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魔力ゼロの無敗者  作者: マンタS
第2章 赤い悪魔と大監獄
16/298

協力

今回で話し合いが終わり、いわゆる物語の『序章』が終わります。

「…シーナ」



「何?」



「何故『戦争』が起きたのか、知りたくはないか?」



「…聞かなくても分かる。お父様の死は人族の所為だって…皆が思ったから…」



「違う」



「違うって…どういう事?」



「確かにそれも理由の1つだろうが、直接的な理由じゃない」




「…なら…その()()()な理由って何?これ以上の理由なんて…」



「ある。直接的な理由…それは、()()()()()()ことだ」



「……ころ…された…?」



「そうだ。お前は人族に殺されたように見せかけられた。何者かによってな」



 そう、これが()()()()だ。先代魔王デスト・ロードの死、シーナの行方不明は、直ぐに同盟国のレースティリ王国に伝えられた。と、同時に両国での犯人探しが行われたと聞く。



 そして、両国の全力の捜査で得たものはシーナの死体だった。それも、騎士団(ナイツ)の剣が突き刺さった死体である。



 これに激昂した『黒炎の魔人』等が筆頭となり、他の『大国』の全てに宣戦布告を行い、以後10数年間に及ぶ『人魔大戦』が勃発した。



 その死者数は夥しいものになり、全ての国、全ての人間に大きな傷痕を残した。『四天王』の消息が消え、ドルス魔国を破壊された事で、事実上の終戦を意味した。



 これらの事をコウヤによって伝えられたシーナは、大声で泣き始めた。その叫びは、人と魔人の溝を表しているかの様だった。



 ――――――――――――――――――――



 それから10分程経ち、やっとシーナが泣き止んだ。



「大丈夫か?」



「ひっぐ…うん…大丈夫…それより、教えてくれるんでしょ?…君の事」



「あぁ。名は原口コウヤ。16歳だ」



 それからコウヤは自分の境遇についてと、この世界のことについて話した。世界は次元で分かれているという事。次元は『神』が創ったという事。『神のゲーム』の事。『神のゲーム』に参加し、この次元に来た事。魔力が無い事。手に入れた『力』の事。数十分を掛けて、その全てを話した。



 俺はシーナにそれらを話し終えた後、自分の考えについて話す事にした。



「俺は最初この次元に来た時、本気で魔人族を絶滅させるつもりだった。『ゲーム優勝』の為にな」



「…」



 シーナは黙っていた。まぁ、自分の同族を絶滅させるつもりだった、なんて言われたら普通ブチギレるだろう。だが、シーナは今俺に歯向かっても殺されるだけ、というぐらいはわかっているだろうし、俺もそう予想していた。



「だが、今は違う」



「…?」



「俺はもう、ゲーム優勝を狙うつもりは無い」



「…なんで?」



「先代魔王を殺したのも、お前が人に殺されたように見せかけたのも、『神のゲーム』の優勝条件、『最後の魔人を殺す』というのも含め、明らかに『()』は魔人を()()()()()()()()()。そんな個人的な感情の為に動く気は無い」



「…」



 これは4分の1が嘘だ。『神』が魔人を滅ぼそうとしているという考えは本当だし、その理由も本当だ。だが、『個人的な感情の為に動く気はない』というのは嘘だ。



 本当は、『神』の思惑通りに事を運ぶのは危険だと考えたからだ。『神』が己を含めたゲーム参加者で魔人族を滅ぼそうとしているのはほぼ確定だ。だが、何故そんな事をするのかが分からない。『人間最強』先代魔王を殺せるのであれば、その時点で魔人族を滅ぼせば良い話なのだ。こんな回りくどい事を何故するのかが分からない。



 分からない以上、従ってゲームに優勝したとしても、その特典が付いてくるかは別の話だし、もっといえば殺される可能性もある。だから、ゲーム優勝を狙うのは止める。何を考えているか分からない以上、何をされるかも分からない。



 だが、それで他のゲーム参加者が優勝してしまっては意味が無い。だから、



「現魔王シーナ・ロード。お前に提案する。俺と共に、()()()()()()()()()()



 こう提案する。魔王であるシーナと行動していれば、少なくとも知らない間にゲーム優勝者が現れる事は無い。そして、伝説レベルの魔獣を屠れる強さを持っているので、戦力としても使える。



 これで、『神』の目的である魔人族の絶滅はあり得ない。と、なれば100年前と同じく()()()()()()()()()()()()()()()()()来る可能性が高くなる。



 たとえ『神』が来なくても、差し向けてきた刺客を全て返り討ちにすれば、『神』は出て来ざるを得なくなる。



 つまり、『神』に行動を起こさせ、返り討ちにする。こちらから『神』に接触する術が無い以上、向こうがこちらを無視出来ない様な状況を作り出す。これが俺のプランだ。



 元の次元への帰還は『神』を倒した時に考えれば良い。とりあえず、今はシーナを()()とし、力をつける事が先決だ。



 シーナは恐らく、この提案を了承するだろう。彼女は父親を『神』、もしくはその部下に殺されている。復讐まではいかずとも、最低でも『神』に会う事は望むだろう。



「…ぶっ倒そうとは思わない。けど…1回ぶん殴る!!」



 満面の笑みで、シーナはそう答えた。



 大方予想通りの返事だ。だが、俺は少なからず喜んでいたのだろう。



「良し!これからよろしくな!シーナ!」



 出来る限りの笑顔を、と思っていたが、自然と笑みがこぼれてしまった。



「うん!よろしく!コウヤ君!」



 ――――――――――――――――――――



 それから俺は、シーナと一緒に超迷宮(スーパーダンジョン)から迷宮(ダンジョン)に戻った。直ぐに出ようと思ったが、シーナをこのままの姿で外に出す訳にもいかないので、一旦俺が地上に出て、シーナの服を買いに外に出た。



 服を買う時に店員からヤバイ目で見られたが、気にしない事にした。女性冒険者っぽく見せる為に、女性冒険者用の服や防具を買ったからだろう。



 その後シーナにそれらを着せてみたら、異世界冒険物の小説のヒロインみたいになったが、まぁ少なくとも女性冒険者っぽくはなったので地上に出る事にした。



 迷宮(ダンジョン)は入る時も出る時も受付に行き、通行許可証を返却しなければならない。何故なら、よっぽどの理由でもない限り入った入り口から出なければならない。そういうルールになっている。



 だが、迷宮(ダンジョン)に関するルールが出来たのは今から30年ぐらい前だ。当然、100年前に迷宮(ダンジョン)に入ったシーナは受付の記録には無い。それがバレれば確実に面倒な事になる。だから、迷宮(ダンジョン)から出た瞬間に、人が見えないレベルのスピードで離れる必要がある。



シーナの服を買いに一旦戻った時もこの方法を使った。ちなみに、俺は1週間以上迷宮(ダンジョン)から出てきていないのでルール上死亡扱いになる。よって、シーナと一緒に離れても問題は無い。



 だからこそ、俺は真剣な表情でシーナに話かけた。それだけ重要と判断したからだ。



「…シーナ。お前に言っておく事がある」



「は、はいっ!なんでしょうっ!」



 何故か顔が赤くなって、声も少し高くなっているが、続けて話した。



迷宮(ダンジョン)から出る時、何があっても声は出すなよ」



「?どういう事?」



「100年前とは色々変わってるからな。驚いて大声を出すんじゃないかと思って…」



 これは嘘だ。こう説明しておけば、色々と都合が良いと思ったから、こう説明した。



「私、そんなに子供じゃないよ!」



「だろうな。何せ160歳のババアだ」



「魔人の中じゃまだまだ女の子だよ!私から見たらコウヤ君なんかまだまだ子供だよ!」



「そういう反応がガキだってんだ」



「むぅ…」



 そうこうして、迷宮(ダンジョン)の入り口に近づいてくると、だんだんと人が多くなってくる。そして、いよいよ地上への階段の目の前にやってきた。



「…シーナ」



「何?ってえぇ!?な、何してるの!?」



 俺はシーナをお姫様抱っこして、階段を駆け上がった。



「うるさい。大声を出すなと言ったろ」



「こ、こんなの予想してないよ!なんでこんな事するのっ?!」



「少し理由がある。だから、静かにしてくれ」



「…はい」



 そう言うと、シーナは渋々黙った。さっきより顔が赤い様だ。地上で薬でも買ってやろうと思いながら階段を駆け上がって行くと、地上の光が見えてきた。



「少しスピードを上げるぞ」



「う、うん」



 そう言って、最速スピードで一気に迷宮(ダンジョン)の受付を超え、500メートル程離れた所で歩みを止め、シーナを下ろす。



「脱出成功…ってとこか…」



「な、なんだか分からないけど上手くいったの?」



「ああ。お前のお陰だ」



「え…あ、うん…」



 すると、また顔を赤くした。けど、身体的には何も異常はない様なので放っておいた。



「とりあえず、宿に行こう。そこで、これからの事について話す」



「こ、これから…う、うん。分かった」



 より一層顔が赤くなったが、気にしない事にした。

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