予想外
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「…」
その様子を見ていると、背後に再び『穴』が現れた。
「暇じゃないんじゃなかったの?」
『穴』から出てきたその存在に、振り向かずに問う。
「そうなんだけどね。そうも言ってられなくなった、でしょ?」
現れた『天使』ソレイは、裕翔に確認する様に聞いた。その言葉に裕翔は目だけを向けると、直ぐに視線を戻し、その光景をもう1度見る。
その裕翔の横にソレイは移動して並び立ち、同じくその光景を見る。
「…凄いわね。あんな人間が存在するなんて…」
「…」
呟いたソレイだったが、その言葉に何も返さない裕翔に違和感を覚えた。
ソレイは他人に気になることがあれば、それを直ぐに問い正すタイプだ。故に、今回もストレートに聞いた。
「知っていたな?奴のあの異常な実力を」
「…コウヤが異常なのは、君も知っていただろ?」
「…あれは、そんなレベルのものじゃないだろう!明らかに人間の力じゃない!」
「…そう云う事だよ。コウヤの『異常』はあらゆる面で、あらゆるものを超えるんだ」
「っ!」
流石に驚かされた。こんなものは、あんな事は人間ではあり得ない。明らかに、自分が想定していたものとはレベルが違う。
そして裕翔の言うことが正しければ、原口コウヤの異常さは戦闘面だけではなくその他も、いや、その他の全てがこのレベルで『異常』なのだとしたら、およそ人間ではない。
化け物だ、とも言い切れない。見た目は至って普通。化け物ではなく、人間が出来る事が『異常』に出来る、人間には技術的に出来る筈がない事が出来る。
ハッキリ言える。自分では絶対に奴には勝てない。隣にいる裕翔も、恐らく勝てない。
現にあの『四獣』達が、あんな扱いを受けている。
「…あれが『異常者』…原口コウヤ…か…」
――――――――――――――――――――――――
(クソが…)
コウヤは内心、かなり苛立っていた。
100%の力を出した。『四獣』を圧倒し、ただの一撃の攻撃を受けることも無く、何度も致命傷を与えている。
だが、その度に奴らは一瞬でその傷を再生し、何度も立ち向かって来る。
それ自体にもだが、そんな事をさせ、そんな体にした『神』にも多少の苛立ちを感じている。
最早奴らの攻撃など関係ない。致命傷を与える事など容易だ。だが、決めきれない。
『魔力破壊』による攻撃では遅すぎる。発動してから攻撃が当たるまでの時間がかかり過ぎる。
『破壊の全・波動』でさえ、完全に命中させなければ倒しきれない。粉微塵程度に身体を残してしまっても、そこから全身を一瞬で再生する。
かといって、その他の攻撃では傷を与えるのが精一杯だ。
今のところ、奴らを倒す手段は3つしかない。だがどれにしろ、100%勝てると云う確証はない。
『破壊の全・波動』だろうが、『黒の状態』だろうが、もう1つの方法だろうが、それは変わらない。
「…!」
全『四獣』による同時攻撃が飛んできた。全てが遠距離攻撃。舐めている、いや、ビビっているにも程がある。
そして、
「…ビビり過ぎだ」
狙いだった『玄武』の方に向かって飛び込む。飛んで来る岩の礫を全て斬り裂き、『玄武』の顔面を蹴り飛ばし、更に上空へ向かって蹴り上げる。
地面に向かって蹴ることは論外だ。『玄武』の力は大地に自らが接触している方が、明らかに規模も威力も上がる。
上空に蹴り飛ばした『玄武』を追い越し、更に上空に行く。他の『四獣』達も、今攻撃している『玄武』も、100%の力を出している今の俺の動きには対応出来ない。
手から『魔滅』を離し、両手を『玄武』に翳す。
「『破壊の全・波動』」
だがこの時、コウヤにすら予想出来なかった事が起きた。
『破壊の全・波動』が『玄武』に命中する直前、
「っ!?」
『玄武』の目の前に『穴』が開いた。そしてその『穴』は、『青龍』の目前に繋がっており、それに吸い寄せられる様に『青龍』が『穴』に飛び込み、『玄武』の盾になる様に立ち塞がった。
そして『破壊の全・波動』が、2体を覆い隠した。
「…クソが!」
コウヤの視界には『青龍』の姿は無く、『玄武』の右腕だけが残っていた。




