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隠れんぼ

 幽霊のお話しをしていると、相棒が重要な事に気が付きました。


「そう言えば、貴方のご主人様はどちらに?」


 私とした事が…鬼ごっこをしている間に、主人殿(あるじどの)を見失ってしまいました。


「探さないと。」


 大変です。主人殿は鈍臭いので、すぐ鬼に捕まってしまいます。


「座敷童子のご主人様〜!どこですか〜?」

「違う。私は誰の従者でもない。」

「え?でも、いつも主人殿って呼んでますよね?」

「呼んでる。屋敷の主人殿だから。」

 

 ずっと一緒に居るはずの相棒は、私と主人殿の関係について何も知らない様子です。

 

「ややこしい妖怪ですね…」

「妖怪は皆んな同じ。」


 人間と妖怪の関係は、昔から共存関係にあります。

 日本妖怪には、友好的な妖怪と敵対する妖怪で分かれていますが、人間と共存する妖怪には、友好的な妖怪が多いです。

 かく言う私も、部分的に言えば、友好的な妖怪です。


「屋敷主人〜?どちらにいらっしゃいますか〜?」

「鬼ごっこの次は隠れんぼ。」

「真剣に探して下さい…此処は夜行性の魔獣が多く存在する地帯なので、このままだとご主人様は、魔獣の餌食になってしまいすよ。」


 以前テレビで、人間の肉は塩っぱくて美味しくないから、サメは人齧りでやめてしまうと聞いた事があります。主人殿が不味ければ、その魔獣達も人齧りで許してくれるかも知れません。


「……不味い事を祈る。」

「貴方は何を言ってるんですか…?」


 相棒が何故か、私から逃げようとします。


「うわぁぁあ〜!!」


 相棒と近くの森を探索していると、屋敷の方から主人殿の声が聞こえました。

 

「主人殿の声。」

「行ってみましょう…!」


 屋敷まで戻ると、炊事場に主人殿がいました。


「屋敷主人は、どうされたのでしょうか?」

「落胆してる。」


 そんなに蛇口を見つめて…よほど蛇口が好きなのでしょう。

 

「みっ水が…水が出ない…ッ!」


 どうやら、主人殿が蛇口をずっと見つめていたのは、蛇口が好きだからではなく、お水が出ないからの様です。


「確かに此処は森なので、水道は通っていませんね。」

「主人殿、水ないと死ぬ。」

「森の奥に川がありますが、もうすぐ夜になるので、今から汲みに行くのは危険ですね…」


 人間は水がないと三日で死ぬとテレビで聞きました。

 私がいるので死ぬ事はないと思いますが、万が一主人殿が死ねば、私はニート逆戻りな上に座敷童子と言う肩書きに傷が付きかねません。


―術式演唱 付与・水地の術・河川

 

 ゴゴゴォォォ…!!


 演唱後、激しい地響きと共に屋敷の外に現れたのは、綺麗な川でした。


「えっ?!次はなんの術ですか?」

「水と地の術。」


 地の術で地形を変え、そこに水の術で水を流す事で川を作る事が出来るのです。


「地形を変えるなんて...これは神の技ですよッ?!」

 

 実は、この術式は、かの有名なダイダラボッチさんに教えて頂きました。と言うのも、山や湖沼を作る事で有名なダイダラボッチさんは、この術式で地形を変えていたそうです。

 今はビルや建物が増え過ぎたせいで、無闇にこの術式は使えないと嘆いていたので、ダイダラボッチさんが此処へ来たら大変な事になっていたと思います。


「うおぉ〜!川が出来てる?!こっ腰抜けたぁ〜!」

「屋敷主人、腰が抜けたそうですよ?」

 

 ダイダラボッチさん関係なく、この術式を使う時は気を付けた方が良さそうです。

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