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溺愛王子と転生令嬢は平和に暮らしたい  作者: ティラナ
第1章.崩れ落ちる平和
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第24話.特異体質《ティナ》

 


 レイチェルさんが話があるって言っていたから、宿に戻ったところで話を聞いてみることにした。


「話ってなんですか? レイチェルシー、さん」


 うん。

 名前、間違えてないよ?

 きっとセーフ。 むしろ慌ててチェルシーさんに直した私を褒めてやりたいね!

 アルフのことは、ある程度仲良くなってからはずっとアルフって呼んでるし、そもそもゲームでも主人公は途中からアルフ呼びしてるから違和感ないんだけど、レイチェルさんはどうしてもね。

 そもそも、アルフ専属のメイドさんっていう解釈はあったものの、名前を覚えたのもだいぶ最近になってからだし。

 そしてやっと覚えたのをまた直さないとなんて……!


「……慌てて立て直そうとしたのは分かりますが、私のことはチェルシーとお呼びくださいませ」


 ううぅ……指摘されてしまった。

 昔から人の名前を覚えるのは苦手なんだよぅ……。


「それで、話って何?」


 アルフが促したことで先に進む。

 ひとまず、心の中ではレイチェルさん呼びして、口に出すときはチェルシーさんってするようにしようかな。

 すっごくややこしいけど。


「はい。 ティナ様の魔法のことでございます」


「私の……?」


 レイチェルさんの言葉に首をかしげた。

 私の魔法、そこまで酷かったのかな?

 アルフは『威力の調整は難しいから、これから少しずつ慣れていけばいいよ』って言ってくれたけど……。


「今日1日、ティナ様の魔法を見て分かったことがございます」


 畏まった言い方に思わず肩に力が入る。

 まるで面接でも受けているみたい。


「率直に申し上げます。 ティナ様の魔法は、現段階から上達することは望めないでしょう。 連続使用速度と回数はともかく、少なくとも威力に関しては上昇することはありません」


「………あぁ、そうなんだ」


 なんか、少し拍子抜けしちゃったかも。

 肩の力が抜けて、ほうっと息が口から溢れでた。

 そもそも前世では当然ながら魔法なんてものはなかったから、魔法を使うこと自体に違和感しかなかったからね〜。

 手のひらに魔力を集めるっていうのもイマイチ感覚が掴めなかったし、そこから火の玉とか水が出るのも慣れなかったし。


 その点、魔法道具の方が親しみやすいんだよね。

 イメージとしては、ライターの炎が前に飛ぶバージョンとか水鉄砲の威力がすごい版って感じ。

 魔力を扱うこと自体はティルリアーナのおかげかある程度はできてるから、魔法道具に魔力を流すのはできるわけだし。


 だから魔法を使えませんって言われてもショックってほどじゃない。

 せっかくのファンタジー世界なのに残念だなぁってくらい。


「……思ったよりも平気そうだね」


「うーん? まぁね〜」


 この世界の人にとって、魔法っていうのは生活の一部みたいなもの。

 前世で言うところの機械やカラクリの代替品────っていったら失礼だけど────のようなものとして存在している。 例えば食べ物を保存するのには氷属性の魔法が使われてるし、夜道を照らすには火属性とか光属性の魔法が使われてる。

 そして、魔法が使えないということはそういったものが全て使えないということと同義なんだと思う。


 ……とは言っても、魔法道具でも代用可能だから困らないって言えば困らないと思うんだけどね。


「ところで、どうしてそう結論付けられるのか理由を聞いてもいいかな?」


「もちろんです。 ティナ様は特異体質、おそらくは体外に魔力を極端に放出しにくい体質にあるのだと考えられます」


 アルフの問いにレイチェルさんは理知的に答えた。

 分かりやすいように、手元にあった紙にイラストを描きながら説明してくれる。


「私の魔力感知でわかる範囲内では、ティナ様の保有魔力量は決して少なくありません。 むしろ多いと言えるでしょう。 ですが、おそらくもともと魔力を外に押し出す力が弱いか、押し出すのを邪魔している何かがあるという理由が考えられます」


 少し違うかもしれないけれど、高校の時に習った電気回路みたいな感じかな?

 電流が小さい時は、電圧が小さいか、もしくは抵抗が大きい。 みたいな。

 ………あ、今の例え頭良さそうだったよね!?

 ふふふ、伊達にリケジョをやってた私を舐めるでないわ!


 とにかく、私は体の外に出る魔力の量が体質的に少ないから、一度に使うことができる魔力の量も少なくなる。

 そのせいで連続で使おうとしたり、大きな魔法を使おうとすると、体の外に魔力が出るスピードが追いつかなくなっちゃうってことかな。

 まぁ、当たり前って言えば当たり前か。


「それは身体への悪影響はないの?」


「はい。 魔法の種類や使用回数に制限がかかること以外はなんの問題もありません」


 ならまぁ、一安心かな。

 これで蓄積された魔力が体内で暴走して〜、とかってなったら嫌だもんね。 歩く魔力爆弾にはなりたくありません。


 とりあえず、魔力が体の外に出ないだけでしょ?

 魔力を体の外に出すのは、無属性を含めた魔法とあと魔法道具と────。 ……あれ?


「じゃあ、私が今まで魔法道具を使うときに苦労しなかったのはなんで?」


 外に魔力が出ていかないってことだと、魔法道具も使えないんじゃないのかな?

 でも、今までも普通に魔法道具は使えてるワケだし。


「魔法道具に使われている素材はどれも魔力伝導率が高く魔力を流しやすくなっており、魔力の道ができているのです。 同様に、魔法陣などもすでに魔力の通り道ができているので、今までは問題がなかったのかと。 ですので力が弱くても問題なかったのでしょう」


 そういうものなのか……。

 魔力伝導率、っていう単語が出てきたけど、魔力の流れやすさってことでいいと思う。 それが同じってことは流した魔力が逆流してくるわけでも、逆に勝手に流れて行っちゃうってわけでもないんじゃないかな。

 魔力伝導率が高い物質としては、魔物から取れる魔結晶とかファンタジーでお馴染みのオリハルコンとかミスリル、あとは世界樹っていう種類の木の枝なんかがそうだね。 他にも色々あるけど、代表的なのはこんなもの。

 ちなみに世界樹は木の種類だから、世界に一本しかないとかそういうことはなくて、魔法道具用に栽培されてたりもする。



 まぁ、細かな理由までは分からないけど、私は魔法はあまり使えないけど、魔法道具はしっかりと使えるみたいだ。

 なら、まぁいいかなぁ。

 ある意味、前世と同じような感覚で道具を使えればいいってことだしね。


「………ティナって大物なのか、自体が理解できてないだけなのか、たまに分からなくなる時があるね」


 ちょ、アルフ!?

 その発言はスルーできないんだけど!?


 そう思って睨みつけたけど、曖昧な笑みを浮かべて流されてしまった。

 うぬぬぬ………。

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