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魔力ゼロの無敗者  作者: マンタS
第4章 クラスメイトとレースティリ王国
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勇者

「で、これからどうするんだ?」



「レースティリ王国に行く」



 コウヤに協力する事にした沙霧は、これからの予定をコウヤに聞いていた。



「何故だ?」



「ドルス魔国を出る時から決めていた事だ。魔王復活と、ドルス魔国再興。それを騎士団(ナイツ)団長を蹴り飛ばした後に宣言した。それが、どの程度民衆に広まっているのかを知っておきたい」



「それだけか?」



「最初はな。だが、奴隷市場で興味深い事を聞いた」



「なんだ?」



「レースティリ王国で、『勇者』が()()()()()らしい」



 ――――――――――――――――――――



 2人で語り合ってから2時間程が経った。今、俺達はレースティリ王国へと歩いている。



「で、どう云う事なんだ?」



 歩きながら、彼女はそんな事を聞いてくる。



「なんの話だ?」



「だから『勇者』の話だ!どう云う事なんだ?」



 ちょっとからかってみると、実に面白い反応をする。色々な事がほぼ完璧に出来、生徒会長でもあった彼女だが、内面だけはなんか子供っぽい、と云う噂が立っていた。こうして話していると、分からなくもない。



「さぁな。ただ、あそこには各国の重鎮とかしかいないから、その辺の酒場で聞く様な噂とは信憑性のレベルが違う。なんでも金髪で、赤と青の瞳を持つオッドアイらしい」



 これは、俺が奴隷市場を歩いている時に聞いた話だ。話していた奴の顔は見ていないが、周りに居た護衛の数からして、身分は高いと云う事は分かった。



 これを聞いた時は、流石に驚いた。勇者召喚、創作物の定番だが、正直それは無いと考えていた。なにせ、次元を超えるためには、天使達や朝比奈の様に『穴』を使用しなければならない、と考えていたからだ。そして、その力は『神』のものだと考えていた。



 そんな時に聞いた勇者召喚。これが本当なら、レースティリ王国には次元を超える力、または別次元から何かを呼び出す力を持っている事になる。



 これは知っておかなければならない、と考えた。それに、元々情報収集の為にレースティリ王国に行く予定だった。丁度いいと考え、それも探ると決めていた。



「ほう。私はあり得ないと考えていたのだが…」



「そこは俺も同意見だ。だから、それが本当かを探る」



(流石は雨露沙霧。俺と同じ考えだったか)



「成る程な…で、その後はどうするんだ?」



「…俺の目的は『神』を潰す事だと言ったな。それには、『神』が俺達の前に来てもらわなけりゃならない。その為には、徹底して『神』に嫌がらせをするんだ」



「どんな?」



「この次元は、『神』にいい様にコントロールされてる。それを狂わせれば…」



「それを始末しようと刺客が現れ、それを返り討ちにして『神』に直接来てもらう、か…」



「そう云う事だ。その為にも、他の大国の情勢を確認する。で、お前には実力をつけてもらう」



「え?」



 始めて意外そうな表情を見せた。



「まぁお前は強いんだろうが、それは一般人の範疇での話だ。これからは『神』との戦いになる。最低でも『四天王』程度の実力を持ってないと戦力にならない」



「し、四天王程度…」



 流石に驚いたらしい。まぁ、この次元で四天王と云えば、『災厄』の象徴の様な存在だ。いきなり成れと言われても、たじろぐのは仕方がないだろう。



 だが、本当に四天王程の実力を持っていてもらわないと困る。リュークは一撃でノックダウンされたと言うし。



(そう云えば、聞くのを忘れていたな)



 そう、コウヤがずっと聞かなければならないと思っていた事だ。沙霧の奴隷のカタログを見た時に持った疑問だ。今のところ、最も重要な疑問だ。聞かなければならない。



「…お前の魔力レベルと魔法属性を教えてくれ」



 すると、彼女はこう答えた。



「はぁ?何を言っているんだ?私は地球出身。なら、決まっているだろう。私の魔力レベルと魔法属性は――



 ――――――――――――――――――――



「せ、成功…した…」



 時は少し遡る。コウヤが『第1次元』に来たばかりの頃だ。此処は、レースティリ王国、王宮、王の間だ。此処は広く、そして綺麗だ。至る所に装飾が施され、大きいガラス窓にもカラフルな装飾が、という如何にもな場所だ。



 何時もは椅子に座っている王も、これには椅子から立ち上がり、驚いた表情を見せる。周りにいる使用人達も、驚いている。



 何故なら、この王の間の中心にある魔法陣の中心から煙が出ている。それ自体に驚いている訳ではない。その()()()()()()()に驚いているのである。



「王っ!成功です!」



 叫んだのは魔力レベル5の女性魔法師、オリビア・ユーティリティ。世界中に名を馳せた魔法師であり、『栄光』の二つ名を持つ。固有魔法『召喚』を持つ彼女は、レースティリ王国直属の魔法師だ。今回、彼女がしようとしたのは、『勇者召喚』だ。伝説にある異世界から1人の人間を呼び寄せる、と云うものだった。



 何故こんな事をするかと云うと、オリビアと同じくレースティリ王国直属の魔法師であり、『予知』の二つ名を持つミア・ナーマメントの()()()()があったからだ。



 彼女の固有魔法は『予知』。不確定要素を多分に含むが、未来を視る、と云うものだった。視る未来は彼女の寿命の範囲内。だが、彼女は既にかなり老いており、視れる未来は殆どない。そんな彼女から連絡があった。近い未来、世界に危機が迫ると。彼女の寿命は残り少ない。故に、近い未来、というのは本当に近いのだ。



 彼女が言うには、少なくとも1年以内に危機が迫ると言う。そして、それを救うのは、異界から現れ、金色の髪をなびかせる、左右異なる輝きを放つ瞳を持つ少年だと。



 その警告を受け、レースティリ王国は、直ちに戦力増強を行なった。その危機の正体は分からないが、国の戦力を増強しない訳にはいかない。だが、それでも不安感は消えない。



 そこで、見つけられた『勇者召喚』に関する文献。それによると、【召喚】の能力を持つ者が、異界から人間を呼ぶ事が出来ると。



 そこで呼び出されたオリビア。王の目の前で、【召喚】をする事になった。オリビアは、成功出来るとは思っていなかったが、取り敢えずやってみることにした。だが、何故か成功してしまった、という状況だ。



「お主、名は?」



 国王が、その人物に話しかける。



 しばらくすると、煙が腫れて来て、その人物の姿が明らかになった。その人物は、見た所人間、17歳くらいの少年であり、金色の髪で、右に赤、左に青の瞳をしていた。まさに、予知通りの人物だった。



 そして、少年が話し始めた。



「俺の名は斉藤康太(さいとうこうた)。無限の魔力を持ち、全ての属性を操る者。『勇者』だ!」



 ――――――――――――――――――――



 ――6と、全てだ」

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