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魔力ゼロの無敗者  作者: マンタS
第4章 クラスメイトとレースティリ王国
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斎藤 康太

 斎藤康太。こいつは雨露沙霧と同様に、俺の同級生だった男だ。勉強は中の下ぐらいだったが、運動能力が高く、体育の成績は俺に次いで2位だった。顔は悪くなく、運動が出来たので、それなりに女子にモテていた。



 だが、そんな事は比べ物にもならない程の特徴がある。それは、彼の恋心の部分だ。彼は沙霧に好意を抱いていた。沙霧自身は気づていなかったが、多くの人は気づいていた。美男美女カップル誕生か?などと云う噂が立つ程だった。



 だが皆は気づいていないなかったが、彼の恋心によって突き動かされる行動はおかしかった。沙霧の制服に盗聴器を仕込んだり、彼女のゴミを漁って拾ったり、彼女の机に落ちていた髪の毛をコレクションしていた。彼にとってストーキングなどは日々の日課となっており、正直手に負えないどころかの話じゃない。立派な犯罪行為だ。沙霧が気づくのは、彼がストーキングをし始めてからかなり経ってからだった。



 そして、そんな犯罪者が今、俺の前に居るのだ。俺は迷いなく奴をぶん殴った。前に一回やった事はあるのだが、こいつの罪はそれで許されるものではないので、罪悪感は一切無い。



 更に、俺は少しキレてる。様々な危険を冒してまで、『勇者』の正体を調べにきたのに、その勇者の正体がこんな犯罪者だとは。殺意が湧くほどじゃないが、少なくとも、イラっとした。



 まぁ、情報を得る事は出来た。『勇者』が日本出身であると云う事だ。これだけで、俺に()()()()()が生まれた。その点では得にはなったが、まだまだ分からない事が多い。もっと、情報を集める必要がある。



「て、てんめェ、いきなり何しやがる!」



 ちょっと驚いた。全力とは程遠い威力とはいえ、俺のパンチを喰らってこれだけ話せるんだから、少しは強くなっている様だ。



「いや、お前みたいな犯罪者が『勇者』扱いされてる事に少しイラっとしただけだ」



「はぁ?『勇者』相手にこんな事が許されると思ってんのか!?大体俺の事を知ってる風だが、俺はお前の事を一切知らないぞ!」



「証拠はここにある」



 そう言って、俺は懐からスマホを取り出し、奴の犯罪の証拠でもある画像を表示した。これまで殆ど電源を切っていたので、充電は辛うじて残っている。



「なっ!そ、それは…お、俺と似てる奴がいたもんだな」



 余裕ぶっているが、汗がダダ漏れだ。



「いや、確実にお前だ」



「はぁ?お前の目は節穴か?髪の色も、目の色も違うだろうが!」



 確かに、俺が知る斎藤康太は黒髪で黒目だ。だが、



「…髪は染めただけ。目もカラコンを入れただけだろ?」



 大方、この次元に来る直前に髪を染めてカラコンを入れたんだろう。



「ぐっ!だ、大体何殴ってくれたんだ!このモテ男の顔が崩れちまうだろうが!」



「ほぅ?『勇者』なら、女をストーキングしても、他の女から憧れの目で見られるのか?」



「そ、そうだ!な、なんたって、お、俺はゆ、『勇者』だからな!」



「ほぅ?『勇者』なら女の私物漁っても、髪の毛拾い集めても机とか椅子とか舐めても憧れの目で見られるのか」



「な!お前、何故そこまで知って!……あ」



 やっと気づいた様だ。既に国王も『栄光』も、『勇者』が殴られた事よりも、『勇者』のしてきた所業を知り、それを『勇者』自身が認めたと云う事実にちょっと、いや、かなり引いていた。



「コウヤ・ハラグチ。貴方のやった事には目を瞑ります。代わりに、奴がやってきた事をもっと詳しく、詳しく教えて下さい」



 女性である『栄光』はかなり引いている様で、『勇者』自身が近くにいるにも関わらず、『奴』呼ばわりだ。まぁ、彼女が飛びついてくる事が分かっていたからこそ、奴に話しかけたのだが。



「良いですよ。けど、少し彼と話しても?」



「はい、そのくらいなら」



 うん。許してくれた様だ。許しを貰えたので、俺は勇者、斎藤康太に向かって歩いていく。そして、斎藤の目の前まで来て、耳元でこう呟く。



「余計な事言ったら、殺す」



「お、おおお前に俺を殺せるのか?」



(ビビりすぎだろ…)



「安心しろ。お前の噂をこの写真付きでばら撒く。社会的に殺してやるって言ってんだよ」



「…」



 斎藤の顔が青から白に変わった。



 ――――――――――――――――――――



「で、あのゴミは他にどの様な事を?」



「はい。好きな女性のゴミを漁るのは日常茶飯事。休日はその女性を一日中見続けています。そして、それを趣味としています」



「成る程…」



 俺は今、斎藤の事を話すために応接室に呼ばれている。今は、『栄光』と向かい合って座っている状況だ。



 最早、奴からゴミにランクダウンしている斎藤の呼び名だが、回復の兆しは無さそうだ。



「一つ疑問なのですが、どうして貴方はそこまであのカスの事を知っているんですか?」



 遂にカスにまで降格した斎藤の呼び名。哀れだ。



「実は、彼と私は同郷でして、俺がここに居るのも、彼を探すためだったのですよ」



 既に勇者召喚にまつわる事の情報を根こそぎ奪っている。当然、勇者召喚が何故成功したかも分からない事を知っている。であれば、異世界からの『召喚』では無く、ただ少し離れた場所に居た人間を呼び寄せただけに過ぎない、と思わせるのが、この発言をした理由である。



「成る程。つまり、異界からの召喚は失敗してしまった、と云う事ですか…あ!あと、聞いておきたい事が」



「何でしょう?」



「貴方が使っていたあの道具。あれは何ですか?」



 まあ、来るだろうとは思っていた。



「実は、あれは俺の魔力道具(マジックアイテム)です。原理は良く分からないのですが、風景を保存することの出来る物の様です」



「成る程、興味深い…」



 当然原理は分かるのだが、下手に詳しく説明するより、自分も分からない、と云うスタンスでいった方が都合が良いと判断した。

次で終われば良いな、と思っています。第4章。

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