計画
いきなりですが、5章最終回です。
「良し!なら早速国へ戻ろう!」
さっきまでの泣き顔が嘘の様な笑顔を見せて意気込んでいるソフィア。だが、
「バカかお前?」
そうとしか思えなかった。
「な、何で!一刻も早く国に戻って皆んなを助けないと…!」
「バカか?無計画にそんな事できるわけないだろ?」
この言葉でやっと気づいた様で、ハッとしている。流石に溜息が出る。ここまでとは。これからが思いやられそうだ。
「なら!早く計画を立てないと!」
かなり焦っている様だ。何をそんなに焦っているのか。いや、それをする意味は分かるが。
「安心しろ。もう立ててる」
「そうなんですか!?早く言ってください!」
少し怒った様に言ってきた。全く、たいへんだな。
「…それより個人的に気になったんだが、お前と沙霧は何でそんなに仲が良かったんだ?帝国に良いイメージはもったいないと思ったんだが。皇女なんて特に…」
確認しておきたかった事を聞いてみた。
「それはだな、私が誤解していたからなんだ」
「…誤解?」
暗い声色で聞いた。別に怒ってはいないが、本当の事を喋らせるために態と怒っている風に見せた。
「…ああ。私は、最初はスレイル帝国に騙されたと思っていたが、違ったのだ」
「違った?」
「私を騙したのは帝国の皇子、ブライト・アルナラ個人と、かつての仲間達だけだったという訳だ。それをソフィアから聞かされてな。今はもう、帝国は恨んではいないさ」
「…そうか」
やはり、こいつはこういう事はぬけている。人を疑う前にまず信じる。その心意気は多くの人間を惹きつけるが、それと同じくらい人間に騙されやすい。
だから、あの変態にあんな事をされるんだ。あれで少しは懲りたと思ったが、今度は帝国に騙されてるし、少し直す必要がある。
「分かった。そういう事なら良い。理解した」
(ソフィアのやり方はな…)
「なぁ、私も聞きたいことがあるんだが…良いか?」
神妙な表情で聞いてきた。沙霧にしては、声が少し小さい。
「ソフィアはさっき、コウヤを捜す名目で国を出たと言っていただろ?何でなんだ?」
(そういえば、おれが勝手に理解していたせいで沙霧に説明するの忘れてたな…)
「レースティリ王国は『大国会談』の開催を他の大国に知らせると共に、俺の情報も渡していたんだ。だから、それを調べようとしたんだろう」
「何でコウヤの情報を?」
「色々と理由があってな。俺が頼んだ」
この理由を、此処で言うわけにはいかない。特に、帝国の皇女がいる前では。
「…まぁ、良い。で、これからどうするんだ?計画はもう立てているんだろ?」
渋々だが、納得した様だ。まぁ、納得しようがしまいがどうでも良いが。
「ああ。とりあえず当初の目的通り、国に一度戻る。と言うか、戻らざるを得ない」
「そうか…まぁ、最初からそう云う予定だったしな」
沙霧は納得した様だ。だが、ソフィアは訳が分からない様で首を傾げている。
「あの、国に一度戻るって、一体どの国ですか?」
「…最近復活し、今世界を一番騒がせている国だ」
「そ、それって…まさか…!」
「ドルス魔国だ」
数秒、表情を固めるソフィア。そして数秒後、
「ええーー!!??」
あり得ない程の大声を出した。俺は大丈夫だったが、沙霧はヤバかったらしく、耳を抑えても煩いようだ。
「ほ、本当なんですか!?ドルス魔国って、あの!?」
「ああ。俺の計画を達成する為には、ドルス魔国に行く必要がある」
「大丈夫だ!コウヤは信用出来るし、私も行った経験が無い!」
まぁ、これが普通の反応だよな。だが、従ってもらう他無い。
納得させるには、ちゃんと話さなければならない。俺とドルス魔国との関係を。そして、ドルス魔国の真実と、『神のゲーム』の情報を除いた俺達の事も。
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「成る程…そう云う事だったのですね」
「納得したか?」
全てを話したが、きちんと信じて貰えた様だ。正直、これを信じて貰えなかったとしたらヤバかった。俺の計画に狂いが生じる。
「はい。まぁ、辻褄が全て合うので、信じざるを得ないって感じですけど…」
「まぁ、そうだろうな。お前もバカじゃないんだから」
「…?」
これで、おれの計画は完成した。そして、失敗する事は無くなった。
「これから向かうが、着いたらちゃんと納得すると思うぞ。バカばっかだし」
「…へ、へぇ」
少し顔が引きつっている。動揺を隠せない様だ。
「良し、行くぞ」
「「え?」」
2人の声が合った。やはり、仲が良い様だ。
俺は、魔力破壊で大きな手を2つ作り出し、2人を掴んだ。
「「えぇ!?」」
そのまま、2人を掴んでいる魔力破壊と一緒に、俺は全力でドルス魔国を目指して走り始めた。




