学校の快談
「今日も今日とて、学生、学生っと」
通学カバンを片手に、学舎への道を歩く。
咲き誇るさくら並木が風にゆられ花びらが舞い落ちるのを眺めながら。
…へっきし!
春夏用の制服はまだ早かったかもしれなぃ。
「おはよう春人。風でも引いた?」
「2秒前に通過した曲がり角から自然に合流したこの男は「鼎 未来」
この、聞いただけでは性別が解りにくい名前の通り。
ユニセックスフェイスで中肉中背のさらさらヘアー。身長は160センチの特徴は四角いメガネ。
しかして、その実態はウルトラオタッキーな友人その1だ」
「ねぇ春人。その評価はちょっとあんまりじゃないかな」
「あんたねぇ。朝っぱらから何を1人でぶつぶつ言ってんのキモいんだけど」
はい。朝キモ頂きました。
「そして、この俺の右隣に現れた彼女の名前は
「桃乃木 苺」なんともフルーティーですいーてぃーなショー子ちゃん(ショートカットの略)。
そして、「名は体を表す」という言葉の体言者。
通常、桃といえば尻だが←(下品)彼女は身体は三文字で表される。
そう水・蜜・桃!
つまりはおっぱいだ!
上から推定92、76、85の胸元は正に圧巻。
学制服を盛り上げるそのおっぱい。
きっと身長でシャツを選んだならばおへそが見えてしまうに違いない!
去年はクラスが違ったが、今年同じであるならば、
是非!体育の時間に一回り小さな体操服を着た彼女のおっぱいを横から鑑賞した
ズドム〓
「ゴガッ!?」
「何を朝っぱらから、通学路で人の胸ムネ言ってんのよこの変態〓」
一体どこで覚えたのか、掌低で俺の鳩尾にありえない音を響かせながら左腕で胸を隠しつつ顔を赤くしながら怒る苺。
「ぐぅう。ば、馬鹿な俺のモノローグに干渉してくるとはきさまエスパーか?」
唐突なクリティカルに悶絶しながら俺は疑問を投げ掛ける。
…あ、リバースしてしまいそう。
「春人の言っているモノローグっていうのは何だかわからないけどさっきから声に出して喋っちゃってるよ」
周囲の視線を気にしてか、それとも急な暴力事件に軽く引いたのか、「アハハ」なんて笑いながら答えをよこす未来。
「全くこのスケベは。ほら、まだ階段があるんだから早くしないと遅刻するよ」
「そうだな。まだそれがあったのか」
痛みを堪えて何とか立ち上がり痛む鳩尾を押さえながら山門をくぐると目の前に階段がそびえたっていた。
言葉的にはおかしいが、
しかし、それ以外に表すことの出来ない校舎を見せないこの階段。
軽く千段を超えるそれは、「鍛練の階段」略して「練段」ともいわれ、我が校の運動部が最強の名を冠している原因であるとともに、遅刻者に絶望を抱かせる。
学校側の理由としては、帰宅部の生徒にも、体力を付けてほしいから。
などと言っているが、ただたんに山の上の土地が安かったからに違いないと俺は睨んでいる。
しかし、階段の両脇にはエスカレーターが有るため、それ程無茶には感じないかもしれないが、このエスカレーター。
途中で乗降出来ない一本釣り仕様な上に、とてつもなく遅い。
まだ、社会を知らない学生たちが、朝の駅構内の法則など気に掛ける筈もなく、下手をするとエスカレーターに乗ったまま、遅刻が確定してしまう恐ろしい罠なのである。
正直歩きの方が早い。
「が〜しんどい。こんなもの消えてなくなればいいのに」
「それは無理だと思うよ」
「だったら春人も、自転車通学にすればいいじゃない」
「無茶いうなよ。俺にあんな真似出来るわけ無いだろうが」
一応、自転車通学も許可されてはいるが、山の頂上にある学校への道は自然と螺旋になる。
アスファルトで綺麗に整備はされているが、考えても見ろ、一つの山を自転車に無理のない傾斜で登ってゆくんだぞ!?
一体どれだけ時間が掛かると思うのか。
しかし、それは時間が掛かるだけであって無茶ではない。
では、何が無茶なのかと言うと答えは階段とエスカレーターの間にある4人は横並びで通れるであろう道にある。
そんなことを考えながら2/3ほど階段を上り切ったときそれは現れた。
「ど〜いた、どいた〜跳ね飛ばし御免だよ〜キャホーイ」
(≧∇≦)/~
「来た」
「相変わらず凄いわね」
「少し急がないとダメかなぁ」
朝からテンション爆発した声が下から聞こえる。
その張本人たる彼女はまるで平地を行くかのように自転車で登山してくる。
そう。苺の言う自転車通学とは、アスファルトではなく硬質なゴムで整備された斜面45度のこの道を自転車で走るということなのだ。
そして、朝の予鈴が鳴る15分前にやってくる彼女を先頭としたこの集団はこの学校の一つの風物詩であり、時報代わりでもあった。
この道は最強の自転車乗り(Bicycleライダー)を決定するサイクリングロード
(自転車王の道←誤字にあらず)
36段ギア付のマウンテンバイクを乗りこなし、今代の王たる彼女を筆頭に競輪部自転車研究会。
サイクリング同好会などが次々にこの坂…
いや、斜面を上がってくる。
「以外と春人なら出来ると思うんだけどな」
「うんうん」
少しペースをあげて階段を上りながらそんな事を言う二人。
「テキトーなことをいうな意地でもするか」
こいつらは俺に何を期待しているのか。
「それにしてもこの階段。今は慣れたけど結構危ないわよね」
「そうだね」
「馴れるまでが怖いよな」
因みにこの階段。
手摺りや間に石畳等は一切無い。
さらに階段自体が微妙に崩れているというスタントマンも真っ青の石段だ。
「せめて、足下だけでもしっかり造ってくれないかなぁ」
なぜ魔が差したのか
言いながら足下を見る苺を見てつい口が滑ってしまった。
「何を言ってんだ?元々それ(胸)が邪魔で足下なんか見えないくせに」
「この馬鹿ー!!」
ドグシャ
「がはっ」
聞くが早いか的確に俺の真芯をとらえて蹴撃にはしる苺。
先程の「この階段危ない」発言は一体何だったのか。
綺麗に体を横にして吹っ飛ぶ俺。
本当になぜ突っ込んでしまったのか。
これから起こる階段落ちを覚悟するが、気付く。
今俺が滞空している所は自転車王の道であるということに―――
そして、悲劇は起きた。
この坂の角度は洒落にならない。
一度動きを止めてしまえば手で押して進む事すら困難なのだ。
俺の所為でコップを流れ落ちる水滴の様に規模を拡大しながら滑り落ちていってしまうのか。
―――と思ったんだけどネ
現実はもっと凄かった。
「おおっと危ないよ引き捨て御免だー」
爆走する王とぶつかった瞬間
CRAAAASHU
という擬音とともに手足を卍に曲げ、まるで風車の様に回りながら吹っ飛ぶ俺
…(´・ω・`)?
「なぁにぃぃぃぃ!」
それはきれいなアーチを描き反対側を走っていた競輪部の自転車の前へ落ちてゆく。
「おら、どいたどいたー」
DOOOON
「がっはーー!」
俺を上手く拾いやがった馬鹿が噴火系の擬音でもう一度反対側へ飛ばされて、
「繋いでやるぜぇ」
BOCAAAAAN
「どっはーー!」
サッカーと勘違いしいるのでは?とイミフ(意味不明)なことを言いながらアメコミ張りの横文字で俺を叩き上げ
「フィニッシュだ」
当然のように息を合わせたアフォが俺を校門に飛び込ませようとわざわざ角度を調整してきやがる。
CHIっ
「なっ!?かすりだとぉ」
そして、俺の卍飛びをの力の流れをうまく利用したそいつにまるでバスケのアリウープの様に真っ直ぐに着地点を修正させられた俺は空中平泳ぎも虚しく
グシャ
と地面に叩きつけられるのであった。
「グ、ググ馬鹿な、一体。いつ俺にギャグ補正など…」
あまりの衝撃に何とか起き上がろうと腕を震わせながら胸を持ち上げる。
そんな俺を見下ろしながら
「さすが、春人だね」
どうやって開いたのか、俺のステータスウィンドウのスキル欄に☆ギャグ補正
などと書き込む眼鏡に
「急がないと遅刻するからね」
と、心配のしの字も無い苺。
言いたいことが終わったのか、スタスタと俺を置いてゆく二人組。
…なんて愛がない奴らなんだ。
ああ、そう言えば、自己紹介がまだだった。
今だに校門のど真ん中で、潰れているのが語り手たる
俺、春牧春人。
フツメン 男だ。




