魔法王国
ベルガ国の災難を乗り越え、必死の思いで国境にある関所にたどり着く。どうやら連絡はまだ来てないようで無事抜け、念願の魔法王国に入る事ができた。
魔法王国は他国と趣の異なる建物、あちらで言えば古風な建物が立ち並び、歴史を感じさせる。歩く人歩く人、学者の様な格好をしている人が多々見受けられた。それはレンが言うように知識を求める者が大勢いるという証拠なのだろう。
ここ魔法王国は魔法に重きを置いている。逆に言えば、その他を軽視する傾向にある。それは知識を深める1番が魔法にあるという国の在り方にあると言える。だからこそ、皆魔法を習得する。魔法王国の総人口の約半数が魔法の心得がある。といっても、民全てがありとあらゆる魔法が使えるわけではない、魔法は一種の才能であるからだ。ある系統が得意な者は逆に相反する系統をまったく覚えられなかったり。全ての系統をそつなく習得する者は、中級魔法までしかおぼえられなかったり、必ず壁というものがあり、それを乗り越えた者が大魔導師、大賢者と呼ばれたり、もしくは国の中枢に入る事が許される。
そして14歳まで学業を国で支援し、魔法を必須科目とした。つまりは、総人口の約半数が魔法をまったく習得できなかったという結果にもなる。そうして14歳まで振るいにかけられ、才能あるものがその上を目指す学校に行ったりする。他国では学校は裕福な者でなければ、早々入る事ができなかったが、ここ魔法王国では14歳からの上の学費生活費は、才能次第で免除もしくは支給されるし、免除されるほど才能がなくても、ある程度の才あるものは、卒業し収入得るまで、待ってくれる制度がある。
魔法王国という国はそもそもは普通の国家であった。皇国が誕生する前、凡人だが、知識欲だけは人一倍の若者がいた。誰もが才ない彼を見放したが、しかし一人の教師だけは見捨てはしなかった。学費を払う金もないのに、時間があれば彼を指導し、導いた。それから10年後、国に未曾有の天災が訪れる。人々は天災で多くの死者を出し、生き残った者もまた、飢えに苦しんだ。国も救済しようにも、この危機をチャンスとばかりに帝国の侵入を許した。どうしようもない状況の中、宮廷魔術師の一人がこの危機を救える人物を推挙したのだ。後は滅ぶしか道がないと、藁にもすがる気持ちで、その青年を呼び出し、この危機を救うように命じた。それが知識欲の塊だった若者、青年へと成長した彼だった。彼は、早速動き出し、まずは外敵の排除に動いた。そこではじめて使われたのが、上級魔法の上、最上級魔法の一つ、彼が編み出した魔法。「悠久の誘い」だ。彼は確かに才能はなかった。しかし、それは評価される事柄に彼の才を見いだせなかっただけに過ぎない。当時教鞭を取り、後に宮廷魔術師へと入ることが許された者だけは、彼の才能を見出し、諦めずに知識を分け与えた。その結果、初級魔法ではただ対象を朦朧とさせるだけで、対して使い道がなく抵抗されやすい魔法を昇華させ、最上級魔法まで進化させた「悠久の誘い」は、帝国軍の前衛の半数を意識混濁させたのだ。それを合図に範囲魔法を集中砲火し、甚大な被害を与えることに成功させた。その後、彼が持つ知識の全てを国の救済に使った。工学、医学、農学ありとあらゆる知識で民を救うことに全力を尽くした。彼の得意とする補助魔法も民を救うことに大いに役に立つ。約数年で国は立ち直りに成功した。だが彼の数年は寝る暇もない忙しい数年だった。国を救う事に奔走した彼は国が立ち直るのを見届けるように病により息を引き取る。彼の活躍から国の在り方を反省し、魔法王国へと名を変え、知識に重きを置く国となる。
後に宮廷魔術師であり彼の師である者はこういった。
「彼には才能があった、だが誰も彼の才能に気がつかなかった。周りの見る目はすぐ結果のでる者しか信じなかった。しかし、どうだろうか?すぐ結果がでる才能では国一つ救えない。彼には才能があったのだ、魔法という才能のほかに誰にも負けない知識欲という才能が」
それゆえ、知識とはなにも魔法だけではない。全ての知識が魔法王国の根底にあるのだ。魔法に重きを置くのは、実用性、そしてあらゆることに対応できること、また知識を深める内魔法はなくてはならないことにほかならない。だからといって、他の知識もまた等しく価値があるものだというのが魔法王国の考え方なのだ。




