捜索
「ドルス魔国に行くの?」
「あぁ。魔人族は『神』の標的にされてる。その原因を捜しに行くのと、ドルス魔国が今どういう状況にあるかを知っておきたい」
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一夜が明け、朝ご飯を食べ終えたコウヤ達は宿の外に出ていた。
「シーナ、何か買っときたい物とか、必要になる物はあるか?直ぐにこの街を出るし、当分は戻ってこれないだろう」
「う〜ん…甘い物……い、いや、なんでもない!!」
「甘い…物…?」
「や!いや、ちょっと食べたかっただけって言うか…いや、ごめんね!別に必要な物じゃなかったよね…!」
「いや、謝ることじゃないだろう。別に…」
「……え?」
心底不思議そうな顔をしながらこちらの顔を覗き込んでくる。
「必要な物だろう。甘い物は」
「………え!?」
そう、コウヤは超がつく甘党。辛い食べ物を一切口にせず、常に板チョコを携帯する程の。
今度は目を丸くして驚愕の表情を浮かべるシーナ。
「他は?」
「え!?…え、えと…何か顔を隠せるものがあったら、便利なんじゃないかな〜…」
「なるほど一理ある。なら、お面でも買っていくか」
「…あ……うん!!」
今度は満面の笑みを浮かべる。
(コロコロ表情を変える奴だな…)
そうしてコウヤ達は骸骨と猫のお面を買って、レースティリ王国を出た。
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レースティリ王国は広い草原に囲まれている。その周辺にソレム村などの小さな村が点々とある訳だが、その広い草原をコウヤ達は歩いている。
「それで、その『赤い悪魔』っていう人がどこに居るのか分かってるの?」
「…正確な位置までは流石に分からないが、だいたいの居場所は分かる」
「凄いね!流石コウヤ君!」
「いや、誰でも分かるレベルの簡単な推理だ」
コウヤはここに来るまでの時間で『赤い悪魔』の居場所をずっと推理していた。そして遂に答えを出した。
「いいか?今までの『赤い悪魔』の動きを理解すれば、次に奴が現れる場所を予想するのは簡単な事だ」
まず、『赤い悪魔』が最初に現れたのは騎士団の領地であり、その基地である『白の領地』の周辺。その次はクレイム法国周辺。その次はスレイル帝国周辺。なら、次現れるのはレースティリ王国周辺だと誰もが予想できる。
だが、『赤い悪魔』がそこまで馬鹿だとは思わない。だいたい騎士団がそれを予想して周辺を固めて居るのでそんなところに飛び込んで行くのは、本当に頭のネジが飛んでるやつだけだろう。俺の予想が正しければ、奴がそんな事をするとは思えない。
だから、奴は裏をかいてもう一度白の領地を襲って来る、と予想できる。
これには理由がある。さっきと同じ事を言うが、俺の予想が正しければ、奴は騎士団に恨みを持っている。恐らく元々の奴の目的だったと考えられる。白の領地襲撃の為に自分の人間ランクを黒に変え、各地で事件を起こし、簡単に予想できるパターンで『大国』周辺を襲撃した。
で、あれば奴はこの機に白の領地を襲撃すると考えられる。
まぁ、あくまで可能性でしか無い訳だが、確率は最も高い。
「だから俺達は今、世界の中心地である白の領地に向かってる。わかるだろ」
「な、なるほど!そういう事だったんだ!」
コウヤは『赤い悪魔』の居場所と、その根拠を出来るだけわかりやすく話した。
(こいつ、絶対わかってないな。まぁ、別に良いが…)
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そんな話が終わってから半日程経っていた。その間、色々話したり、ご飯を食べたり、などの異世界っぽい事に少し興じていた。
「ん?」
「どうしたの?」
シーナは、急に目を細めて遠くを見つめだしたコウヤに質問をした。
「『魔力破壊』の力を手に入れてから、半径1キロメートル以内の魔力感知が可能になった。で、あっちの方で魔力を感知した。見えると思うが…」
「え?いやいや、1キロ先なんて見える訳ないでしょ!」
そうしてシーナが笑いながらもコウヤはずっと見つめていた。
「悪いが、俺の視力はお前の比じゃない」
「えっ!そ、そうなの…?」
この次元にも視力の概念がある。地球とほぼ同じ鑑定方法である事に疑問を持ったが、それはここでは気にはしないことにした。
「!…見えた…」
「え?」
「…来るぞ」
「えぇ?!」
その瞬間、2人の目の前に土煙と爆風が吹き荒れた。
「うっ…な、なに?」
「…当然、『赤い悪魔』だ」




