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魔力ゼロの無敗者  作者: マンタS
第7章 大国会談と四獣
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魔王

(マズイ…)



 本当にマズい。『(ブラック)氷の状態(アイス・モード)』『魔力状態(マジック・モード)』が切れ、身体も満足に動かせない。



 既に目の前では、不死鳥(フェニックス)が今にも炎を吐き出しかけている。防ぐ手立ても、避ける方法も無い。



 万事休す。ただただ、自分の死の瞬間を噛みしむ事しか出来ない。



 ここで死ぬ。



 それを悟って、目を瞑った。いや、炎が自分の目の前に来るのが恐ろしかったのかもしれない。気がつけば、目を瞑っていた。



 その時、強力な光が瞼を照らした。思わず目を開けると、そこには放たれていた筈の炎は無く、黒い雷が落ちていた。



 そして、その黒い雷はとても見覚えがあった。だが、何が起こったのか瞬時には理解出来ない。



 ――いったい誰が――



 そう考えた矢先に、背中が目の前に飛び込んできた。その背中はとても小さい。だが、それ以上に存在感を放つ、()()()()()()()()()()()だった。



 これにも、見覚えがあった。自分が護ろうとした存在の背中だった。だが、どこから懐かしさを感じた。そして、その背中は似ていた。非常に。



 そう、デスト・ロードの背中に似ていたのだ。あの、重い覚悟を決めた存在に。そして、その瞬間に悟った。彼女が、自分が護ろうとした存在が、()()()()()()()()



 それを理解すると、必然的に彼女の纏う()()()()()に考えが移る。あのオーラが何なのか、イリアには分かっていた。魔人族の黒い『魔力状態(マジック・モード)』とは違う。



 黒いドレスを纏い、その目からは黒い光が放たれている。



「『魔王』様の…【(ブラック)の状態(・モード)】…?」



 そう。その力は、ドレスであるという事を除けば、かつてデスト・ロードが纏ったものと同じであった。



 不完全なコウヤの『黒の状態(ブラック・モード)』とは違い、その力はデストの力そのものだった。



 シーナがこの力を持っていると云うことは、即ち、属性魔法を覚醒させた、と云う事だ。この黒いオーラはその証で、今シーナは属性魔法を覚醒させている状態である。



 それはつまり、5つの属性魔法全てを、()()()()()()()()()()()()()()()と云う事だ。イリアの黒氷も、リュークの黒炎も同時に発動出来る。



 コウヤの『黒の状態(ブラック・モード)』は、自らの体力を大幅に消費して発動・継続するが、シーナの場合消費するのは魔力。しかし無限の魔力を持つので、永遠に発動し続けられる。



 これが本当の『黒の状態(ブラック・モード)』なのだ。黒に覚醒した属性魔法全てを無制限に操る。それは、()()()()()()にしか辿り着けない力の境地だった。



「私は『魔王』シーナ・ロード!皆の命は、私が死んでも守る!かかってこい不死鳥(フェニックス)!」



 その宣言に答えるように、不死鳥(フェニックス)は高らかに声を上げた後、再びあのオレンジの炎を放ってきた。



 だが、シーナは微動だにしなかった。先程までは動かせなかったが、今は、()()()()()



 何故なら、その必要が無かったから。その炎に向かって手をかざし、放った。



「【(ブラック)炎の波動(フレイム・バースト)】」



 黒炎はオレンジの炎を焼き尽くしながら進んで行く。不死鳥(フェニックス)がそれに気づいた時には、既に全身は黒炎で覆われていた。



 体の表面からどんどん燃えていく。そして(コア)だけとなった。イリアの黒氷ではトドメを刺せなかったが、黒炎なら出来る。



 不死鳥(フェニックス)(コア)の再生は火属性魔法を使用した複合魔法だ。つまり、その火属性魔法ごと燃やし尽くしてしまえば、問題無く倒す事が出来る。



 結果として、不死鳥(フェニックス)は跡形もなく消滅した。



 それを見届けたイリアは、それを成し遂げ空を見るシーナに声をかけた。



「やりましたね。シーナ様…いえ、『魔王様』」



 だがそう言った瞬間、あちこちの地面から何かが飛び出してきた。それを見たイリアは、驚愕の表情を隠せなかった。



不死鳥(フェニックス)…?」



 飛び出してきた何かは、全て不死鳥(フェニックス)だった。それだけではない。いつの間にか辺りには、伝説とよばれる強力な魔獣達が、数百体はいた。



 この状況を打破する方法は、イリアには全く分からなかった。だが、そんな事を考える暇も、周りの魔獣達は与えてくれない。



 四方八方から、様々な魔法が放たれて来る。だが、



「【(ブラック)全属性の(オールエレメント・)竜巻(トルネード)】」



 シーナがイリア達を囲うようにして発動した魔法によって、魔獣達の魔法は全て防がれる。そして、



「【(ブラック)(フレイム)(アイス)(ランド)(ウィンド)(ライトニング)波動(バースト)】」



 今度はシーナが、四方八方に魔法を放つ。その正確無比な攻撃によって、辺りの魔獣達は一掃されてしまった。

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