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魔力ゼロの無敗者  作者: マンタS
第5章 2つの大国と反逆者
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聖女の目的

 この国に入った時、いや、この国に入る前から予想はしていた。門番達、国民達、その全ての人間達の表情が無かった。



 ()()()()()()()()()()()()()。直感的にそう感じた俺は、この瞬間にある事を思い出した。



 それはレースティリ王国の王城での事だ。なんでも、『勇者×剣術祭』の優勝者として大国の各トップ達に俺の事を知っていて欲しいから俺の絵を描かせてくれ、と云う事だった。



 俺の顔を無闇に明かすことは、今までは出来なかった。だが、もう今はこの前とは状況が色々変わっている。いや、変えたと言うべきか。そこで、俺はあえて自分の顔を公開することにした。コウヤ・ハラグチと云う名で。



 そして、『勇者×剣術祭』終了から既に1日以上経っている事から、既に俺の顔は絵を通して各大国のトップ達の頭に入っているはずだ。つまり、このクレイム法国の『聖女』も俺の顔を知っていると云うことだ。



 そして、俺がとっさに操られているとまで考えた国民達の表情。『神』を信仰する国民達を従える、『神』の声を聞く『聖女』。この情報があれば、ある程度の予想を立てることは出来る。



『聖女』が全ての国民達を()()()()()。そうでなくとも、一定の感情をコントロールしているのは確実だ。その証拠に、入国時に触れた魔力道具(マジックアイテム)、灰色の板の情報が、大国であるレースティリ王国に伝わっていない。



 入国時にする事が大国であるレースティリ王国に伝わっていないと云うことは、本来ではあり得ない。



 だが、全ての入国者が『聖女』の制御下にあるならば、その情報を喋らせない、またはその記憶だけを消す、なんて事も出来るかもしれない。だが、俺は別の可能性が高いと考えている。



 それは、()()()()()1()()()()()()()()()()()()、と云う可能性だ。これならば、国の人口を保つ事も出来るし、情報が外に漏れる事も無い。



 だが、これを長く続けていれば、いずれ世界各地で行方不明者が出てきてしまう。だからそうなっていないと云うことは、恐らく最近『聖女』が交代し、この様な政策をする様になったのだろう。



 そして、入国時に触らされたあの灰色の板の様な魔力道具(マジックアイテム)。あの魔力道具(マジックアイテム)の事は知っている。かなり古い文献にしか載っていないので、知っている人間は少ないだろう。



 あの灰色の板は、触れた人間が他の人間に触られると、自らの意思が無くなり、触らされた人間の言うことだけを聞く人形に成り果てる。『意思強奪』と云う魔力道具(マジックアイテム)だ。



『聖女』はまず、『神』のお告げとでも言って国民全員に『意思強奪』を触らせた後に、自分が彼ら全員を触った。握手でもしたのだろう。そうして全国民を『人形』に変えた後、入国審査を、素顔を見せて『意思強奪』を触らせるだけにした。



 触らせた後に門番達に入国者達を触らせる命令をしておけば、入国者を増やしつつ、入国者全員を『人形』にする事が出来る。



 こうしてこのクレイム法国の国民全員を『人形』にして支配を完璧にし、国に入ってくる人間達も全員『人形』にする事で、人口を上げる。人口を上げていけば、あらゆる点で他の大国を上回る事が出来る。そして、恐らく『聖女』は、他の大国を自らの支配下にしたいと考えているのだろう。



 なら、何故俺達を『人形』にしなかったのか?恐らく、俺の事を『聖女』が知っていたからだろう。ヘイズ国王からの情報で、『聖女』は俺の顔を知っている。そして、『勇者×剣術祭』の優勝者である事も。



 なら、それを知っている『聖女』が俺をただの『人形』にするだろうか?しないだろう。『人形』にはするかもしれないが、少なくとも、他の入国者達と同じ『人形』にはしない。『聖女』が他の大国を支配下にしたいのであれば、俺と云う高い戦闘能力を持つ者を放ってはおかないだろう。



 俺がこの国に現れた時点で、『聖女』は俺の狙いが()()()魔力道具(マジックアイテム)である事が分かっていた。そしてそれは国の中心、『聖女』のいる『神の城』にしか無い。つまり、奴は俺が『神の城』に来ることが分かっていたのだ。だから、俺が『聖女』の前に現れた時に『人形』にしようとしていたのだろう。



 俺達が、この国に来たのを『聖女』が知ったのは、『聖女』の持つ魔力道具(マジックアイテム)か、『聖女』の固有魔法以外にあり得ない。恐らく、『人形』にした者達の視覚を覗く様なものだ。そして、『意思強奪』で『人形』にした人間は、『人形』がどんな所に居ても、どれだけ離れていても、心で念じるだけで命令を下す事が出来る。



 だから、俺と沙霧が二手に分かれた事も知っていた。俺を()()()『人形』にしようとしている『聖女』だ。真っ直ぐ『神の城』に来ない時点で、ただの『人形』にする事を決めたのだろう。余計な事を知られてこの国から脱出され、この国の情報を拡散される事を恐れたのだ。



 だから飲み屋のマスターは、俺の顔を確認するなり、いきなり殴りかかって来たのだ。俺を『人形』にしようとする『聖女』の命令の下に。



 まぁ、沙霧は俺の様に特別扱いされていた訳ではなかったし、あいつ自身何の警戒もしていなかったので、操られて(こうなって)しまったのは仕方がないだろう。



 こうなっては、やるべき事を1つ増やさなければならない。魔力道具(マジックアイテム)『意思強奪』の効果は、使用者の心が誰かに屈服させられることによって、全て解除される。沙霧が『人形』にされている以上、魔人族の情報を奪われる可能性がある。



「…やるしか無いか…」



 こうして、俺は沙霧を含めた『人形』達と、『聖女』主催のデスゲームに参加する羽目になった。

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