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NC3:ナイトコード  作者: 自宅愛好家
始まり
5/11

03: 結成

「……てことは、君って毎晩その“崩壊”と戦ってるってこと、だよな?」

「そう!その崩壊は今も現在進行形で続いてるんだけど活発になる時間があって、私はその時間を『ナイトコード』って呼んでる。――あ、さっきジュースの奢りありがとね!」俺たちは公園のベンチに座っていた。俺たちの片手にはさっき買ったばっかの缶ジュース。


「……ナイトコード……?何それ名前ついてんの!?」

「私が勝手につけたんだけどねー……どう?かっこいい!?」俺は黙って頷いて声にならない声でうーんと唸った。

「喜んでもらえてよかった!……で、その時間は深夜の11時半に始まるの。そこから朝の4時まで――かな?」


「まじで!?寝る時間とかないの!?」詩遥は俺のことをじーっとみてきた。

「……え?学校で寝るに決まってんじゃん」

「いや寝るなし」俺は思わず突っ込んだ。

「遅刻魔くんに言われたくないんですけどー!――それで、楓君は今夜から手伝ってくれる?それともまだ心の準備が必要?」俺は考え込んだ。


「いやー……でも……どうだろ――ん?待てよ?」夜一緒に世界救うってことは……つまりデートってことだよな……?なら早い方がいい決まってんじゃんか!

「行きます!今夜からでいいっす!!!」詩遥は俺の顔をじーっと見た。

「……楓君、君顔赤いよ?もしかして変なこと想像した?」俺は飛び上がった。

「は、はぁぁぁ!?そんなの……し、してねぇし?あれだ!夕焼けのせいでそう見えたんだ!そうだろ!」詩遥はクスクス笑った。


「そういうことにしておこっかなー?」詩遥はそう言いながらカバンのチャックを開いて中を漁り始めた。

「でも……!そう言ってくれてありがたいよ……!きっと楽しいから!――あったー!」詩遥の手には――真っ白く輝くスマホのようなものが握られていた。

「はい!これがナイトコードを出歩く時に必須な道具、コーダだよ!バグの発生位置を感知したり、記憶のズレを記録したり――いろいろ便利なんだ!これ、私のものなんだけど――スペアもあるから気にしない気にしない!」


 詩遥は俺の手にコーダを押し付けてにっこりと笑った。

「ナイトコードでそれ持ってき忘れたら何もできないからずっとポッケとかに入れておくこと!いいね!」

「わかった……!」俺と詩遥は目を合わせて――耐えきれなくなって同時に吹き出した。

「あーおっかしー!何この空気!きまずっ!」

「それなー!俺たちはただ話してただけなのにな!」俺たちはそう言いながらしばらく笑いを止めることができなかった。


「あー!腹いてぇ!笑いすぎた!」俺がそう言ったのを皮切りに何故か俺たちは笑うのをやめた。

「なぁ……君のことどうやって呼べばいい?」

「暁でもいいし詩遥でも!何ならあだ名作ってもらっても全然!」詩遥は微笑んだ。

「じゃあ――詩遥!俺さ、思ったんだけど、せっかくだしそれっぽいチーム名考えたくね!?」

「確かに!うーん……どんなのがいーかな……?」詩遥は腕を組んで考え始めた。

「あ!これは?『秘密結社:詩遥と楓』!どう!?結構良くない!?」


「やだ。絶対やだ。誰が何と言おうともやだ」

「えぇぇー?じゃあナイトコードとかけて……『ナイトクラブ』!」

「なんかやだ。なんかピンクなところが初めに思いつく」

「じゃあ楓君が決めてよ!」俺は顎に手を当てて俯いて考える。

「クラブ……部活か……」俺はパチンと指を弾いた。

「そうだ!『Night Code Control Club』!略して【NC3】!どーよ!?」詩遥は顔を輝かせた。


「うわー!それめっちゃいい!大賛成!私のネーミングセンスにいちゃもんつけるだけはある!」

「そもそも壊滅的だろ」俺は苦笑した。

「じゃー!それで決定!――あと部活何だから……部室とかあっても良くない?」

「確かになぁ……」俺はもう一度考え込む。

「人気がないとこがいいよなぁ……あ!あそこいいんちゃう?」俺はスマホを取り出して地図の衛生写真を見せる。


「ここの旧体育館ゾーン!今は誰も使ってない心霊スポットだからここの空き教室借りようぜ!」詩遥を見ると……詩遥は地震かってぐらい大きく震えていた。

「……クモ……いる?」

「いや流石にいるだろ。今のお前の右肩にもいるぞ」

「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!」詩遥は身を捩って暴れ始めた。

「とってぇ!取って取って取って!」俺は爆笑した。


「ま、冗談だ。でも少なくともあそこはクモとか毛虫とかはいるよ」詩遥は頬を赤らめながら俺の背中をぶっ叩いた。俺は笑いながら続けた。

「そんなクモ嫌いならさ、俺も手伝うから今日ナイトコードが始まる前に部室造りにいかね?」

「やだ」詩遥は真顔で呟いた。

「……何でだよ。もう引き返せないんだろ?」すると詩遥は目を瞑ってバタバタ暴れながら言った。

「やぁだぁ!クモホント無理なの!……ほんと無理ぃ……」


「ぶりっ子いいから」

「違う!――今日夜殺虫剤96本持ってこよ……」

「そこは100って言えよ気持ち悪い」俺は苦笑して腕時計を見る。

「あー……俺な好きなアニメそろそろ始まるなぁ……じゃあ今日20時学校の正門前集合でいい?」

「おっけー!殺虫剤103本持ってくね!」

「だから100って言えよなぁ……」俺はそう呟きながら縛ると同時に立ち上がって目を合わせ、にっこりと笑った。

最後まで読んでくださってありがとうございました!


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