最後の冬の夜想曲
月が夜の向こうで眠る
新月の夜
ちいさな星たちが
いっしょうけんめいに
夜空を明るく照らす
今夜は何だか
夜が奏でる夜想曲が聴きたくて
ネグリジェの上からあったかい上着を羽織り
バルコニーに出る
夜夜中は静寂の世界
辺りはしん…としていて
私はバルコニーの手摺に凭れながら
静寂の中に微かに響く夜想曲に
全身を傾ける
すると
風が、私の長い髪を揺らして過ぎていく
冷たい風
その風の中に、桜の花びらがひとひら
─ああ、もうそろそろ春なんだね。
手のひらに桜の花びらを…
春の欠片を乗せながら
瞼を…閉じ
冬の夜想曲を愉しむ
今夜で最後の冬の夜想曲
冬とはまた、しばらくお別れだね
─また、来年会いましょうね。