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蒼狼

 僕とアオイの出会いは、今から7年前にさかのぼる。僕が3歳、アオイが8歳の時であった。

 この森に捨てられ、数日飲まず食わずで倒れていた僕を拾い、看病してくれたのがアオイである。それ以降、僕はアオイの家に居候することとなったのだ。

 幼い頃からアオイは強かった。武術、魔術共に最強格。そんなアオイを筆頭にクロエ、シャカ、ハクネは僕の面倒を見てくれるようになった。

 そうして、僕が王位を取り戻したいと話したときに色々と提案してくれたのもアオイである。


「それで、今日はどうだった?」


「やっぱり、僕に攻撃魔法は向いてないみたい。」


 少し笑って、そう言って見せる。するとアオイは少し考えた後、その口を開いた。


「攻撃魔法ね………ねぇ、ツカサ。」


「なに?」


「私と1回、手合わせしてみる?」


「ええ!?アオイと!?」


「うん。魔法、格闘なんでもありの手合わせ。」


「そんなの絶対負けちゃうよ!!」


「いいからいいから。久しぶりに稽古付けてあげる。」


 そうして、半ば強制的に僕とアオイは組手をすることとなった。正直勝てる気は一切していない。と、言うか恐らく本気を出したアオイに勝てる存在なんてここには居ないんじゃないだろうか?そう思っているくらいだ。


「じゃあ、始めようか。ツカサ。」


「はい…。」


 お互いに数メートル離れた場所からスタートする。そのはずなのに。


「あれ?まだ乗り気じゃない?」


 その声は眼前から聞こえる。直後に鋭い蹴りが入る。


「!?」


 間一髪。なんとか交わした。化け物じみた速度。これでもアオイは手加減している。それがなにより恐ろしい。

 思考の余地なく、二撃目は迫っていた。後ろ回し蹴り。あぁこれ食らったら死ぬな、何て思いながら身体強化を施す。そうして、その蹴りを掌で防ぐ。


「そうこなくっちゃ…。」


 ニッと笑い、アオイは距離をとる。その行動で大体次の行動は把握できた。

 複数の魔方陣の同時展開。捕まれば死。


【スレイプニル】


 詠唱と共に、魔方陣から氷の鎖が現れる。あれに囚われれば、アオイのもとまで勢いよく引きずり込まれる。逆にアオイは獲物に突進し、その拳を叩き込む。

 とどのつまりサンドバッグにされる。捌ききれるかどうかは不明瞭。それならば僕が出来るのは、愚直な行動のみ。


【身体強化】


 さらに上乗せする。そうして、向かってくるその鎖もとらえられぬ程の速度でアオイに突進を仕掛ける。

 本の一瞬、それで距離を詰め拳を放つ。


「おしいね。」


 空を穿つ僕の拳。見きられていたと、少しして気がつく。そうしてアオイは僕の腕をつかむ。


「でもまだまだ、本気じゃないんでしょ?」


 そうして、僕を放り投げた。その瞬間理解する。あの鎖はもとより囮。そして、このときのための布石であると。あいにくと、空飛ぶ魔法なんて使えない。

 まんまと僕はその鎖に捕まるしかなかった。


「くっ…。」


「まだ、本気じゃないでしょ?」


 そうといわれればそうだ。奥の手は無いことはない。


「それを使って、私をねじ伏せてみな?」


 そうしてアオイは、その詠唱を口にする。


蒼狼(せいろう)


 アオイの姿が変わっていく。より獣要素が強くなり、そして氷を身に纏っていく。あまりにも仰々しく、恐ろしい。何よりも、右手のその爪は結晶化し鋭利になっている。

 生唾を飲み込む。アオイは本気を望んでいる。だからこそ、僕は奥の手は使いたくない。頼りたくないのだ。


「ツカサ、これは本気の勝負。生きるか死ぬかの局面だよ。だからね、使えるものは全部使いな。運も実力も、何もかも。」


 その言葉に疑問を抱く。それは、僕に奥の手を使えと言っているようなものだ。それをしてしまったら………。


「これは、本気の勝負(命のやり取り)だよ。」


 その言葉の刹那、アオイの姿が消え鎖が引き戻された。あの状態のアオイの一撃であれば、障壁など意味をなさないだろう。だから、僕はそれを使った。


【不変】


 その詠唱を使えるものは、アオイたち曰く世界で僕1人らしい。不変のその能力は、一定時間前に対象の時間を遡らせる。

 今であれば、アオイがスレイプニルを使う前まで状態を戻らせる。故にスレイプニルの拘束は解かれ、アオイの変化も解け思考も戻っている。残って居るのは、アオイと僕に与えられた速度だけ。

 その速度に乗せ、僕は拳を握るのだった。

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