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魔力ゼロの無敗者  作者: マンタS
第3章 再会とドルス魔国
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完敗

「…一体、いつ?」



 心臓を、コウヤの左手が握る『魔滅』で貫かれているリュークは、力の限り問いかけた。



「お前が俺に【(ブラック)炎の網(フレイム・ネット)】を使い、俺を()()()()()()()時だ」



「っ!ま…さか…くっ!」



 それを聞いたリュークは、心臓を貫かれている事など気にも留めず、右手を握り、振り返ってコウヤに殴りかかる。



「お前の考えは…」



 コウヤは空いていた右手でリュークの右頬に拳を打ち込んだ。その勢いで、リュークに刺さっていた『魔滅』は引き抜かれ、リュークは10数メートル吹っ飛んだ。



「甘すぎだ」



 コウヤに吹き飛ばされたリュークは吐血し、身体中が血だらけの状態で仰向けに倒れていた。その隙をコウヤは逃さない。



「『破壊(ディストラクション)の杭(・パイル)』」



 コウヤは『魔力(マジック)破壊(ディストラクション)』で創り出した杭で、リュークの両手足首を突き刺し、地面と身体を固定する。



「ぐっ!」



「これでお前はもう動けない。『魔力(マジック)破壊(ディストラクション)』がお前に接触している以上、魔法も使えない」



 それを言いながらコウヤは、倒れているリュークに近づいていく。左手に持っていた『魔滅』を鞘に収め、リュークの顔を見下ろす。



「俺の勝ちだ。リューク」



「…何故分かった。俺の策…」



 もうリュークに戦闘の意思がない事が分かり、シーナ達が近づいてくる。それを確認したコウヤは、リュークの質問に答えてやる事にした。



「まず、疑問を持った。お前が分身を創り出し、遠距離攻撃を仕掛けてきた時だ。その攻撃は全て俺の『魔力(マジック)破壊(ディストラクション)』で破壊した。そして、そんな事はお前も分かっている。なら、何故無駄に魔力を消費してまでそんな攻撃を仕掛けたのか?何か意味があるはずだ。この時点で、お前が何か策を練っていることは分かった。

 次にお前は大量かつ全方向から【(ブラック)炎の網(フレイム・ネット)】を放ってきた。これを俺が無理なく防ぐには自分の周り全方向に『破壊(ディストラクション)の盾(・シールド)』を張るしかない。

 そして俺がお前の思惑通り、全方向の『破壊(ディストラクション)の盾(・シールド)』、つまり『破壊(ディストラクション)の球体(・ボール)』を発動した。お前の分身達は全てやられたが、それもお前の思惑通り。

 全ては俺に『破壊(ディストラクション)の球体(・ボール)』を発動させる為。何故そんな事をさせる必要があったのか?最後のお前の攻撃、俺が『破壊(ディストラクション)の球体(・ボール)』内にいる時に、その中での【(ブラック)(フレイム)の爆散(・エクスプロージョン)】の発動。

 それがお前の策、だろ」



「…いつ気づいた?」



「お前が【(ブラック)炎の網(フレイム・ネット)】を放ってきた時だ。それで判断材料は全て揃ったからな。

 ついでに俺が分身と入れ替わったタイミングを教えてやる。お前が俺に【(ブラック)炎の網(フレイム・ネット)】を放ってきた時、お前の策に気づいた時だな。

 何故お前が気付けなかったのか?あの時は爆煙が吹き荒れていた。それでもお前は俺を捉えていたんだろうが、影しか見えてなかったんだろ?そう思ったから、俺は小規模な『破壊(ディストラクション)の爆散(・エクスプロージョン)』で、お前に気づかれない程度の土煙を意図的に作り出し、俺の姿をお前に見えにくくすると共に、分身を創り出し上空に飛び上がらせた。あとはお前の知ってる通りだ」



「…成る程…な…俺が勝てる道理なんて無い…1度の攻撃を当てる事も出来ないとはな…完敗だ」



 そう言ったリュークは、晴れやかな笑顔を浮かべ、笑いながら血を吐いた。それを見た俺は、『破壊(ディストラクション)の杭(・パイル)』を解いた。



 そこから、少しの沈黙が流れた後、いきなりシーナが泣き出した。



「ひっぐ…良かった。コウヤ君が…リュー君を殺さなくて…」



 辺りにシーナの泣き声が響き渡る。



「…まるでリュークが負ける事を分かっていた様な言い方ですね。分かっていたんですか?」



 そう、イリアがシーナに聞いた。普通に考えたら『四天王』であるリュークの全力に敵う人間はいないと言っても過言ではない。曲がりなりにも『四天王』の一人。そのリュークが負けるという予想をシーナがしている事に、イリアは疑問を持っていたのだ。



「もしかして、イーちゃんはコウヤ君の事舐めてるの?」



「い、いえ。そんな事は…」



「いいよ。リュー君も強いしね。でも、コウヤ君がもっと強いってだけ。コウヤ君はリュー君に1回勝ってるし、私の命も救ってくれたし」



「そ、そこまでなのですか?」



「うん。私が保証する」



 それを聞いたイリアは、内心かなり喜び、かなり驚いていた。



「お前ら、無駄話するのはいいが、リュークと『黒風の魔人』、ヤバイぞ…」




「「…」」



 そのコウヤの声にイリアとシーナは、リュークと『黒風の魔人』を見る。傷の度合いは違うが、2人とも出血多量で死にかけなのは同じだ。



「イヤァァァ!!」



「忘れてた…」



 シーナは叫び、イリアは真顔になっていた。

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