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魔力ゼロの無敗者  作者: マンタS
第5章 2つの大国と反逆者
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2つの国の2人の王

5章スタートです

 国。それは、各部族同士が協力し合って作り上げたものである。沢山の人々が住み、協力し合いながら生きている。



 だが、豊かな国、貧しい国。双方が存在してしまうのは、仕方がないことである。



 更に、国内でもその差は生まれる。低い者の例としては、犯罪者の子、妾の子。高い者の例としては、貴族の長子、王の長子。



 これらの人間達は、生まれた時から『普通』の人生を送る事が出来ないと決まっている。それが、良い意味でも、悪い意味でも、『普通』でいられないことには変わりがない。



 例え『普通』を願ったとしても。



 ――――――――――――――――――――



『勇者×剣術祭』終了から1日。昨日王都を出た俺は、沙霧と合流してからレースティリ王国を出た。勿論、食糧などの旅に必要な物を買った上で、だ。



 で、今はだだっ広い平野を歩いている。次なる目的地に行く為だ。到着にはあと数日かかるだろう。まぁ、最高スピードで移動すれば今日中には着くだろうが、沙霧に合わせると3日はかかると思ったので、それなら歩いた方がいいな、と思ったので、普通に歩いている。



「で、なんで()()()に行くんだ?」



「…俺の目的は神を引き摺り下ろすこと。その目的を達する為の1番の近道は、世界平和だ。そのきっかけを作る為に()()()()()()は全部で4つ。内2つは既に手に入れた」



「つまり、そのピースの1つがあそこにあるということか?」



「ああ。それともう1つ、ピースではないが、手に入れたい物がある。それも、あそこにしか無い」



「あそこに行く目的は分かった。到着にはまであとどれくらい掛かるんだ?」



「3日ぐらいだな」



「結構近いんだな。()()()()()()って」



「…ああ…。…あ」



「どうしたんだ?」



 何か思いつめた表情を見せたコウヤを心配する沙霧。数秒たってから、コウヤは口を開いた。



「悪い。ちょっと、急ぐ」



「?どういう…」



 首を傾け、疑問の表情を浮かべた沙霧の体ををいきなりお姫様抱っこをして持ち上げるコウヤ。みるみる内に沙霧の顔が赤くなっていく。



「えぇ!ちょっ、何ぃ!?」



 沙霧の声に耳を傾けることも無く、コウヤは全速力で走り始める。このスピードであれば、数時間でクレイム法国に到着するだろう。



 何故コウヤが急に急ぎ始めたのか?それは、約束を守る為だ。



 ――――――――――――――――――――



 ドルス魔国、王宮。かつて『人間最強』と呼ばれた魔王デスト・ロードが住み、国民からは羨望の眼差しで見られた場所だ。



 その王宮にいる魔王デスト・ロードの娘、シーナ・ロードは自室で泣いている。年甲斐も無く大声で泣き叫んでいる。



 彼女をそうさせているのは、全てコウヤの責任だ。コウヤはドルス魔国を出る時に、1週間後には戻る、と言った。だが、コウヤが国を出て行ってから既に6日。コウヤが戻っていていないのは当然なのだが、コウヤに会いたい!と泣きじゃくっているのだ。



 この時、コウヤはレースティリ王国を出ており、シーナとの約束の為に全速力でクレイム法国に向かい始めていた。



 当然、シーナをこのまま泣かせ続ける訳にはいかないので、病み上がりのリュークや、内心かなり寂しがっているもそれを表情に一切出さないイリアなどが、なだめたりしたのだが、その涙が途切れる事は無かった。



 リュークは、あんな奴などいなくとも、などというなだめ方をしてしまったので、顔を引っ叩かれた上に、大っ嫌い!、と言われて、自室に引きこもっている。



 イリアはそんな言い方はせず、もう直ぐ帰ってきます、と云うなだめ方をしたのだが、更に泣き声が大きくなり、帰ってこないかもしれないじゃないっ!、と言われて、一緒に泣き始めた。10分ぐらいで泣き止んだが。



『四天王』達は、シーナを泣き止ませる事は無理だと判断した。早くコウヤが帰ってくるのを祈る事しか出来なかった。



 だが今この国は、()()()()と言っても良い程の事が起きていた。本来ならば、新たな魔王となるシーナが対応するべき事案なのだが、泣き止ませる事が出来ず、リュークは自室に引きこもり、イリアはいつ泣くか分からない状態なので、『四天王』のライアやルドーなどが対応している。



「それにしても、この状況で()()()()を送ってくるとは…」



 1つの手紙を見ながらそう呟いたのは、『四天王』の1人、『黒風の魔人』ライア・クローラーだ。朝比奈裕翔に魔力を封印されたが、今は国の事務を担当している。



「あの王国とは思えないな」



 そう言ったのは、同じく『四天王』の1人、『黒土の魔人』ルドー・トーラーだ。その大きな体からは想像できない程に器用な彼も、現在国の事務を行なっている。



 『幻影』などの実力者達も事務をしており、正直早くリュークやイリアに仕事をして欲しいのだ。それ程に今は忙しい。



 そしてこの手紙が来たことにより、更に忙しくなっているのだ。



「…ええ。まさか、この国を『大国会談』に参加させようとするとは…」



 ――――――――――――――――――――



 同じ時刻、王の玉座にくつろぎながら座る男が居た。



「『大国会談』、もうそんな時期か。にしても、あの魔人共も参加させるとは…流石に驚いたな」



 その時、部屋の扉が開き、1人の少女が入って来た。



「…お呼びでしょうか?()()()



「ああ。少し頼みがあってな」



「…頼み、とは?」



「ある男を探れ。そいつの名は…



 ――――――――――――――――――――



 同じ時刻、王の玉座に座る1人の女が居た。



「『大国会談』に魔人も参加、ですか…レースティリの王は一体何の意図を持って…」



 少し顔を曇らせる。そして、こう呟いた。



「少し、探る必要があるようですね。この男…



 ――――――――――――――――――――


 …コウヤ・ハラグチ」」



 同じ時刻、2人の王は同じ絵を見ながら、その絵に描かれている男の名を、同じ時刻に発した。

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