白の領地
7章スタートです
『大国会談』
それは、4つの大国で行われる会談である。かねてよりこの会談は、幾度と無く戦争を回避させ、また、幾度と無く戦争を起こしてきた。
世界のこれからを決める、と言っても過言では無い。『黒炎の魔人』もこの会談で各大国に宣戦布告をし、『人魔大戦』が勃発した。
以来数十年間、『大国会談』は3つの大国でのみ行われてきた。だが、今回開催される『大国会談』は、再び4つの大国で開催される事になった。
今回は、恐らく『魔人族』について集点が当てられるだろう。
「…さて、どうなる…?」
――――――――――――――――――――――――
「準備は出来たか?」
俺の背後から歩み寄ってくる魔王に聞いた。
白銀に彩られた魔王城の前には、『大国会談』に向けての資材が集められている。そして、シーナや『四天王』の護衛のための部隊も集まりつつある。
既に『大国会談』開催まで、あと2日を切っている。今からなら十分間に合うが、何かトラブルがあるかもしれない。少し早く出発しておくべきだ。
「うん。もうちょっと…」
俺の横まで来ると、シーナは俺と同じ方向を見ながら答えた。その服は、いつも着ている身に着けやすい様なものでもなく、戦闘服でもなかった。
一国の主人に相応しい豪華な服装だった。と言っても派手派手しくはなく、会談に相応しい服装と言えた。
まぁ、所詮ガキの七五三程度にしか見えないが。
「いよいよ…だね…」
その声は小さかったが、しっかりと芯のある、力強い声だった。これだけで、『大国会談』に向けてどの程度の覚悟かが分かる。
「ああ…」
そして、これは思い描いていた状況だ。
『大国会談』は、世界のこれからを決めると言っても過言では無い。そして、これを利用しない手はない。
そう思ってずっとやって来た。全てはこれから始まる。全てを始めるために、この計画は失敗出来ない。
と言っても今の状況では、計画の失敗はあり得ない。失敗の可能性があるとすれば、『神』の干渉。
そろそろ動いて来てもおかしくない。それが狙いだったのだから、願ってもない話だ。
ここで『神』が何らかの形で接触してくれば、それが打倒『神』への最初の一歩になる。
そう考えていると、また背後から誰かが来た。今度は走って。
「シーナ様!全部隊の準備、完了しました!」
そう言ったのは、『黒氷の魔人』イリアだった。こちらは防寒対策の為に、厚着をしている。イリアに限らず、俺や他の奴らも同じだ。違うのはシーナだけだ。
「分かった!…なら、行こう!」
――――――――――――――――――――――――
「…ここが、白の領地」
世界の中心地にあり、騎士団の本部が存在している。この敷地内に入る為には、人間ランクが白である必要がある。
『大国会談』は、騎士団警護の下、この白の領地で行われる。
世界で最も安全な場所であり、世界で最も侵入が困難な場所である白の領地で行われるのは当然と言える。
シーナは、この場所を名前通りの場所だと感じた。なぜなら、本当に白かったから。道も、建物も、その全てが白かったのだ。
そこに居る人間も、白い鎧を身につけているので、本当に真っ白なのである。
その光景に、シーナは呆気に取られた。と同時にテンションが上がった。
「イーちゃん!見てみて!真っ白だよ真っ白!」
あまりにも無邪気な笑顔を向けてくるので、イリアも少し対応に困った。
「そ、そうですね…確かに…白い…です……」
そんなイリアの事を、シーナは知る由も無かった。そして、辺りを見回してから、不思議そうに首を傾げて質問する。
「ねぇイーちゃん。コウヤ君は何処?見当たらないんだけど…」
「えっ?シ、シーナ様、聞いておられなかったのですか?」
「うん。なんか眠くてさ…ずっと寝てて…」
シーナは、少し困惑した。何故イリアがこんなにも取り乱しているのかが、分からなかったからだ。
因みに、シーナはずっと小屋の様な形をしている、馬車の荷台の中で寝ていた。この馬車の馬は、しっかりと防寒グッズを付けている。
「…いません」
「え?なんて言ったの?」
か細い声だったので、聞き取れなかったシーナは、もう一度言うように言った。
「俺には他にやるべき事がある、と仰って、我々が国を出発する前に何処かに行ってしまいました…」
「……」
それを聞いて、一瞬、シーナは硬直した。だが、一瞬後に、
「ええええええええ!!!???」
叫んだ。
――――――――――――――――――――――――
「…やっと、戻って来たぞ」
コウヤは、そう呟いた。
面白い!また読みたい!と感じられましたら、下のポイント評価、よろしくお願いします!
よろしくお願いします!




