表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔力ゼロの無敗者  作者: マンタS
第2章 赤い悪魔と大監獄
21/298

あの日

今回は少し短めです

 ―あの日は、妙に胸騒ぎがした事を覚えている。



 俺はいつも通り魔王様の元に大量の書類を持って行っていた。レースティリ王国との同盟が成立した事により、魔王様や俺達『四天王』は人との戦闘が書類との戦闘に変わっていた。その中でも、魔王様にやってもらわなければならない書類が殆どなので、俺はこうして自分の顔が隠れる程の量の書類を、魔王様に届けているのだ。



 恐らく今頃は、シーナ様が魔王様とお話しされている時間。そんな時に書類を抱えた俺がお2人の間に入って行くのはとても嫌な事ではあるのだが、これも魔王様の志の為。きっちり働いてもらわなければならない。



 そして何時もの通り扉を開けて、魔王様に声をかける。



「魔王様〜!お楽しみのところで悪いのですが、この書類を片付けて下さい!」



 何時もならここで、



『あぁ、そこに置いておいてくれ』



 と、お返事をなさる。だが、この日はそれが返ってこなかった。



 不審に思った私は、書類を床に置き、周りを確認する。そして、俺の目には信じられない光景が広がっていた。



「……魔王…様……?」



 そう呟いていた。何故なら、()()()()()()()()()、目に映ったからだ。壁に横たわる様にして座り込んでおられ、片腕は無くなり、身体中から血が吹き出していた。



 俺は無意識に魔王様の元へ駆けつけ、脈の確認をする。今の魔王様の状態をみれば、誰でも()()判断する事ができる。だが、この時の俺はそうせずにはいられなかった。そう、信じたくなかったから。



 魔王様は死ぬ訳がない。何故なら、魔王様は誰よりも強く、『人間最強』と呼ばれたから。不可能とされていた人と魔人との和解を志し、遂に『大国』の1つ、レースティリ王国との同盟に成功させたから。



「魔王…様……何故…こんな…」



 既に脈は無かった。完全に死んでいた。調べれば調べる程、魔王様の死が確実なものとなっていった。



『私』は涙が止まらなかった。産まれてから約1()0()0()年。元々泣いた事が殆ど無かった俺は、泣いた時の事を大体覚えている。今回は、今までで1番涙の量が多かった。



 そして、俺は初めて叫びをあげて、泣いた。



 しばらく経つと、魔王様が死んだ、という事が国中で叫ばれていた。どうやら俺が泣き、気絶してから数10分程経っている様だ。状況を理解した俺は、次にとる行動を理解していた。シーナ様の保護だ。魔王様が殺されたのならば、その犯人がシーナ様を狙うかもしれない。



 だが、俺はこの時ある()()()に気づいた。それは、シーナ様が魔王様の元に居なかった事だ。何時もならば、シーナ様は魔王様のそばにいたはず。魔王様が殺される時も。で、あれば考えられる可能性は限られる。



 1つ目は、シーナ様が何らかの理由で魔王様の元に居なかった事だ。正直これが最も簡単で、最も良い可能性だろう。



 2つ目は、シーナ様が魔王様に保護され、どこかに避難している事だ。恐らく魔王様は殺される前にその犯人と戦闘になっただろう。そして、魔王様であれば戦闘になる前にシーナ様を避難される筈だ。



 3つ目は、シーナ様が犯人に攫われた可能性だ。これが最悪の場合だ。シーナ様が攫われているのであれば、それを捜索し、助け出すのは至難の技だ。無論、全力を尽くすが…最悪殺されている可能性も少なくない。



 この状況で取るべき行動は、犯人を捕まえる事ではなく、シーナ様を助け出す事だ。魔力感知に長けた者達を招集し、シーナ様の魔力を探させる。これが今打てる、最善の策だ。



 ――――――――――――――――――――



 1週間が経った。レースティリ王国との共同捜索を初めて、もう1週間。未だにシーナ様どころか、その痕跡すら見つけられない。その事実に、私は怒りと焦りを感じながら、歩き続けて居た。



 一刻も早くシーナ様を助け出さねば、という気持ちが日に日に強まっていく。その感情が、拳から血を滲み出させていた。



 そんな生活を続けていた『私』の目に、()()()()が映った。それを見つけた『私』は全速力で走った。自分が出せる最高のスピードで走った。



 近づくにつれて、どんどん()()見えていく。



(いや…)



「間違いない!シーナ様だ!」



(そのはずだ…!)



 そう確信した。とても喜び、涙が溢れていたのを覚えている。



 だが、それの目の前に来た時、言葉が出なかった。



「…そのはず……なんだ……」



 3本の剣が重なり合った紋章。そう、騎士団(ナイツ)の紋章だ。それがついた剣が、シーナ様の胸を刺し貫いていた。シーナ様は、仰向けにして倒れられていた。大量の血を流しながら…



「間違い…無い………はず…」



 心の中でいくら否定しても、目の前の景色と理性が()()訴かけてくる。



「…ヒト……ガ…」



 私は叫んだ。また、涙を流しながら…だが、1つだけ違ったのは、悲しみよりも、怒りが大きかった事だ。



「クソがァァァァァァァァァァァァァ!!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろう 勝手にランキング
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ