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魔力ゼロの無敗者  作者: マンタS
第4章 クラスメイトとレースティリ王国
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パーティーメンバー

「私はこの次元、『第1次元』に来てから、そこまでの問題は無かったんだ」



(『第1次元』だと…)



 未だ聞いた事の無かったその言葉に、疑念を抱いた。彼女が知っている事が当然の様に話すのだから、『神のゲーム』参加者は全員知っているものだと思っているのだろう。と、云う事は彼女をこの次元に連れて来たナートラと云う天使が話した事なのだろう。だが、俺をこの次元に連れて来たソレイと云う天使は、そんな事は話さなかった。



 その理由は、正直分からないが、今は知る必要の無い事と判断した。



「ゲーム優勝の為にも、まずは実力をつけなければならないと考え、迷宮(ダンジョン)で活動する冒険者と成った。他の冒険者とパーティーを組んだ事もあるし、実力もついてきていた。そして今から4日前、『スレイル帝国』から()()()()を受けた」



「依頼?」



「ああ。その頃、私は既に実力のある冒険者として、滞在していたスレイル帝国で名を馳せていた。国から依頼を受ける事も少なく無かったし、()()()もいつもの依頼だと思い、快くその依頼を受けた。依頼の内容は確かに難易度が高かったが、その分戦闘経験が得られたし、報酬も良かった」



(そう云う事か…)



 この時、コウヤは既にこれから沙霧が何を話すのかを理解していた。流石にそこまで沙霧は察知できず、そのまま話し続けた。



「4日前に受けた依頼は、共に私が行動していたパーティーメンバーと共に受けた。内容は、地上に出て来たS級(Sクラス)の魔獣、ブロンズウルフの討伐だ」



 ブロンズウルフとは、コウヤが超迷宮(スーパーダンジョン)で出会ったSS級(ダブルSクラス)の魔獣、シルバーウルフの下位互換にあたる存在だ。シルバーウルフの様に属性魔法と固有魔法を併せ持ってはおらず、持っているのは属性魔法だけ。シルバーウルフと同じ氷属性だが、その魔法の威力は比にならない。



魔力状態(マジックモード)』は発動できるが、S級(Sクラス)の魔獣の中では平凡な実力。だが、地上に出て来ていれば、一般人を襲ったりするかもしれない。十分な脅威だ。



 帝国が冒険者に依頼してまで解決しようとするのも分かる。



「だが、私は気づけなかった…皆の裏切りに」



 ――――――――――――――――――――



「よし、終了ー!」



 数体のブロンズウルフの死体の側にいた沙霧は、両腕を上げながら、大声をあげた。



 彼女の周りには、パーティーを組んでいるオリバー、ノア、カティがいる。男、女が2人ずつのバランスの良いパーティーだ。どのメンバーもイケメン、美人でしかも実力もある、と云う事でかなり有名だ。今まで、帝国からの数々の依頼を共に受けてきた。高い信頼関係を築いてきた『仲間』だ。



「良し、後はこいつらの死体を片付けて、国に帰ろー!」



 のびーっとしながら、そう言った。もう依頼は完了したも同然。後はブロンズウルフの死体を片付け、帝国に帰ってこの事を『帝王』に報告すれば、この依頼も終了だ。



「ええ、ですが…帰るのは我々だけですがね!」



「…え?」



 微笑みながら、そう呟いたオリバーは沙霧の腕に、『魔封じの腕輪』をつけた。



「これって、確か…」



 震える声でそう言った沙霧を、オリバーはこう諭した。



「『魔封じの腕輪』。装着者の魔法発動を封じる『魔力道具(マジックアイテム)』ですよ、アマツユさん?」



「…どう…いう…」



 次に口を開いたのはカティだった。



「まだ分からない?つまりあんたは…」



「裏切られたんだよ」



「そん、な…なんで…いったい、いつから…」



「強いて言うなら、最初からですよ」



 不敵な笑みを浮かべて、話すオリバー。



「ま、さか…」



「気づかれた様ですね。そう、貴方がS級(Sクラス)のシルバーウルフを討伐し、帝国で注目され始めて私達とパーティーを組んだ時から、ね」



 それを聞いた沙霧は、膝から崩れ落ち、前のめりに倒れ、悔し涙が溢れた。『仲間』に()()()()()のでは無い。『仲間』を()()()()()()()に裏切られたのだ。



 その事実に、皆を変えられなかった自分に、絶望した。



 ()()()()()()()()と、()()()()()筈なのに。


 ――――――――――――――――――――



「そこからの記憶は余り無い。いつの間にか気を失っていた。目が覚めた時には、既に檻の中にいた」



「…」



 流石にここで口を挟む事もできず、黙っていると、



「と、まぁこんな感じだ。中々笑えるだろう?」



 なんて、超明るく話し始めるので、なんか拍子抜けした。



(いや、これはやせ我慢だ。俺に心配させまいと、わざと明るく振舞っている)



「…まぁ、事情は分かった。で、どうする?」



「これからどうするか、と云う意味か?」



「ああ。で?」



「…よし、乗った!私が君に協力しよう!」



(もう一度()()()()しな…)



 それは、()()()の絶望を味わった彼女にとって、新たな『希望』の道だった。

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