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魔力ゼロの無敗者  作者: マンタS
第4章 クラスメイトとレースティリ王国
52/298

優勝者

(何だと!?)



 ()()()()を見たヘイズは、今までに感じた事が無い程の衝撃に襲われていた。



 その場で立ち上がり、目を見開き、その光景を見続けた。そして、それはヘイズだけではない。他の観戦者達も、驚嘆の表情を浮かべていた。



「王、これはっ!」



 ヘイズに話しかけたのは『栄光』オリビアだ。彼女もまた、他の者達と同じ表情を浮かべている。



 彼女達が見た光景、それは、『勇者×剣術祭』の第3試合の光景だ。レフェリーが試合開始の合図を出したのにも関わらず、両者は動こうとはしなかった。ただ、両者が動かなかったのは、1秒にも満たない。だが、これは()()()()であり、両者とも相手が実力者である事は十分理解している。本来であれば、試合が始まった瞬間にも動かなければならなかった。だが、両者ともそうしなかった。



 その時点で、オリビアは疑念を持っていた。だが、更に不可解だったのは、コウヤ・ハラグチが『豪腕』に背を向け、出口へと歩いて行った時だ。最初は何をしているのか分からなかった。だが、直ぐに理解し、声をかけようとしたが、先にレフェリーが声をかけた。その時点で声をかけるのは止めたが、ふと『豪腕』の方を見ると、全く微動だにしていなかった。少し不審に思い、今度はそちらに声をかけようとした時、



「いや、もう試合は終わっている」



 コウヤのその発言の瞬間、『豪腕』の体がぐらりと崩れ、倒れた。それと同時に首から上だけが胴体から離れ、コロコロと転がった。この瞬間、オリビアはこの事以外の事を考える事が出来なかった。様々な思考を巡らしていた。



「見れば分かるだろ」



 その言葉で意識が引き戻され、次の瞬間には、



「王、これはっ!」



 そう発言した。これには理由がある。レースティリ王国国王、ヘイズ・レイリには固有魔法『超視覚』があるからだ。



 固有魔法『超視覚』は、ある一定時間においてその視覚を強化すると云う固有魔法だ。この固有魔法は視力を高める事も出来るが、今必要なのは、物事を()()()()()()()()()()()()、と云う能力だ。この能力であれば、今の不可解な現象を理解しているかもしれない。そう思って、ヘイズに声をかけた。



「…分からぬ」



「っ!…何か、見えましたか?」



 ヘイズは顔を曇られながら、こう言った。



「正直、彼が何かしたとは思えない。だが、彼が剣を少し()()()()()のが見えた」



「…それは、彼が『豪腕』の首を切った、と云う事ですか?」



「いや、剣を抜いたと言っても、ほんの数ミリの話だ。事実、刀身部分は見えていない」



「…」



 そうして話している間に、コウヤ・ハラグチは既に控え室に戻っており、『豪腕』の遺体を係員達が調べている。本当にコウヤが殺したかを調べているのだ。



「…私はこう考える」



 口を開いたのは、ヘイズだ。強張った表情で、自らの考えを話し始める。



「コウヤ・ハラグチが『豪腕』の首を切ったのだとしたら、それは単純に()()()()、と云う事だと思う。ただ誰にも見えない程速く剣を抜き、ただ速く移動し、ただ速く斬った。そう云う事なのだと、私は考える」



「…ですが、王の『超視覚』ですら見えなかったのでしょう?王の『超視覚』は、人間ランク金の剣を見切ったと聞いています。その者も、普通の人間には見えなかったとも聞いています。それを踏まえると…」



「…私が見える剣には上限がある。それはつまり、私の見えない剣にも速さの序列があり、そこには差も生まれるという事だ。つまり私が言いたいのは、彼の剣のスピードは、この世界でもトップクラスのものだと云う事だ。私の目でも見えない程にな」



「しかし、そうなると『魔力状態(マジックモード)』を使用している可能性が出てきますね…」



「もし『魔力状態(マジックモード)』を使用していたとしても、彼の剣は最速だ。それに、恐らく使用していない」



「それは、何故?」



「…勘だ」



 ――――――――――――――――――――



 此処は、王の間。ヘイズ国王が奥の大きな椅子に腰掛け、扉の前に『栄光』と呼ばれるオリビアが立っている。



「…どう思う?」



「…強いです。少なくとも、騎士団(ナイツ)団長と肩を並べる程かと」



「何故、そう思う?」



「簡単です。人間ランク金の者達、その全てを、一切行動させる事なく首を刈り取っています。例え彼が『魔力状態(マジックモード)』を使っていようがいまいが、ルールで魔法の使用が認められていようが、この結果は変わらなかったと考えられます」



 そう、既に『勇者×剣術祭』はコウヤ・ハラグチの優勝で終了している。更に、コウヤは1度も攻撃を喰らわないどころか、相手が体を動かす事なく、首を切っている。敗者達の遺体から、首は剣によって斬られたと認められたので、コウヤの優勝が決定している。



「それともう一つ」



「…何だ?」



「コウヤ・ハラグチの剣を調べたところ、驚くべき事が分かりました」



「驚くべき事?」



「はい。剣そのものもかなりの物ではあるのですが、重要なのはそこではなく、一切血液が()()()()()()()()()、と云う事です」



「血液が?」



「はい。本来、人の首を剣で斬ると、その剣には必ず血液が付着します。ですが、彼の剣には血液が付着していませんでした。これは、彼の斬撃スピードが速すぎるのが原因だと考えられます。斬撃スピードが速すぎると、例え首を斬ったとしても、剣に血液が付着する前に首が全て刈り取られてしまいます。そうすると、刀身部分に一切血液が付着する事なく、首が刈り取りとられてしまいす。

 試合会場で魔法の発動は確認出来ませんでしたので、この可能性は高いです。

 また、彼の斬撃スピードが速すぎるのが原因で、遺体が暫く立ったままとなっていまいました。そして、一定時間が経過する事により、自身の体重で遺体が倒れ、その拍子でやっと斬られた首が胴体から離れます。

 これは限りなく、身体が殺された事に気付いていない、と云う言葉に近いと考えられます」



「そこまでとは…」



 これには、流石のヘイズも驚いた。此処までの実力を持つ者が、何故今まで無名だったのか?様々な疑問は残るが、それは全て会ってから考えよう、と思った。



 実は、既に彼を此処に呼んでおり、もう直ぐ到着する頃だ。彼の到着を待っていると、当然、王の間の扉が開いた。



「よう、呼ばれたから来てやったぜ」



 そう言って王の間に入って来た者は、金の髪を靡かせ、左右で青と赤の瞳を持つ少年。『勇者』である斎藤康太だ。彼も、コウヤと一緒に呼んでいた。



「で、何の用なんだ?俺を呼ぶってことは、よっぽどの事なんだろ?」



 この通り、言い方を考えなければ、かなり失礼な奴だ。誰に対してもタメ口なのだ。まぁ、彼が『勇者』であり、こちらが呼び出したのだから、偉そうな態度をとることは出来ないし、この態度を注意する事も出来ない。



「ああ。前に言った大会の結果が出てな、その優勝者と会って欲しいのだ」



「あ〜、あれね。別に良いけど、いつ来るんだ?」



「もう直ぐ来るはずだが…」



 と、ヘイズが言うと、扉が開いた。



 ――――――――――――――――――――



 優勝した。例の剣術大会の事だ。



 俺は今王城に居て、王の間に向かっている。レースティリ王国国王、ヘイズ・レイリに呼ばれたからだ。当然俺の前には、俺の案内役兼監視役のメイドが居る。俺はそのメイドについて行っているだけだ。



「こちらでございます」



 結構速く王の間に着いた様だ。メイドは大きな扉の横に立っている。自分で開けろと云う事なのだろう。まぁ、別に良いが。



 俺は両手で、王の間の扉を開けた。結構重かったので、ゆっくりと開いた。完全に扉が開くと、部屋の中を見回す。



 奥にはヘイズ国王。右手には『栄光』の二つ名を持つオリビア・ユーティリティ。そして左手には、



「よう、お前が…」



 そこまで言うと、そいつの顔は青ざめていった。



「お、お前、まさか、原口コウ…」



 そいつが言い終わる前に、俺はそいつの顔をぶん殴った。中々吹っ飛んで、国王のいるあたりで、顔を抑えて蹲っていた。

結構、4章長くなってきました。

あと、2話ぐらいだと思います

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