。それを回避する為でしか無い。



 そして、目的がもう一つあるとすれば…。



 そう考えていると、コウヤの目の前に()()()()が現れた。それを見たコウヤは、足を止め、空中に静止する。



「…来たか……」



 ――――――――――――――――――――――――



「うっ……」



 まだ痛みの残る後頭部を抑えながら、沙霧はなんとか立ち上がった。()()()()()()()を知る為に、部屋の窓から外を見る。



「っ!これはっ!」



 思わず、声に出てしまった。窓から見えた景色は、この世のものとは思えなかったからだ。と同時に、今起こったのが地震である、と云う事を瞬時に理解できた。



 何故なら沙霧は、日本にいた頃にニュースで見た事があるのだ。今見ている景色に近い光景を。



 割れた地面、壊れた建物、燃え盛る瓦礫の山。ただ一つ違ったのは、割れた地面から魔獣が現れた事だ。



 状況はよく分からないが、分かることもある。地震が起こり、それによる二次災害と、割れた地面から魔獣達が現れた、と云うことだ。そして、自分のやるべき事も分かる。



 それは、国に残っている『四天王』を始めとした兵士達と共に、民間人の避難と現れた魔獣達を退治する事だ。



 そう判断するのに1秒とかからず、判断した瞬間に窓から外へと飛び出していた。



 ――――――――――――――――――――――――



「一先ず、私や護衛達は『勇者』殿を除いて各地へ分散。避難誘導と魔獣討伐を並行して行います」



 同盟を結んだ『大国』は、これからどう動くかを議論していた。



「避難場所はどうする?」



 イリアの提案に、ヘイズが質問する。



「各『大国』の城です。いずれも頑丈に作られていますし、大きいので避難民を匿うには丁度良いかと…」



「そうだな。それでいこう」



「我等騎士団(ナイツ)は分散し、イリア殿の提案と同じ事をするつもりだ。SSS級(トリプルSクラス)の魔獣や、それより強いと云う魔獣達を相手にするには、我々がやるしか無い」



 ヘルトはそう宣言すると、場の人間達に背を向け、走り出そうとする。



「まって!」



 そんなヘルトを呼び止めたのは、シーナだった。



「なんだ?」



 一刻も早く現場に行かなければならない、そう思っていたヘルトと苛立たせてしまうのは、このシーナの言葉では仕方がないだろう。



「私も行く!」



 高らかに宣言した。



「分かりました。共に行きましょう」



 イリアは静かに返事をした。



「なっ!?」



 ヘルトは本当に驚いていた。世界を震撼させていた魔王が、自分も戦うなどと。いくら同盟を結んだからといっても、そこまで魔王が動く理由が有ると思えなかった。



「SSSはともかく、SSSSは本当に強い。私でも勝てるか分からない。人手は多い方がいいでしょ?」



 否定出来なかった。確かに今は1人でも多くの手練れが必要だ。魔王の参戦は願っても無い話だ。断る理由は無かった。



「…」



 何も答えず、走りだした。了承と受け取ってくれると信じたからだ。それにしても、先程の魔王の宣言には驚くべき内容があった。



 私でも勝てるか分からない、だ。この世界で最高峰の力を持つ魔王でさえも、勝てると確信出来ない程の実力とは、一体どんなものか想像が出来ない。



 そして、どれだけの人々が殺されるか分からなかった。だから急いだ。走った。全速力で。



 ――――――――――――――――――――――――



 コウヤの目の前で起こった現象とは、空間に『穴』が開いた事だ。『天使』ソレイが開いたものと同じ『穴』が、目の前に出現した。



 それも、これまで見てきたものとは比較にならない大きさのものが、前方、後方、そして左右に。



「…来たか……」



 そして、出てきた。『穴』の両端を掴み、咆哮と共に這い出てきた。



 出てきたのは、4体の獣。白い虎、赤い鳥、青い龍、黒い亀。いづれも似ていた。地球にいくつも存在する伝説の存在と。



 四獣。四神とも呼ばれ、天の四方の方角をつかさどる霊獣とされている。東の青龍、南の朱雀、西の白虎、北の玄武。



 現れた獣達は、彼等と余りにも容姿が似ていた。獣達がオリジナルなのか、彼等がオリジナルなのかは分からないが、少なくとも『神』が俺に刺客を送り込んできた事は確かのようだ。



「行くぞ…『神』のペット共」



 その宣言と共に、俺は『白虎』に向かう。鞘から出した『魔滅』に『魔力(マジック)破壊(ディストラクション)』を纏わせ、斬りかかった。



 それに反応した『白虎』はその強靭な爪で、同じく俺に斬りかかった。



 奴の爪と俺の『魔滅』がぶつかり合い、辺りに尋常ではない衝撃が走った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろう 勝手にランキング
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ