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魔力ゼロの無敗者  作者: マンタS
第7章 大国会談と四獣
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 時は少し遡り、イリアと不死鳥(フェニックス)の戦闘に戻る。



 イリアは不死鳥(フェニックス)の実力を冷静に分析していたが、内心は焦っていた。



(ブラック)氷の矢(アイス・アロー)』を(コア)に直接突き刺したと云うのに、殺しきれなかった。



 つまり、これ以上の破壊をしなければ奴を殺す事は出来ない。しかし、それ自体はさして問題では無い。



 問題なのは、タイムリミットがあると云う事だ。『魔力状態(マジック・モード)』『(ブラック)氷の状態(アイス・モード)』を併用している今の状態は長続きしない。



 なんとしても、今の状態で奴を殺さなければならない。そうしなければ、既に展開している魔法は全て消滅してしまう。



 そうなる前に奴の(コア)を完全に破壊しなければ、確実に敗北する。



 だから、それまでに…。



「…殺す!」



 イリアは両手を大きく開き、自分の背後に10本の氷の矢を展開した。



「【(ブラック)氷の矢(アイス・アロー)(テン)】」



 そしてそれを、不死鳥(フェニックス)に向けて放った。だが、それをいとも容易く回避した不死鳥(フェニックス)は、再びイリアに向かって豪炎を吐く。

 


 イリアは上空へ飛び上がり、その炎を避けて剣で再び攻撃を仕掛ける。不死鳥(フェニックス)もそれを読んでおり、再び爪による攻撃で応戦する。



 だが、その結果は前回とは違っていた。不死鳥(フェニックス)の爪はイリアの剣を破壊し、イリアの身体を斬り裂いたのだ。



 だが、血は一滴も流れる事はなかった。何故なら、『(ブラック)氷の状態(アイス・モード)』を発動しているイリアにどんな攻撃をしようとも、その身体は黒い氷に変化するのみだからだ。



 だから、イリアは不死鳥(フェニックス)の意表をつく為に、態と攻撃を受けたのだ。そして、その策は上手くいき、不死鳥(フェニックス)の身体は一瞬硬直した。



 そして、その瞬間を見逃すイリアでは無い。黒氷に変化したイリアの身体から、大量の氷の矢が放たれた。



「【(ブラック)氷の矢(アイス・アロー)L(フィフティ)】」



 当然不死鳥(フェニックス)はその攻撃を避けられず、その全ての矢が不死鳥(フェニックス)(コア)を突き刺した。そして、不死鳥(フェニックス)(コア)はジリジリと黒氷に覆われてゆく。



(やった…!)



 シーナも、そしてイリアもこれで倒したと確信した。誰が見ても、それは明らかだった。



 だが、それ以上(コア)が凍っていく事は無かった。



「っ!」



 不死鳥(フェニックス)(コア)の周りの炎が、赤からオレンジに変わっていた。



 炎は、赤いものより青いものの方が温度が高くなる。故に、赤よりもオレンジの方が温度が高い。



 つまり、不死鳥(フェニックス)(コア)のあたりの炎だけが、温度が高くなっている。それにより、(コア)を凍らせているイリアの黒氷が、それ以上不死鳥(フェニックス)(コア)を凍らせる事は出来なかった。



 そして、それだけでは終わらなかった。その現象を見て、今度は自分が身体を硬直させてしまったのだ。そしてイリア同様、それを見逃す不死鳥(フェニックス)ではない。



 (コア)周辺の炎同様、オレンジの色をした炎をイリアに向けて放った。不死鳥(フェニックス)同様、イリアもその攻撃を回避できず、そのオレンジの炎の攻撃を受け、地面まで吹き飛ばされてしまう。



「くっ…」



 そしてそれだけでは終わらなかった。イリアが併用していた『魔力状態(マジック・モード)』と『(ブラック)氷の状態(アイス・モード)』が解除されたのだ。



 それにより、不死鳥(フェニックス)(コア)に突き刺さっていた大量の黒氷の矢が全て消滅した。



(マズイ…)



 既に身体は動かない。魔力も尽きた。これ以上の戦闘は不可能に近い。



 懸命に身体を動かそうとするが、無情にもその体は、動かそうとすればする程動かなくなっていった。



「ぐぅ…」



 その一部始終を見ていたシーナも、懸命に体を動かそうとしていた。だが、不死鳥(フェニックス)への恐怖はその努力を無にするかのように、シーナの動きを封じ込めた。



(なんで…なんで体が動かない!なんで!)



 拳を握りしめ、そこから血が流れても止める事はなかった。



(私は魔王なのに!みんなを守らなくちゃいけないのに!どうして!?私を助けてくれたイーちゃんを助ける為にすら!体が動かないの?!)



「…どうして……!?」



 その瞼から、涙が流れた。その涙が地面に落ち、その滴が飛び散った。



(助けて…父様…母様…)



「…コウヤ君……!」



 その瞬間、シーナの脳裏にある出来事が蘇った。幼少期の、父親と()()との出来事が。

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