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魔力ゼロの無敗者  作者: マンタS
第6章 奴隷落ちとクーデター
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ブライト・アルナラ

今回、コウヤ達は出てきません

バカイザーのお話です

(何故、こんな事になった…)



 彼は、つい先程まで楽しんでいた。奴隷達に囲まれ、その全てを屈服させた。唯一まだなのは、今回のメインディッシュだ。



 あそこまで自分の願った存在は居ない。そう言えるほどに気に入った存在だった。



 あの全てを支配し、屈服させる様な鋭い眼光。誰もを魅了する美しい姿。まるで世界の全てを支配下に置いている様な、あの存在感。



 恐らく、誰よりも上にいたのだろう。恐らく、誰よりも下にいる事を嫌ったのだろう。



 誰よりも高みにおり、そして誰よりも全てを見下した存在。



 今、そんな存在を奴隷として手中に収めている。



 これほどに、心踊る事があるだろうか。



 断言する、無いと。



 だが、それが浅はかだったのかもしれない。考えれば簡単な事だった。



 何故、全てを支配している様な存在が奴隷だったのか。何故そんな存在が奴隷だったのか。



 それを考えなかったから。いや、今まで奴隷を使い過ぎてしまったからだろう。




 その報いなのかもしれない。いや、そうなのだろう。




(俺は、一体何処で…間違えたんだ…)


 ――――――――――――――――――――



「クソッ!何処にもいやがらねぇ!」



 そう怒鳴ったのはスレイル帝国皇子、ブライト・アルナラだ。仰々しい格好で、多くの家来を連れ歩いている。



 此処は奴隷市場。居るのは国々の王族や貴族階級の者達が殆どだ。全ての奴隷は廊下両脇にある檻に入れられている。



 大概の客は檻の中に居る者達から適当な者を選び、購入する。だから狙った奴隷を買う事は基本的に不可能であり、既に居る奴隷の中から選ぶしかない。



「仕方ねぇ。適当なのを2、3体買って帰るか…」



 彼の様に、自分の好みの奴隷が居るとは限らず、悔しい思いをする者も少なくない。殆どのものはここで帰るのだが、本当に金を持つものはそこまで欲しくない者達を複数買っていく。



 だが、彼は運が良かった。



「ん?……あれは…!」



 居たのだ。彼の求める存在が。



 檻の奥で、両腕を鎖に繋がれた『奴隷』だ。当然女で、黒いロングヘアーでクールな顔立ちだ。スタイルが良いが、身体中に傷が付いている。その鋭い眼光からその性格が分かる。それほどまでに、その眼光は鋭かった。



「居た……」



 その存在を目にしたブライトは、言うなればかなり気持ち悪い笑みを浮かべていた。彼はそう思っていないだろうが、かなり気持ち悪い。



「おい!」



「はい。何でしょうか?」



 すると、ブライトは直ぐに近くの係員に声をかけた。かなり荒々しく声を出しているので、周りの人間からすればかなり迷惑なのだが、ここにいる人間はそう云う人間しかいないので、誰も気にしていない。



「あの奥にいる黒い髪のやつを連れて来い!」



「はい。承知しました」



 だから、ここに居る係員も慣れている。眉ひとつ動かさず、クールに対応した。



 そして数分後、先程の係員がブライトの前に来た。ブライトが指名した『奴隷』と共に。



 『奴隷』は先程とは違い、『奴隷の首輪』と『魔封じの腕輪』を付けている。『奴隷の首輪』に付いている鎖に引かれながら、『奴隷』は近づいてくる。



 だが、そのキツイ表情と鋭い眼光は変わらない。



「お待たせしました。NO.4205です」



「ああ。ご苦労」



 本来なら、ブライトはここで係員に労いの言葉などはかけないのだが、いつになく上機嫌なので特別に、と云う事なのだ。



 ここまでブライトが上機嫌なのは、無論『奴隷』の事だ。ブライトは黒髪のロングヘアーが好みで、特にSっぽい女が好きなのだ。これは、彼がそれ自体を好いているのではなく、そう云う性格の女を屈服させる事を好いているのだ。



 事実彼はそう云う存在しか購入せず、そうして購入した存在は全て…。



 奴隷の謁見や購入手続きは本来個室にて行うのだが、ブライトは何時もその場で行う。何度もこう云う事をしているので、係員にも覚えられている。



 当然、購入手続きは全て家来に押し付けている。その間に、『奴隷の首輪』に魔力を流している。自分の奴隷にする為だ。



『奴隷』を自らの奴隷としたブライトは、更にこう声を上げる。



「おい!あと10人適当に連れて来い!」



 これもいつも通りの事だ。ブライトは気に入った奴隷を1人購入すると、更に適当に10人程購入する。



 理由は、多い方が楽しめるからと云う事らしい。



「来い!」



 そう言って、ブライトは『奴隷』の鎖を引っ張って出口へと歩いて行く。その間も、『奴隷』はその眼光をブライトに向け続けている。



 その視線を受けるブライトは、ずっと笑っている。その視線が心地いいのだ。そして、楽しみだからだ。



(この女がこのキツイ表情を止め、俺に()()()屈服する様を見るのが楽しみだ…)



 だが、彼の願いが叶う事は無い。何故ならこの『奴隷』は、奴隷であって奴隷でない存在だからだ。

これが暫く続きます

…………………………………………ハァ

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